国内

中国人に日本製品を買わせるには「主婦の力」が必要不可欠

中国のGDPが世界第2位と躍進し、富裕層の消費熱が高まっている昨今。高品質の日本製品は中国人から人気。だが、日本は高い能力を持つ人が働けていないという現実もある。それは女性に顕著なのだが、20~65才の働ける人のうち、実際に働いている女性の割合を示す労働力率で見ると、先進国における女性の労働力率が欧米では7~8割に達する一方、日本は6割弱、しかも製造業に従事している女性となるとさらにその2割にも満たない。

一方で、9割を超える専業主婦が「機会があれば働きたい」と考えているというデータがある。こうした状況を北海道大学大学院の宮本太郎教授は、「非常にもったいない」と嘆く。

「中国でメイドインジャパンの商品を売るには、彼女たちの力が欠かせません。というのも、経済発展を遂げた中国の中間層には、ほぼ日本と同じくらいの衣類や家電製品がいきわたっているんです。彼らにモノを買わせるには、最新の技術だけでなく、“生活でこんなに役立つんですよ”と提案できるプラスアルファのアイディアが必要になってきます。それは生活に密着した視点を持つ女性が得意とすることなんです」

 そのような女性が商品の開発・製造にたずさわり、中国での成功を収めたのが岡山県倉敷市児島のマルミツアパレルだ。工場や大きな設備を持たず、自宅でスタンバイする“おばちゃん”たちの内職によって子供用ズボンを製造する同社は2010年9月、子供服ブランド「JIPPON(ジポン)」を立ち上げた。最大の特徴が、ズボンのウエストのゴムバンドの裁縫だ。同社の光實庫造社長(59)は、JIPPONについて「内職おばちゃんたちの職人技の集大成」と語り、ウエストの裁縫は職人ならではのリズム感や勘があってこそのものだという。

 内職のおばちゃんたちと二人三脚でそのアイディアを出し、見事に成功したマルミツアパレル。光實社長がいう。

「日本人はみんな勤勉で一生懸命働きます。児島の女性も定年に関係なくガンガン働いている。働いて収入を得ることや誰かにあてにされることは、毎日の大きな生きがいになるのは男も女も同じことでしょう。そのうえ、女性ならではの知恵も技術もある」

 経済の停滞のみならず、少子高齢化や就職難、国の借金の問題など、暗いニュースが続く日本。しかし、悲観することはない。現状から脱却するためのヒントが、女性たちの“くじけない精神”の中に、必ずある。

※女性セブン2011年3月10日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

出廷した水原一平被告(共同通信フォト)
《水原一平を待ち続ける》最愛の妻・Aさんが“引っ越し”、夫婦で住んでいた「プール付きマンション」を解約…「一平さんしか家族がいない」明かされていた一途な思い
NEWSポストセブン
公務に臨まれるたびに、そのファッションが注目を集める秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
「スタイリストはいないの?」秋篠宮家・佳子さまがお召しになった“クッキリ服”に賛否、世界各地のSNSやウェブサイトで反響広まる
NEWSポストセブン
舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』でハリー・ポッター役を演じる稲垣吾郎
舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』に出演、稲垣吾郎インタビュー「これまでの舞台とは景色が違いました」 
女性セブン
司組長が到着した。傘をさすのは竹内照明・弘道会会長だ
「110年の山口組の歴史に汚点を残すのでは…」山口組・司忍組長、竹内照明若頭が狙う“総本部奪還作戦”【警察は「壊滅まで解除はない」と強硬姿勢】
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反容疑で家宅捜査を受けた米倉涼子
「8月が終わる…」米倉涼子が家宅捜索後に公式SNSで限定公開していたファンへの“ラストメッセージ”《FC会員が証言》
NEWSポストセブン
巨人を引退した長野久義、妻でテレビ朝日アナウンサーの下平さやか(左・時事通信フォト)
《結婚10年目に引退》巨人・長野久義、12歳年上妻のテレ朝・下平さやかアナが明かしていた夫への“不満” 「写真を断られて」
NEWSポストセブン
バスツアーを完遂したイボニー・ブルー(インスタグラムより)
《新入生をターゲットに…》「60人くらいと寝た」金髪美人インフルエンサー(26)、イギリスの大学めぐるバスツアーの海外進出に意欲
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【ハワイ別荘・泥沼訴訟に新展開】「大谷翔平があんたを訴えるぞ!と脅しを…」原告女性が「代理人・バレロ氏の横暴」を主張、「真美子さんと愛娘の存在」で変化か
NEWSポストセブン
小林夢果、川崎春花、阿部未悠
トリプルボギー不倫騒動のシード権争いに明暗 シーズン終盤で阿部未悠のみが圏内、川崎春花と小林夢果に残された希望は“一発逆転優勝”
週刊ポスト
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《黒縁メガネで笑顔を浮かべ…“ラブホ通い詰め動画”が存在》前橋市長の「釈明会見」に止まぬ困惑と批判の声、市関係者は「動画を見た人は彼女の説明に違和感を持っている」
NEWSポストセブン
国民スポーツ大会の総合閉会式に出席された佳子さま(10月8日撮影、共同通信社)
《“クッキリ服”に心配の声》佳子さまの“際立ちファッション”をモード誌スタイリストが解説「由緒あるブランドをフレッシュに着こなして」
NEWSポストセブン