国内

抱腹絶倒というしかない「小沢判決文」がコネ回す小理屈

「とにかく無罪なんだから中身はいいだろう」――そんな国民と法治を馬鹿にした声が聞こえてきそうな判決文だった。確かに、判決文をろくに読まないか、読んでも自分自身で判断しようとしない司法クラブ記者たちは、この判決がいかに異様か、いかに異例かを1行も書くことができなかった。が、この100ページにも及ぶ判決文は、たとえ無罪判決だといっても、日本の司法の腐敗を歴史に残す、恥ずべき「証拠資料」である。

 司法や報道の劣化に興味のある読者は、判決文全文を別記事「小沢一郎氏「土地取引で強制起訴も無罪判決」全文を一挙公開」に掲載したのでお読みいただきたい。本稿でその詳細を紹介するにはスペースが足りないので、どういう問題判決であったかの一部をお伝えするにとどめたい。

◆「小沢のカネ」を隠した

 判決文の屋台骨を支える誤った論理の中核が、「秘書たちは小沢の個人資金4億円が発覚することを恐れて様々な工作をした」というストーリーである。

 判決文はいろいろ小理屈をコネ回して「小沢が巨額の個人資金を持っていることを隠そうとしていた」という論理を支えようとしているが、何をいくらいおうと、これが間違いであることは小学生でもわかる。

 本誌が繰り返し報道してきた通り、小沢元代表の政治資金収支報告書には、はっきりと「借入金 小澤一郎 4億円」と記載されているのである。

 このことは、小沢叩きをしたい記者クラブ・メディアや政治家は決して口にしないから、いまだに本誌には「本当に記載されているのか。そんな話は週刊ポストしか書いていない」という読者からの問い合わせが多いほどだ。

 どんなマヌケな秘書でも、“このカネは隠さなければならない”と思えば、報告書に親分の名を堂々と書くわけがない。この議論は、この事実だけで誰の目にも真相は明らかである。秘書にも小沢元代表にも、このカネが小沢氏自身のものであることを隠す意図はなかったのである。

 なお判決では上の記載について、「日付が、小沢氏から提供された4億円を担保に、りそな銀行から同額を借り入れた日だった」という事実を盾に、「これは小沢氏の4億円を記載したものではなく、りそなの4億円を記載したものだ」と結論づけるのである。「りそな4億円」を「小沢4億円」と記載することで小沢のカネを隠した、というのだから、もはや抱腹絶倒の駄文だ。

※週刊ポスト2012年5月18日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
フリー転身を発表した遠野なぎこ(本人instagramより)
「救急車と消防車、警官が来ていた…」遠野なぎこ、SNSが更新ストップでファンが心配「ポストが郵便物でパンパンに」自宅マンションで起きていた“異変”
NEWSポストセブン
モンゴルを訪問される予定の雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、「灼熱のモンゴル8日間」断行のご覚悟 主治医とともに18年ぶりの雪辱、現地では角界のヒーローたちがお出迎えか 
女性セブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
「『逃げも隠れもしない』と話しています」地元・伊東市で動揺広がる“学歴詐称疑惑” 田久保真紀市長は支援者に“謝罪行脚”か《問い合わせ200件超で市役所パンク》
NEWSポストセブン
佐々木希と渡部建
《六本木ヒルズ・多目的トイレ5年後の現在》佐々木希が覚悟の不倫振り返り…“復活”目前の渡部建が世間を震撼させた“現場”の動線
NEWSポストセブン
東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
児童盗撮で逮捕された森山勇二容疑者(左)と小瀬村史也容疑者(右)
《児童盗撮で逮捕された教師グループ》虚飾の仮面に隠された素顔「両親は教師の真面目な一家」「主犯格は大地主の名家に婿養子」
女性セブン
組織が割れかねない“内紛”の火種(八角理事長)
《白鵬が去って「一強体制」と思いきや…》八角理事長にまさかの落選危機 定年延長案に相撲協会内で反発広がり、理事長選で“クーデター”も
週刊ポスト
たつき諒著『私が見た未来 完全版』と角氏
《7月5日大災害説に気象庁もデマ認定》太陽フレア最大化、ポピ族の隕石予言まで…オカルト研究家が強調する“その日”の冷静な過ごし方「ぜひ、予言が外れる選択肢を残してほしい」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン