国内

増税時代だが新聞の消費税免除、TV局の大減税認められる公算

 野田政権になって急速に復興増税の議論が高まっているが、野田政権と財務省は2013年にも消費税の引き上げを画策しているという。

 消費税の増税は庶民の懐だけでなく大企業にとっても打撃になると思われるが、実はそうともいえない。

 実は、消費税には「こっそり得する仕組み」が組み込まれている。「輸出戻し税(還付金)」である。

 輸出品には消費税がかからない。外国人に日本の税金を負担させられない、という考えからだ。それどころか、輸出企業は納めてもいない消費税を「戻し税」として受け取れることになっている。

 その理屈は、「販売価格に消費税分が含まれないのに、仕入れには消費税がかかっているから」というもので、なんと輸出企業は消費税を納めないばかりか、「仕入れで消費税を払った」と申請することで、多額の「戻し税」を国庫から受け取っている。

 その額、年間約2兆円。消費税収の約2割が、せっせと輸出する大企業の懐に収まっているのである。

 一見、この仕組みは正当に見えるが、実態は大企業の丸儲けなのである。

「大企業に部品などを納入する下請け業者は、消費税分を最初から値引きさせられています。特に税率引き上げの際には、大企業は下請けにその分を被らせるケースが多く、下請けは利益や賃金を削ってそれを吸収する。一方、大企業の戻し税は税率引き上げで増える。自動車やエレクトロニクスなど、日本の主だった輸出企業の場合、戻し税は年間数百億円から2000億円に及んでいる。これだけ丸儲けなのだから、経団連が消費増税に賛同するのは当然です」(税理士で元静岡大学教授の湖東京至氏)

 こうした不公平な仕組みが問題にされないのは、大企業の献金による政界懐柔、天下り受け入れによる官僚取り込み、そして広告をバックにしたマスコミ支配があるからだ。

 そしてそのマスコミは、社会正義より自分たちの節税に熱心だ。大新聞は「新聞代は消費税免除に」と陳情し、野田内閣はそれを認める方向だし、テレビ局は総務省と手を組み、「震災で十分な放送ができなかった」として、新たな通信インフラ投資の大減税と、それら施設の固定資産税免除を主張している。これも認められる公算が大きい。震災まで節税のネタにしようという不埒な工作である。

 消費税引き上げで喜ぶのは、一に財務省、二に他省庁で、さらに政治家、大企業、大マスコミもウェルカムというわけだ。

 そして庶民はガッチリ取られる。もう許せない。われら国民は、この悪辣な税制「改悪」に抵抗し、「納税ボイコット」の自衛策を講じなければならない。

※週刊ポスト2011年10月21日号

関連キーワード

トピックス

2人の間にはあるトラブルが起きていた
《浅田真央と村上佳菜子が断絶状態か》「ここまで色んな事があった」「人の悪口なんて絶対言わない」恒例の“誕生日ツーショット”が消えた日…インスタに残された意味深投稿
NEWSポストセブン
6月15日のオリックス対巨人戦で始球式に登板した福森さん(撮影/加藤慶)
「病状は9回2アウトで後がないけど、最後に勝てばいい…」希少がんと戦う甲子園スターを絶望の底から救った「大阪桐蔭からの学び」《オリックス・森がお立ち台で涙》
NEWSポストセブン
発見場所となったのはJR大宮駅から2.5キロほど離れた場所に位置するマンション
「短髪の歌舞伎役者みたいな爽やかなイケメンで、優しくて…」知人が証言した頭蓋骨殺人・齋藤純容疑者の“意外な素顔”と一家を襲った“悲劇”《さいたま市》
NEWSポストセブン
反日的言動の目立つ金民錫氏(時事通信フォト)
韓国政権ナンバー2・金民錫首相の“反日的言動”で日韓の未来志向に影 文在寅政権下には東京五輪ボイコットを提起 反日政策の先導役になる可能性も
週刊ポスト
6月6日から公開されている映画『国宝』(インスタグラムより)
【吉沢亮の演技が絶賛】歌舞伎映画『国宝』はなぜ東宝の配給なのか 松竹は「回答する立場にはございません」としつつ、「盛況となりますよう期待しております」と異例の回答
NEWSポストセブン
さいたま市大宮区のマンション内で人骨が見つかった
《さいたま市頭蓋骨殺人》「マンションに警官や鑑識が出入りして…」頭蓋骨7年間保管の齋藤純容疑者の自宅で起きた“ある異変”「遺体を捨てたゴミ捨て場はすごく目立つ場所」
NEWSポストセブン
フランスが誇る国民的俳優だったジェラール・ドパルデュー被告(EPA=時事)
「おい、俺の大きな日傘に触ってみろ」仏・国民的俳優ジェラール・ドパルデュー被告の“卑猥な言葉、痴漢、強姦…”を女性20人以上が告発《裁判で禁錮1年6か月の判決》
NEWSポストセブン
ホームランを放った後に、“デコルテポーズ”をキメる大谷(写真/AFLO)
《ベンチでおもむろにパシャパシャ》大谷翔平が試合中に使う美容液は1本1万7000円 パフォーマンス向上のために始めた肌ケア…今ではきめ細かい美肌が代名詞に
女性セブン
ブラジルへの公式訪問を終えた佳子さま(時事通信フォト)
《ブラジルでは“暗黙の了解”が通じず…》佳子さまの“ブルーの個性派バッグ3690レアル”をご使用、現地ブランドがSNSで嬉々として連続発信
NEWSポストセブン
告発文に掲載されていたBさんの写真。はだけた胸元には社員証がはっきりと写っていた
「深夜に観光名所で露出…」地方メディアを揺るがす「幹部のわいせつ告発文」騒動、当事者はすでに退職 直撃に明かした“事情”
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
「生肉からの混入はあり得ないとの回答を得た」“ウジ虫混入ラーメン”騒動、来来亭が調査結果を公表…虫の特定には至らず
NEWSポストセブン
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン