太平洋戦争中に取り扱いが停止されていた年賀状が復活したのは昭和23年。翌24年12月1日、最初のお年玉付年賀はがきが発売された。考案したのは大阪・心斎橋で用品雑貨会社を経営していた林正治氏。戦争で連絡の途絶えた人の消息が年賀状によってわかればとの想いから、手製の見本はがきや宣伝用ポスター、賞品案を携え、郵政省へ申し出たのだ。
省内では「食べるものも食べられない時代」に時期尚早との意見も多かったが、紆余曲折の末、「こんな時代だからこそ夢を与えるものが必要」と採用に踏み切った。背景には戦争で被害を受けた郵政事業復旧に必要な資金を集めたいとの思惑もあった。お年玉賞品は人々の心をくすぐり、結果、年賀状取り扱い数は前年の約3倍に上った。
※週刊ポスト2011年12月16日号