ライフ

年明けうどん 紅い具材添え15日までに食べて1年の幸せ願う

京都祇園にオープンしたうどんミュージアム

2013年のトレンドは「うどん」だ。大人力・コラムニストの石原壮一郎氏が「大人にとって大切なことは全てうどんから学べる」と力説する。

 * * *
「年明けうどん」という言葉をご存知でしょうか。元旦から15日までのあいだに、純白のうどんに、新春を祝う紅い具材を添えた紅白のおめでたいうどんを食べることで、その年の幸せを願うというもの。紅い具材は、梅干し、かまぼこ、金時人参のかき揚げ、海老のてんぷらなど、紅ければなんでもかまいません。

 うどんは太くて長いことから、元々、長寿を祈る縁起物とされてきました。「年明けうどん」は、さぬきうどん振興協議会が提唱し、2009年のお正月から大々的に普及活動がスタート。ほかの地方のうどんも呼びかけに応えて参加したり、年明けうどん用のカップ麺が販売されたりなど、徐々に広まりつつあります。

 何を隠そう2013年は、うどんに注目が集まる一年になりそうです。一時期のさぬきうどんブームは落ち着きましたが、ふと気が付くと、全国どこに行っても「丸亀製麺」(現在670店舗!)があり、以前は蕎麦が幅を利かせていて(細いくせに)うどんに馴染みが薄かった東京でも、当たり前のようにうどん屋さんを見るようになりました。大阪発祥で東京にも5店舗がある「つるとんたん」は、どの店舗も常に行列が絶えません。

 2012年の暮れには、京都祇園に全国各地のうどんを集めた「うどんミュージアム【うどん博物館】」がオープンしました。「多様性があるのが、うどんの魅力。ここでいろんなうどんに出合って、それぞれの地元にもぜひ足を運んでもらいたい。うどんで日本を活性化できたら」とは、代表理事の高屋友明さん。

 関東ではおなじみのチェーン店「山田うどん」の魅力に迫った本も、2012年11月に出ました。その名も『愛の山田うどん-廻ってくれ、俺の頭上で!!』(北尾トロ&えのきどいちろう著、河出書房新社)。いろんなところで、うどん大ブレイクの予兆が感じられます。

 個人的に熱烈にプッシュしている伊勢うどんだって、黙っちゃいません。今年は伊勢神宮が20年に一度の式年遷宮を迎えます。しかも出雲大社とのダブル遷宮。いろんな形で伊勢が話題になり、必然的に伊勢うどんの人気や知名度もアップするでしょう。太くてやわらかい麺が特徴で、いわばさぬきうどんとは対極の存在である伊勢うどんがメジャーシーンに躍り出てくれば、日本人の価値観全体に大きな揺さぶりをかけるはず。

 そう、じつはうどんは大人にとって大切なことをたくさん教えてくれます。コシを重視するうどんもあれば、伊勢うどんのようにコシが無いことを良しとするうどんも少なくありません。正解はひとつじゃないということ、目指すところが違ってもわかりあえるということ、どんな具材どんな味のツユともそれなりにうまくやっていける懐の深さ……。

 年明けうどんをすすって、今年の幸せを祈りながら、うどんの教えを噛みしめてみてはいかがでしょうか。少なくとも、お正月のご馳走で疲れた胃を休めることはできます。

関連記事

トピックス

司組長が到着した。傘をさすのは竹内照明・弘道会会長だ
「110年の山口組の歴史に汚点を残すのでは…」山口組・司忍組長、竹内照明若頭が狙う“総本部奪還作戦”【警察は「壊滅まで解除はない」と強硬姿勢】
NEWSポストセブン
バスツアーを完遂したイボニー・ブルー(インスタグラムより)
《新入生をターゲットに…》「60人くらいと寝た」金髪美人インフルエンサー(26)、イギリスの大学めぐるバスツアーの海外進出に意欲
NEWSポストセブン
横山剣氏(左)と作曲家・村井邦彦氏のスペシャル対談
《スペシャル対談・横山剣×村井邦彦》「荒井由実との出会い」「名盤『ひこうき雲』で起きた奇跡的な偶然」…現代日本音楽史のVIPが明かす至極のエピソード
週刊ポスト
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【ハワイ別荘・泥沼訴訟に新展開】「大谷翔平があんたを訴えるぞ!と脅しを…」原告女性が「代理人・バレロ氏の横暴」を主張、「真美子さんと愛娘の存在」で変化か
NEWSポストセブン
小林夢果、川崎春花、阿部未悠
トリプルボギー不倫騒動のシード権争いに明暗 シーズン終盤で阿部未悠のみが圏内、川崎春花と小林夢果に残された希望は“一発逆転優勝”
週刊ポスト
ハワイ島の高級住宅開発を巡る訴訟で提訴された大谷翔平(時事通信フォト)
《テレビをつけたら大谷翔平》年間150億円…高騰し続ける大谷のCMスポンサー料、国内外で狙われる「真美子さんCM出演」の現実度
NEWSポストセブン
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の公判が神戸地裁で開かれた(右・時事通信)
「弟の死体で引きつけて…」祖母・母・弟をクロスボウで撃ち殺した野津英滉被告(28)、母親の遺体をリビングに引きずった「残忍すぎる理由」【公判詳報】
NEWSポストセブン
焼酎とウイスキーはロックかストレートのみで飲むスタイル
《松本の不動産王として悠々自適》「銃弾5発を浴びて生還」テコンドー協会“最強のボス”金原昇氏が語る壮絶半生と知られざる教育者の素顔
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《黒縁メガネで笑顔を浮かべ…“ラブホ通い詰め動画”が存在》前橋市長の「釈明会見」に止まぬ困惑と批判の声、市関係者は「動画を見た人は彼女の説明に違和感を持っている」
NEWSポストセブン
バイプレーヤーとして存在感を増している俳優・黒田大輔さん
《⼥⼦レスラー役の⼥優さんを泣かせてしまった…》バイプレーヤー・黒田大輔に出演依頼が絶えない理由、明かした俳優人生で「一番悩んだ役」
NEWSポストセブン
国民スポーツ大会の総合閉会式に出席された佳子さま(10月8日撮影、共同通信社)
《“クッキリ服”に心配の声》佳子さまの“際立ちファッション”をモード誌スタイリストが解説「由緒あるブランドをフレッシュに着こなして」
NEWSポストセブン