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増税で復興するのは被災地ではなく役人・議員と河村市長指摘

 震災復興の財源を巡り、政府、霞が関、大メディアが一体となって、増税路線を突き進んでいる。その中で「増税なき復興」を主張する異色の政治家が「減税日本」代表の河村たかし・名古屋市長だ。以下は河村氏のインタビューである。

――増税の問題点はどこにある?

河村:政府は復興増税で消費税率を3%上げるという。税収は年間7兆5000億円程度。国民1人ざっと6万円、4人家族なら24万円の増税だから、家庭の可処分所得が毎月2万円も減る。

 その分、消費が落ち込んで、モノが売れなくなって企業の利益が減るわけ。結局、1年目は税収が増えても、2年目から税収はマイナスに転じる。そんな状況で長期にわたる復興ができますか? 阪神大震災の時も、復興財源は普通の起債でまかない、増税はしなかった。
 
――菅直人・首相や岡田克也・民主党幹事長らは、震災を増税の好機と見ているのではないか。

河村:消費税率を3%から5%に増税した1997年、実施したのは橋本内閣だが、方針を決めたのは自社さ連立の村山内閣だった。そうしたら、増税2年目から法人税や所得税が大きく減り、そこから「失われた10年」の泥沼に突っ込んだ。菅さんをはじめ現政権の中枢は自社さ政権(自民党、社民党、新党さきがけによる連立政権)を作ったメンバーなわけです。今も同じことをやろうとしている。

 私が民主党にいた時、まだ菅さんは庶民派を売りにしていたけど、増税なんて庶民の生活の大敵ですよ。岡田さんは自社さではなかったが、官僚出身で、財政危機で増税が必要という役人の呪文にかかっている。

――あなたなら、増税なしで復興できるのか?

河村:復興が始まれば、住宅再建をはじめ、どんどん需要が生まれる。建築需要は雇用を生み出し、エアコンなどの家電や家具などへの波及効果も大きい。

 私が総理なら復興のために日本全体で消費税を引き下げて、商売がはかどる環境をつくります。庶民のかまどを温め、税金を払う人や企業の商売を温めて、日本の経済全体の力で被災地を復興させることが重要なんです。今のように「政府が復興をやってやるから」と庶民から税金を搾り取っていては、やがて民のかまどがやせ衰えていく。

 はっきりいいますが、増税というのは、カネを配ることで権益を太らせたい役人や議員の発想。増税をやって復興するのは被災地ではなく、税金で食っている役人と議員だけです。

※週刊ポスト2011年5月20日号

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