国内

森永卓郎 橋下市長の給与削減策は「生贄を作ること」と指摘

 ビートたけし、櫻井よしこ、森永卓郎、勝谷誠彦、吉田豪、山田美保子…など、様々なジャンルで活躍する論客が、毎号書き下ろしで時事批評を展開する『メルマガNEWSポストセブン』。3月9日に配信された6号では、森永卓郎氏が橋下徹・大阪市長が実施しようとしている、市職員の給与引き下げについて意見を投げかける。ここでは、その一部を紹介する。

 * * *
 大阪市のホームページによると、平成24年度の給与・手当カット後の年収は行政職が639万円、技能労務職が578万円だ。行政職の方が年収は1割も高い。問題の民間給与だが、平成20年の厚生労働省「賃金構造基本統計調査」によると、大阪府の企業規模10人以上の平均年収は534万円に過ぎない。大阪市の行政職の平均年収はカット後でも、民間の平均より22%も高いのだ。ちなみに規模5~9人の大阪府企業の平均年収は417万円だから、ここから考えれば、大阪市の行政職は、民間よりはるかに高い年収をもらっていることになる。

 ところが、橋下市長は行政職の思い切った給与削減には出ない。平成24年度の年収削減率は平均で4.8%に過ぎないのだ。それなのに橋下市長は市議会で、職員の給与カットについて「国が2年かけてやろうとしている水準を、わずか2カ月で実現してくれた。職員と職員組合には敬意を表したい」と絶賛しているのだ。

 これは一体何を意味するのだろうか。理由は三つあると思う。一つ目の理由は、行政職を敵に回したくないということだろう。自分の行政を支えてくれる行政職の反感は買いたくないが、現業職員を敵に回しても、何の問題もないということだ。そして、二つ目の理由は、生贄を作ることだ。4割近い年収カットというのは、働く人からみたら恐怖以外のなにものでもない。生活そのものが崩壊してしまう。それを横目でみたら、行政職の職員は、自分たちがそうならないように、市長の言うことを何でも聞くようになるだろう。そして三つ目の理由は、最初に大きな数字を示しておいて、後で緩和してやるということだ。例えば4割カットと最初に言っておいて、3割カットで勘弁してやれば、バス運転手は「橋下市長のおかげで1割も給料を上げてもらえた」と感じてしまう。弁護士がよく使う交渉術だ。

※上記の記事全文は現在配信中の『メルマガNEWSポストセブン』6号で読めます。

『メルマガNEWSポストセブン』

関連記事

トピックス

結婚生活に終わりを告げた羽生結弦(SNSより)
【全文公開】羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんが地元ローカル番組に生出演 “結婚していた3か間”については口を閉ざすも、再出演は快諾
女性セブン
「二時間だけのバカンス」のMV監督は椎名のパートナー
「ヒカルちゃん、ずりぃよ」宇多田ヒカルと椎名林檎がテレビ初共演 同期デビューでプライベートでも深いつきあいの歌姫2人の交友録
女性セブン
NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン