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「船長は釈放、抗議活動は中止」ではやりきれないと海保職員

 9月に起きた尖閣事件直後、日本青年社は漁船20隻による尖閣包囲計画をたてていた。だが、当初計画に協力していた海上保安庁が、突如中止に方向転換、計画は幻に終わった。

 政府関係者は語る。「“中止命令”は、官邸サイドから発せられたと聞いている。ちょうどその時は、中国の想定以上の反発に驚き、菅総理と仙谷官房長官が、中国人船長の釈放を決めたところだった。このタイミングで尖閣に行かれてはまずいと、極めて強いトーンで指示が出された」

 しかし、これまで第11管区石垣海上保安部は、尖閣周辺での活動を実質的に黙認してきた経緯がある。さらに突然、“上”から梯子をはずされた形になった海保職員の間には、不満の声が充満していたという。

『日本人が行けない「日本領土」』(小学館)の著者で、フォトジャーナリストの山本皓一氏によれば、石垣島では次のような海保職員の声が上がっていたという。

「私たちは、中国の横暴に対し、体を張って命がけで仕事をしてきた。中国の漁船が来ても、中国語で『出なさい、出なさい、ここは日本の領土です』といったり、中国語ののぼりを出すだけで、絶対にこちらから手を出せない。危険な任務ですが、それでも一生懸命やってきた。

 それなのに、中国の船長は釈放され、尖閣への出港も認められないという。情けなくてやりきれない」

 こうした思いを抱いていた海保職員は決して少なくない。そして、ビデオ流出事件は起こった―。

※週刊ポスト2010年11月26日・12月3日号

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