国際情報

中国の最大の問題は「世界一維持できぬこと」と井沢元彦氏

 尖閣諸島の問題で、なぜ、中国は激しく抗議し大規模な反日デモまで仕掛けてくるのか。それは、中華思想と共産主義に毒された中国にとって日本は常に悪でなくてはならないからだと、作家の井沢元彦氏は指摘する。世界一になっては、転落を繰り返してきた中国。歴史に学ぶことのない彼の国は、再び同じ過ちを繰り返そうとしている―。

******************************
 おそらく中国人は今「いつ中国は世界一になるか」と、その日を指折り数えて待っているのだろう。 いや、若者たちの一部は、既に中国は世界一の国になったと考えているかもしれない。北京オリンピックでは中国勢が大活躍したし、上海万博も成功している。軍事力も年々増強し、世界一の軍事大国アメリカですら、中国と戦って勝つことは有り得ない。もはや、中国は世界一の国だと確信しているかもしれないのだ。

 しかし、もし私が膨大な人類の知恵の集積である歴史に基づいて、中国あるいは中国人に、忠告できるとするならば、それは「とんでもない考え違いだ」ということだろう。

 実は中国はすでに世界一になったことが何度かある。誰もが認めざるを得ないのが明の時代だろう。アメリカなど影も形もなく、中世の闇が支配していたヨーロッパも、明の高度な文明には及ぶべくもなかった。

 文化などどうでもよく軍事力だけがすべてというなら、明より先の元の時代がそうだし、唐の時代もローマ帝国というライバルがいたとはいえ、世界の一、二を争う国家であったことは間違いない。

 こう指摘すれば、歴史家でなくても中国という国家、あるいは中国人という民族の持つ最大の問題点が何かは明確に見えてくるだろう。そう、「世界一にいつなるのか?」ではなくて「なぜ過去に何度も世界一になっているのに、それを維持できなかったのか」ということなのである。

 典型的なのは清の時代だろう。

 清が建国された頃、世界の国家の中で清と戦って勝つことが可能な国家はなかった。当時の強国といえば、世界を植民地化したスペインでありポルトガルだろうが、この両国ですら清と戦って勝つなど夢の夢であった。

 ところが、その清は19世紀になると、アヘン戦争でイギリスに敗れるなど、欧米列強に連戦連敗し、さらには、日本にすら日清戦争で敗れるという屈辱をなめた。

※週刊ポスト2010年11月5日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

上原多香子の近影が友人らのSNSで投稿されていた(写真は本人のSNSより)
《茶髪で缶ビールを片手に》42歳となった上原多香子、沖縄移住から3年“活動休止状態”の現在「事務所のHPから個人のプロフィールは消えて…」
NEWSポストセブン
ラオス語を学習される愛子さま(2025年11月10日、写真/宮内庁提供)
《愛子さまご愛用の「レトロ可愛い」文房具が爆売れ》お誕生日で“やわらかピンク”ペンをお持ちに…「売り切れで買えない!」にメーカーが回答「出荷数は通常月の約10倍」
NEWSポストセブン
王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
《10代少女らが被害に遭った“悪魔の館”写真公開》トランプ政権を悩ませる「エプスタイン事件」という亡霊と“黒い手帳”
NEWSポストセブン
「性的欲求を抑えられなかった」などと供述している団体職員・林信彦容疑者(53)
《保育園で女児に性的暴行疑い》〈(園児から)電話番号付きのチョコレートをもらった〉林信彦容疑者(53)が過去にしていた”ある発言”
NEWSポストセブン
『見えない死神』を上梓した東えりかさん(撮影:野崎慧嗣)
〈あなたの夫は、余命数週間〉原発不明がんで夫を亡くした書評家・東えりかさんが直面した「原因がわからない病」との闘い
NEWSポストセブン
テレ朝本社(共同通信社)
《テレビ朝日本社から転落》規制線とブルーシートで覆われた現場…テレ朝社員は「屋上には天気予報コーナーのスタッフらがいた時間帯だった」
NEWSポストセブン
62歳の誕生日を迎えられた皇后雅子さま(2025年12月3日、写真/宮内庁提供)
《愛子さまのラオスご訪問に「感謝いたします」》皇后雅子さま、62歳に ”お気に入りカラー”ライトブルーのセットアップで天皇陛下とリンクコーデ
NEWSポストセブン
竹内結子さんと中村獅童
《竹内結子さんとの愛息が20歳に…》再婚の中村獅童が家族揃ってテレビに出演、明かしていた揺れる胸中 “子どもたちにゆくゆくは説明したい”との思い
NEWSポストセブン
日本初の女性総理である高市早苗首相(AFP=時事)
《初出馬では“ミニスカ禁止”》高市早苗首相、「女を武器にしている」「体を売っても選挙に出たいか」批判を受けてもこだわった“自分流の華やかファッション”
NEWSポストセブン
「一般企業のスカウトマン」もトライアウトを受ける選手たちに熱視線
《ソニー生命、プルデンシャル生命も》プロ野球トライアウト会場に駆けつけた「一般企業のスカウトマン」 “戦力外選手”に声をかける理由
週刊ポスト
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン