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災害時の情報伝達 デジタルだけでなくアナログ的な手法も必要

 東日本大震災では、ツイッターなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が広く利用された。だがアナログ回帰も必要だと防災・危機管理ジャーナリストの渡辺実氏は説く。以下、渡辺氏の提言である。

 * * *
 ツイッター、緊急情報メール、エリアワンセグなどにより、参加者に災害情報、避難情報が提供されたが、これには疑問符がつく。東日本大震災の時、被災地ではなかった都心ではツイッターなどのSNSは比較的通じやすかったが、首都直下地震が起これば都心は被災地になり、あの時以上に携帯電話は通じにくくなる。商業施設などの大型ビジョンや電子看板も情報伝達の媒体に使われたが、電気が不通になり、自家発電設備も故障する事態はあり得る。

「あらゆる媒体を試し、その中で実際に使えそうな媒体を探した」(前出・東京都総務局総合防災部防災管理課)

 これが意図だと言うが、本来やるべきだったのは、デジタルツールやエレクトロニクスに一切頼らない訓練だ。

 例えば、建物内の安全が確認され、帰宅困難者を受け入れる準備が整ったら、それを示す印として黄色い旗をビルの入り口や屋上に掲げるといった統一ルールを決めておく。こうしたアナログ的な手法による情報伝達を試しておくべきだった。

※SAPIO2012年3月14日号

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