国際情報

韓国の「日本海は東海!」無理押しはいつものジコチュウ史観

「日本海」の名称を「東海」に変えよという韓国の無理押しに、アメリカ地名委員会の決定が待ったをかけた。とりあえず韓国の横ヤリは排除される流れだが、なぜ、彼らはそこまで無理押しを進めようとするのか。その根底にあるものは何なのか。産経新聞ソウル支局長の黒田勝弘氏が指摘する。

 * * *
 韓国の「日本海」憎しと「東海」論は、いつものジコチュウ史観に基づく対日無理押しナショナリズムである。

 まず、韓国は西の方の海を「西海」といい南の方の海を「南海」といっているが、国際的表記になっている「黄海」や「東シナ海」はそのまま受け入れ、何も文句を言っていないのだ。

「黄海」を「西海」に変えろとか、両論併記にしろなどとは要求していない。ひたすら東側の「日本海」だけがケシカランという。つまり「日本」という名称がついているのが気に食わないのだ。同じく沿岸国であるロシアは「日本海」でも気にしないのに。

 歴史的に「日本海」は日本が付けた名前ではない。19世紀以降、日本の国際的存在感の高まりで、英国やロシアをはじめ国際社会が命名した国際名称である。しかし韓国は対日特殊感情のため、それを認めたくないというのだ。

 だからといって「東海」というのは実に困る。韓国にとっては東だが、ロシアからは南であり、日本からは西ではないか。「東海」は韓国の沿岸名称に過ぎない。それを国際名称にしろというのは、相当な無理押しだ。一部の東アジア古地図にある「コリアの海」ならまだしも。

 韓国での「日本海」憎しの盛り上がりは近年のことである。「独島ナショナリズム」の延長線にある。昔、韓国を支配した日本帝国主義が「独島」を奪ったように、日本は「東海」を奪い「日本海」を押し付けたというのだ。

 こうした反日歴史観のマインド・コントロールからくる思い込みが、「独島」をめぐる反日愛国主義を呼び、それが「日本海」にも及んでいるのだ。

 沿岸国で名称が対立した場合、国際的には両論併記というのはありうる。しかし日本としては歴史認識“歪曲”はとうてい受け入れがたい。

※SAPIO 2011年9月14日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

娘たちとの関係に悩まれる紀子さま(2025年6月、東京・港区。撮影/JMPA)
《眞子さんは出席拒否の見込み》紀子さま、悠仁さま成年式を控えて深まる憂慮 寄り添い合う雅子さまと愛子さまの姿に“焦り”が募る状況、“30度”への違和感指摘する声も
女性セブン
電撃結婚を発表したカズレーザー(左)と二階堂ふみ
「以前と比べて体重が減少…」電撃結婚のカズレーザー、「野菜嫌い」公言の偏食ぶりに変化 「ペスカタリアン」二階堂ふみの影響で健康的な食生活に様変わりか
週刊ポスト
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者が逮捕された
「ローションに溶かして…」レーサム元会長が法廷で語った“薬物漬けパーティー”のきっかけ「ホテルに呼んだ女性に勧められた」【懲役2年、執行猶予4年】
NEWSポストセブン
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
「なぜ熊を殺した」「行くのが間違い」役場に抗議100件…地元猟友会は「人を襲うのは稀」も対策を求める《羅臼岳ヒグマ死亡事故》
NEWSポストセブン
2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《北島康介に不倫報道》元ガルネク・千紗「アラフォーでも美ボディ」スタートさせていた“第2の人生”…最中で起きた波紋
NEWSポストセブン
駒大苫小牧との決勝再試合で力投する早稲田実業の斎藤佑樹投手(2006年/時事通信フォト)
【甲子園・完投エース列伝】早実・斎藤佑樹「甲子園最多記録948球」直後に語った「不思議とそれだけの球数を投げた疲労感はない」、集中力の源は伝統校ならではの校風か
週刊ポスト
音楽業界の頂点に君臨し続けるマドンナ(Instagramより)
〈やっと60代に見えたよ〉マドンナ(67)の“驚愕の激変”にファンが思わず安堵… 賛否を呼んだ“還暦越えの透け透けドレス”からの変化
NEWSポストセブン
反日映画「731」のポスターと、中国黒竜江省ハルビン市郊外の731部隊跡地に設置された石碑(時事通信フォト)
中国で“反日”映画が記録的大ヒット「赤ちゃんを地面に叩きつけ…旧日本軍による残虐行為を殊更に強調」、現地日本人は「何が起こりるかわからない恐怖」
NEWSポストセブン
石破茂・首相の退陣を求めているのは誰か(時事通信フォト)
自民党内で広がる“石破おろし”の陰で暗躍する旧安倍派4人衆 大臣手形をバラ撒いて多数派工作、次期政権の“入閣リスト”も流れる事態に
週刊ポスト
クマ外傷の専門書が出版された(画像はgetty image、右は中永氏提供)
《クマは鋭い爪と強い腕力で顔をえぐる》専門家が明かすクマ被害のあまりに壮絶な医療現場「顔面中央部を上唇にかけて剥ぎ取られ、鼻がとれた状態」
NEWSポストセブン
小島瑠璃子(時事通信フォト)
《亡き夫の“遺産”と向き合う》小島瑠璃子、サウナ事業を継ぎながら歩む「女性社長」「母」としての道…芸能界復帰にも“後ろ向きではない”との証言も
NEWSポストセブン
スキンヘッドで裸芸を得意とした井手らっきょさん
《僕、今は1人です》熊本移住7年の井手らっきょ(65)、長年連れ添った年上妻との離婚を告白「このまま何かあったら…」就寝時に不安になることも
NEWSポストセブン