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内戦状態でも撤退しなかった日揮「アルジェリアの真の友人」

 日本人スタッフ17人のうち10人が犠牲になるという悲惨な結末を迎えた、アルジェリア人質事件。今回の事件で、いみじくも全国に名を知られることになった「日揮」だ。普段耳にする機会は少ないが、1928年創業で、石油や天然ガスのプラント建設では世界有数の規模と実績を誇る企業だ。

「千代田化工建設、東洋エンジニアリングとともに“エンジニアリング御三家”と呼ばれる大手企業で、昨年度の売上高は5569億円。うち海外売上高比率が7割を超え、世界約70か国で2万件にもおよぶプロジェクトの経験をもっています」(企業の海外進出に詳しい証券アナリスト)

 アルジェリアでは1969年にアルズー製油所プロジェクトを受注・成功させた。それを機にアルジェリアで信頼を得て、以来40年あまり、関係を深めてきた。

 アフリカ北部に位置するアルジェリアは、1989年に民主化されたが、1990年代からイスラム過激派によるテロが深刻化し、軍との間で内戦に近い状態に陥った。1999年以降、内戦は徐々に収束していったが、混乱の中でも日揮は撤退せず、工期を守ってきた。それゆえ「アルジェリアの真の友人で、いかなる困難に遭遇しても必ずやり抜く会社」とさえ評されているほどだ。

 2009年に副社長に就任、昨年から最高顧問となり、アルジェリア事業の総責任者を務めていた新谷正法さん(享年66)も事件に巻き込まれた。

 新谷さんの身元が確認されたのは、結婚指輪からだった。日揮の説明によれば、指輪にイニシャルと数字が刻印されていて、夫人に確認すると「夫に間違いないです。覚悟はしていました」と答えたという。新谷さんは、日揮社内でも愛妻家として知られていた。近所の住民が言う。

「新谷さんは若い頃から海外に行かれることが多かったので、奥さんは時々『寂しい』と話していました。でも、偉くなられてからは日本にいらっしゃることが多くなり、近所でお見かけすることも多くなっていた。ようやくご夫婦での生活を楽しんでおられた様子だっただけに、残念でなりません」

 日揮関係者によれば、新谷さんは、「技術系を統括し、何もないところにプラントを作ることにロマンを感じながら仕事をしていた。非常に熱い人で、よく現場も訪れていた」と言う。

※女性セブン2013年2月14日号

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