国内

支援物資調達に被災者がお金を用意しなくてはならない現実

 東北関東大震災によって8割もの世帯が水没した岩手県の陸前高田市。そこにある小学校の体育館には約200人の被災者が避難している。

 同市では市役所も被災し、多くの市役所職員の消息がわからないままだ。そのため、消防団員たちが中心になって支援物資などの配給やほかの物資を希望する人たちへの調達を行っている。この避難所ではおにぎりが朝昼晩ひとり1個にみそ汁、水や毛布が配給されるが、とても充分な量ではない。13日の午後、消防団員が、体育館にいる全員に向かって話を始めた。

「皆さん、聞いてください。今日は遠野まで行って、ガソリンや食料は買えるだけ買ってきました。ただし、消防団にはもう出せるお金がありません。こんなときにこんな話をするのはなんですが、欲しい物がある人は、お金を用意してください。ガソリンも食料も現金でしか売ってくれません。明日も車を出しますが、私たちは買いに行くことはできても、お金を用意することができません」

 体育館にはため息がもれた。

「慌てて飛び出したからね、なんにも持ってないよ」と落胆する60代の男性。銀行はカードや通帳がなくても預金をおろせるようにしているというが、「貯金してる郵便局も流された。だから、なんも見通しないです」

 避難所ではこれが現実だった。

※女性セブン2011年3月31日・4月7日号

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