国内

TV昼の「お笑い」番組に「内輪の悪ふざけ」もう勘弁しての声出る

 島田紳助が引退し、今、テレビ界の「お笑い」は曲がり角にさしかかっている。特に、昼の「お笑い」番組の視聴率低下が顕著だが、いま視聴者はテレビに何を求めているのか。作家で五感生活研究所の山下柚実氏の視点は、こうだ。

 * * *
 今、お昼に話題を集めているテレビ番組、TBSの『ひるおび!』。7月の平均視聴率6・3%、7月19日には第2部が9.0%を獲得し、同時間帯民放首位・番組過去最高を記録したとか。

 その番組内容をみてみると――。たとえば先週、野田政権が誕生した14日のテーマは「首相の所信表明演説」。演説の内容をぎっしりと細かい文字にしてボード化。ゲストには政治家と政治評論家を呼び、弁護士と三人で、その演説内容を多角的に分析していました。主婦相手の時間帯などとお茶の間をナメていない。本格派です。
 
 一方、同じ日同じ時間帯の『笑っていいとも!』にチャネルを移すと……。お笑い芸人がズラリと並んで悪ふざけ。「美人、イケメンだけどちょっと残念な部分がある素人」を出演させて、プロの芸人たちがいじって内輪ウケ。両者の番組内容が実に対象的でした。

 かつて、昼の番組といえば『笑っていいとも!』がダントツ人気。80年代には27.9%と驚異的な視聴率を記録。けれども、最近では5%台も珍しくないそうです。司会のタモリや企画内容の「テンションの低さ」がささやかれていますが、その原因は単なる「マンネリ」ではないはず。
 
 一言でいえば、テレビに対する視聴者のニーズが変化してきているのではないでしょうか。特に、3月の震災を境に、その変化がはっきりと顕在化してきたように思います。「バラエティよりも情報番組を」、「報道の奥にある本質が知りたい」、「明日の日本をどうすべきかを考えたい」。今の視聴者の素直な欲求なのでしょう。
 
 だからといって「笑い」は拒否、というわけではありません。その証拠に、なでしこジャパン・佐々木則監督の「私にも合うでぃ(アウディ)」といったダジャレは好感をもって受け入れられています。実際に、アウディの売り上げはぐんと伸びたそうですから。
 
 つまり、この時代、「ユーモア」は求められていても、「内輪の悪ふざけ」は勘弁してほしい、というのが多くの人の感覚ではないでしょうか。奇しくも「島田紳助の引退」が象徴しているように、テレビ界のお笑いは曲がり角にさしかかっている。

 震災後の時代は、『笑っていいとも!』と言われても素朴に笑えるほど脳天気な社会ではなくなっているということ。もし、そのことに制作者が気付いていないとしたら……、それが最大の問題でしょう。

 今後の昼番組の変化には注目です。

関連キーワード

関連記事

トピックス

左:激太り後の水原被告、右:
【激太りの近況】水原一平氏が収監延期で滞在続ける「家賃2400ドル新居」での“優雅な生活”「テスラに乗り、2匹の愛犬とともに」
NEWSポストセブン
横山剣(右)と岩崎宏美の「昭和歌謡イイネ!」対談
【横山剣「昭和歌謡イイネ!」対談】岩崎宏美が語る『スター誕生!』秘話 毎週500人が参加したオーディション、トレードマークの「おかっぱ」を生んだディレクターの“暴言”
週刊ポスト
お笑いコンビ「ガッポリ建設」の室田稔さん
《ガッポリ建設クズ芸人・小堀敏夫の相方、室田稔がケーブルテレビ局から独立》4月末から「ワハハ本舗」内で自身の会社を起業、前職では20年赤字だった会社を初の黒字に
NEWSポストセブン
”乱闘騒ぎ”に巻き込まれたアイドルグループ「≠ME(ノットイコールミー)」(取材者提供)
《現場に現れた“謎のパーカー集団”》『≠ME』イベントの“暴力沙汰”をファンが目撃「計画的で、手慣れた様子」「抽選箱を地面に叩きつけ…」トラブル一部始終
NEWSポストセブン
母・佳代さんのエッセイ本を絶賛した小室圭さん
小室圭さん “トランプショック”による多忙で「眞子さんとの日本帰国」はどうなる? 最愛の母・佳代さんと会うチャンスが…
NEWSポストセブン
春の雅楽演奏会を鑑賞された愛子さま(2025年4月27日、撮影/JMPA)
《雅楽演奏会をご鑑賞》愛子さま、春の訪れを感じさせる装い 母・雅子さまと同じ「光沢×ピンク」コーデ
NEWSポストセブン
自宅で
中山美穂はなぜ「月9」で大記録を打ち立てることができたのか 最高視聴率25%、オリコン30万枚以上を3回達成した「唯一の女優」
NEWSポストセブン
「オネエキャラ」ならぬ「ユニセックスキャラ」という新境地を切り開いたGENKING.(40)
《「やーよ!」のブレイクから10年》「性転換手術すると出演枠を全部失いますよ」 GENKING.(40)が“身体も戸籍も女性になった現在” と“葛藤した過去”「私、ユニセックスじゃないのに」
NEWSポストセブン
「ガッポリ建設」のトレードマークは工事用ヘルメットにランニング姿
《嘘、借金、遅刻、ギャンブル、事務所解雇》クズ芸人・小堀敏夫を28年間許し続ける相方・室田稔が明かした本心「あんな人でも役に立てた」
NEWSポストセブン
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《真美子さんの献身》大谷翔平が「産休2日」で電撃復帰&“パパ初ホームラン”を決めた理由 「MLBの顔」として示した“自覚”
NEWSポストセブン
不倫報道のあった永野芽郁
《ラジオ生出演で今後は?》永野芽郁が不倫報道を「誤解」と説明も「ピュア」「透明感」とは真逆のスキャンダルに、臨床心理士が指摘する「ベッキーのケース」
NEWSポストセブン
渡邊渚さんの最新インタビュー
元フジテレビアナ・渡邊渚さん最新インタビュー 激動の日々を乗り越えて「少し落ち着いてきました」、連載エッセイも再開予定で「女性ファンが増えたことが嬉しい」
週刊ポスト