国内

非課税特権逆手にボロ儲け教団も 宗教法人優遇税制検討を指摘

 民主党政権時代に議論された宗教法人課税問題が、自民党の政権復帰とともに一気にトーンダウンした。『宗教法人税制「異論」』(現代企画室刊)の著者で元国会議員秘書の佐藤芳博氏は、「今こそ宗教法人の優遇税制を見直すべきだ」と提言する。

 * * *
 現在5%の消費税率が条件付きながら来年に8%、再来年には10%に引き上げられようとしている。しかし困窮する国民生活の現状を考えると、安易な消費税増税を行なうことは避けなければならない。その前にやるべきことがあるはずだ。それは宗教法人に対する優遇税制を抜本的に見直すことである。
 
 宗教法人は税制面でさまざまな優遇措置を受けている。お布施、お賽銭、墓地の貸付、神前仏前結婚式の挙式など、本業の宗教活動の収入は全部非課税である。保有する境内地や境内建物の固定資産税や不動産取得税、都市計画税なども免除されている。
 
 サイドビジネスも優遇されている。株式会社などの営利法人の基本税率が25.5%なのに対し、宗教法人が営む宿泊施設や駐車場、不動産賃貸といった収益事業は19%(所得金額年800万円までは15%)と低めの税率になっている。しかもそこから得た所得の2割は宗教法人本来の業務への寄付金として損金算入が認められているのだ。
 
 こうした至れり尽くせりの優遇税制は「宗教は国民の道徳基盤を支えるものであり、間違っても法をたがえることはない」という宗教法人=性善説に基づくものだ。しかし昨今、税の申告漏れや脱税、不適切な収益事業の実施など、宗教法人の管理運営をめぐる不祥事が相次ぎ、さらに非課税特権を逆手にとってボロ儲けする“金満教団”も跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)している。今こそ宗教法人優遇税制を検討すべきである。

※SAPIO2013年3月号

関連キーワード

トピックス

野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン
8月20日・神戸市のマンションで女性が刺殺される事件が発生した(右/時事通信フォト)
《神戸市・24歳女性刺殺》「エレベーターの前に血溜まり、女性の靴が片方だけ…」オートロックを突破し数分で逃走、片山恵さん(24)を襲った悲劇の“緊迫の一部始終”
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘に関する訴訟があった(共同通信)
「オオタニは代理人を盾に…」黒塗りの訴状に記された“大谷翔平ビジネスのリアル”…ハワイ25億円別荘の訴訟騒動、前々からあった“不吉な予兆”
NEWSポストセブン
話題を集めた佳子さま着用の水玉ワンピース(写真/共同通信社)
《夏らしくてとても爽やかとSNSで絶賛》佳子さま“何年も同じ水玉ワンピースを着回し”で体現する「皇室の伝統的な精神」
週刊ポスト
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
《駆除個体は名物熊“岩尾別の母さん”》地元で評判の「大人しいクマ」が人を襲ったワケ「現場は“アリの巣が沢山出来る”ヒヤリハット地点だった」【羅臼岳ヒグマ死亡事故】
NEWSポストセブン
決勝の相手は智弁和歌山。奇しくも当時のキャプテンは中谷仁で、現在、母校の監督をしている点でも両者は共通する
1997年夏の甲子園で820球を投げた平安・川口知哉 プロ入り後の不調について「あの夏の代償はまったくなかった。自分に実力がなかっただけ」
週刊ポスト
真美子さんが信頼を寄せる大谷翔平の代理人・ネズ・バレロ氏(時事通信)
《“訴訟でモヤモヤ”の真美子さん》スゴ腕代理人・バレロ氏に寄せる“全幅の信頼”「スイートルームにも家族で同伴」【大谷翔平のハワイ別荘訴訟騒動】
NEWSポストセブン
中居正広氏の騒動はどこに帰着するのか
《中居正広氏のトラブル事案はなぜ刑事事件にならないのか》示談内容に「刑事告訴しない」条項が盛り込まれている可能性も 示談破棄なら状況変化も
週刊ポスト
離婚を発表した加藤ローサと松井大輔(右/Instagramより)
「ママがやってよ」が嫌いな言葉…加藤ローサ(40)、夫・松井大輔氏(44)に尽くし続けた背景に母が伝えていた“人生失敗の3大要素”
NEWSポストセブン
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
【観光客が熊に餌を…】羅臼岳クマ事故でべテランハンターが指摘する“過酷すぎる駆除活動”「日当8000円、労災もなし、人のためでも限界」
NEWSポストセブン
2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《金メダリスト・北島康介に不倫報道》「店内でも暗黙のウワサに…」 “小芝風花似”ホステスと逢瀬を重ねた“銀座の高級老舗クラブ”の正体「超一流が集まるお堅い店」
NEWSポストセブン
夏レジャーを普通に楽しんでほしいのが地域住民の願い(イメージ)
《各地の海辺が”行為”のための出会いの場に》近隣住民「男性同士で雑木林を分け行って…」 「本当に困ってんの、こっちは」ドローンで盗撮しようとする悪趣味な人たちも出現
NEWSポストセブン