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56歳病院院長 30代で77kgあったが1日1食で若々しい62kgに

“長寿遺伝子”“若返り遺伝子”とも呼ばれる「サーチュイン遺伝子」の研究が進んでいる。サルを対象に行った調査により、“腹ペコ”を保つと活性化することが判明したこのサーチュイン遺伝子の効果はまだ人間では立証されていないものの、「空腹で若返る」というテーマは、アンチエイジングの分野で高い注目を浴びている。

 1月18日に発売された『「空腹」が人を健康にする』(サンマーク出版)が発売1か月余りで20万部のベストセラーとなっている。著者の南雲吉則・ナグモクリニック総院長は、30代の頃、暴飲暴食で77kgまで太ったが、さまざまなダイエット法を試しながら「1日1食」に辿り着いた。食事は夕食だけ。その代わりその1食は好きなものを食べることにした。

 腹ペコ生活を始めたところ、体重は62kgをキープし、56歳とは思えない若々しさを保っている。人間ドックで血管年齢は26歳、骨年齢は28歳と判定されたという。南雲氏も、空腹の効果について、第一に「サーチュイン遺伝子」の活性化を挙げる。加えて、成長ホルモンにも注目すべきだという。更年期医学を専門とする金沢大学大学院医学系研究科の小池浩司・准教授が解説する。

「成長ホルモンは“若返りホルモン”といわれ、歳をとると減っていくものですが、飢餓の状態になると成長ホルモンの分泌が増え、体全体にいい影響を与えることがわかっています。飢餓が行き過ぎると逆効果になるので注意が必要ですが、適度な摂取カロリーの制限がアンチエイジングにつながるというのは、すでに研究者の間で共通認識となっています」

 空腹になってお腹がグーッと鳴ると、その瞬間、消化管からグレリンというペプチドホルモンが分泌され、それが下垂体を刺激して成長ホルモンの分泌を強力に刺激する。成長ホルモンは、細胞分裂を活発化させて骨や筋肉の成長を促すだけでなく、体脂肪の燃焼を促進するのである。

※週刊ポスト2012年3月16日号

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