都内でも屈指の観光地・浅草からも中国人の姿が消え始めている(時事通信フォト)
「売り上げは2〜3割くらいは下がるのかな」
「私たちは必ずお客さんに『どの国からいらしたんですか』と聞くのですが、台湾の方はだいたい『台湾から』とおっしゃるので、中国人観光客と区別できるんですね。まだ週末をまたいでいないのでなんとも言えないですが、ここ2〜3日で中国からいらしている方は体感的には減ったと感じます」
すでに始まった売上減を嘆く業者もいる。着物レンタル店を複数経営する「株式会社絹司」の取締役である今井庄司さんが話す。
「中国人韓国客に限らず、海外の方は飛び込みで来ることがほとんどです。だからキャンセルという形ではありませんが、ここ数日たしかに中国の方が来ていない。
今まで中国のお客さまは女性をメインに1日5〜10人ほど来客がありました。欧米人のお客様と比べて、中国のお客様は普通の着物よりも振袖とか豪華な物を好む人が多い印象です。SNSで好まれるのか、真っ白の着物も選ぶ方もいます。別の国の方々も来ますので気にしてはいなかったのですが……、改めて振り返ってみるとここ数日はそうした方を見かけていませんね」
今井さんが続ける。
「着物レンタル自体は4000〜5000円くらい。このまま中国人のお客さまが来ないのであれば、売り上げは2〜3割くらいは下がるのかなと思います。ウチとしては、早いところおさまってほしいとは思いますけど……。こんな風になっちゃうんだったら、高市さんにはもう少し言い方を考えてほしかった」
中国人を含むインバウンド客に売上の大部分を依存する業種にとって、“渡航控え”は目に見えるダメージがあるようだ。
その一方で、こんな意見もあった。
「たしかに客足は減っていますね。でも正直なところ、中国人観光客の方とは“常識”が違う感じがして、これまで困ることも多かったんです。中国の方ってなぜか汁物が好きなんですよね。たとえばですけど、煮込み料理をひとつ頼んで、『人数分の汁をつけてくれ』って言われることもあって。文化の違いもあるんでしょうけどね。トータルで考えると、個人的には客足が減ってもそんなに困ることはありませんね」(浅草ホッピー通りの飲食店経営者)
駐日中国大使館は21日、SNSで「国連安全保障理事会の許可を要することなく、直接、軍事行動をとる権利を持っている」などと、日本への軍事攻撃について言及。けん制は日に日にエスカレートしている。
日中関係の冷え込みは今後、観光業にどれほど影響するのだろうか。
