19歳で広島から上京(事務所提供)
芸能生活46年の歴史
51年前、山口さんは19歳で広島から上京し、1977年に東映演技研修所に入所。1979年に佐藤B作氏(76)が主宰する『劇団東京ヴォードヴィルショー』に入団。以来、ラジオや、テレビドラマや舞台で活躍を続けている。
──劇団員となってからから今年で芸能生活46年を迎えました。
「最近思うんですけど僕、俳優じゃないんですよ。ただ面白いことが好きなだけの人間で。上京するときの志が“自分が楽しくて周りの人も楽しく、生きて笑ってくれればいいな”と思って出てきたんで、もうそのままなんですよ。
俳優の方ってものすごく身を削るような努力をしてお芝居を一本作るんですけど、僕の最近は“楽はしないが努力もしない”っていうのがコンセプトなんです」
──“楽はしないが努力もしない”というのは独特の表現ですね。
「思い返すと、笑瓶ちゃんからはよく『山口さんは劇団いうバックボーンがあるからええなあ』って言われたことがありました。彼は僕のことを劇団の役者だと思っていたのかもしれませんけど、職業欄に “楽しいことが好きな人”って書きたいと思っている俳優って、それはもうおこがましいなと。
今はうちの劇団の大森博君が年に3本、4本プロデュースする人情喜劇やコントに誘ってくれるのでありがたいです。その合間に落語会や『イモ欽トリオ』のライブに出してもらったりしていて、自分で何かプロデュースするというのが苦手なので、誘われたお仕事で年間のスケジュールが埋まっています」
──70歳となって立つ舞台はどうですか。
「今年、白内障の手術をしまして、6月には肺炎になりました。年を取ってセリフがなかなか入らないというなかで稽古をやっていました。
今回出演しているのは人情喜劇でドタバタしているところもありますし、最後にちょっとほろっと泣かせ笑ってほろっとする舞台ですね。共演するのも面白いメンバーで、熊谷真実さんも初出演です。11月の公演中に笑瓶ちゃんの月命日を迎えるので、報告を兼ねて行こうと考えています」
(了。前編から読む)
文/千島絵里香(ジャーナリスト) 撮影/山口比佐夫
舞台『家族、片恋』

