ライフ

傑作戦争映画第2位 『ディア・ハンター』を二宮清純氏が解説

 やっぱり男は戦争映画が好きなのだ。各界の映画通30人に忘れられない名作・大作・傑作を選んでもらい、ランキング化した。洋画部門の2位に輝いたのは『ディア・ハンター』。二宮清純氏(スポーツジャーナリスト)に聞いた。

【あらすじ】ベトナム戦争で捕虜となった過酷な経験で、心身に深い傷を負った3人の若者の生と死を描いた衝撃作。命を懸けたロシアン・ルーレットという緊迫したシーンを通して、戦争の悲劇性を浮き彫りにした。

【二宮氏による解説】
「この映画の中で最も印象に残るシーンは、やはりロシアン・ルーレットだろう。捕虜となった米兵同士で一発だけ弾丸を込めたリボルバーを打ち合う狂気じみたこのシーンには、とても正視できない緊迫感があった」

「私がこの作品を観たのは大学生の時だが、同世代の若者たちが突然このような狂気の世界に巻き込まれていく姿を見て、平和と戦争は決して別世界のものではなく、地続きであることを痛感させられた。この作品が描いているのはアメリカ側から見たベトナム戦争の悲劇だが、実際にはベトナム側にはそれ以上の悲劇と犠牲があった」

「こうした点を描き切れていないという批判もあるだろうが、それを考慮してもなおこの映画が発信しているメッセージは重い。それはどんな平和な日常を送っていても、ひとたび戦争が起これば悲劇と狂気が待っているということではないだろうか。この映画においてロシアン・ルーレットは平和と戦争をつなぐブリッジのような役割を担っているのだ」

※週刊ポスト2010年10月8日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
水原一平容疑者は現在どこにいるのだろうか(時事通信フォト)
大谷翔平に“口裏合わせ”懇願で水原一平容疑者への同情論は消滅 それでもくすぶるネットの「大谷批判」の根拠
NEWSポストセブン
大久保佳代子 都内一等地に1億5000万円近くのマンション購入、同居相手は誰か 本人は「50才になってからモテてる」と実感
大久保佳代子 都内一等地に1億5000万円近くのマンション購入、同居相手は誰か 本人は「50才になってからモテてる」と実感
女性セブン
宗田理先生
《『ぼくらの七日間戦争』宗田理さん95歳死去》10日前、最期のインタビューで語っていたこと「戦争反対」の信念
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
JALの元社長・伊藤淳二氏が逝去していた
『沈まぬ太陽』モデルの伊藤淳二JAL元会長・鐘紡元会長が逝去していた
NEWSポストセブン
ムキムキボディを披露した藤澤五月(Xより)
《ムキムキ筋肉美に思わぬ誤算》グラビア依頼殺到のロコ・ソラーレ藤澤五月選手「すべてお断り」の決断背景
NEWSポストセブン
(写真/時事通信フォト)
大谷翔平はプライベートな通信記録まで捜査当局に調べられたか 水原一平容疑者の“あまりにも罪深い”裏切り行為
NEWSポストセブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン
大谷翔平を待ち受ける試練(Getty Images)
【全文公開】大谷翔平、ハワイで計画する25億円リゾート別荘は“規格外” 不動産売買を目的とした会社「デコピン社」の役員欄には真美子さんの名前なし
女性セブン
眞子さんと小室氏の今後は(写真は3月、22時を回る頃の2人)
小室圭さん・眞子さん夫妻、新居は“1LDK・40平米”の慎ましさ かつて暮らした秋篠宮邸との激しいギャップ「周囲に相談して決めたとは思えない」の声
女性セブン
いなば食品の社長(時事通信フォト)
いなば食品の入社辞退者が明かした「お詫びの品」はツナ缶 会社は「ボロ家ハラスメント」報道に反論 “給料3万減った”は「事実誤認」 
NEWSポストセブン