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手の平返し社説を堂々と掲載の新聞社を上杉隆氏「厚顔無恥」

 厚生労働省・村木厚子氏の冤罪事件で逮捕された主任検事・前田恒彦容疑者は、小沢一郎氏の政治資金事件でも取り調べを担当していたことが判明したが、大手メディアはそのことについて触れていない。『記者クラブ崩壊』などの著書があるフリージャーナリストの上杉隆氏は、前田容疑者を巡る大手メディアの報道姿勢をこう批判する。

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 議決公表のつい前日まで、新聞各紙は「障害者郵便割引不正事件」における、厚生労働省の村木厚子・元雇用均等・児童家庭局長(現・内閣府政策統括官)の冤罪をめぐって、激しい検察批判を展開してきた。その郵便不正事件の捜査で証拠を改ざんし、証拠隠滅で逮捕されたのが主任検事・前田恒彦容疑者だった。しかし前田容疑者が、小沢氏の政治資金事件で公設第一秘書だった大久保隆規氏の取り調べを担当し、調書を作成していたことについて、10月5日付の新聞各紙はほとんど触れようとしなかった。
 
 前田容疑者は「郵便割引不正事件」にかぎらず、朝鮮総連詐欺事件など他の事件でも、捜査の違法性を疑われている人物だ。小沢氏の政治資金事件においても、前田容疑者が証拠物に改ざんを加えていないという保証はない。にもかかわらず、小沢氏の事件に関してだけは、テレビや新聞の記者クラブメディアは、前田容疑者による調書の偽造の可能性について、一切口をつぐんでいる。
 
 読売新聞は社説でこう書いた。

(大阪地検特捜部検事による証拠改ざん事件が検察審の審査に与える影響も懸念されたが、「強制起訴」議決は改ざん疑惑が発覚する前の先月14日だった。無責任な検察審批判は慎むべきだろう)

 逆である。改ざん疑惑が発覚する前に議決したからこそ、問題なのだ。改ざん疑惑を知らなかったがゆえに、検察審は検察、とりわけ“偽造犯”の前田検事のつくった調書を信用し、それを前提として「起訴相当」との判断を下した。調書そのものに偽造された可能性があるとすれば、それにもとづいた検察審の判断そのものも間違っている可能性は否定できない。前日までは検察による調書の作文について厳しく追及していたのに、小沢氏が起訴された途端、今度は手のひらを返したように同じ調書への疑惑には目をつぶる。しかもそれを社説として堂々と掲げるのだから、厚顔無恥も甚だしい。
 
※週刊ポスト2010年10月22日号

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