8月20日・神戸市のマンションで女性が刺殺される事件が発生した(右/時事通信フォト)
北は六甲山、南は瀬戸内海に抱かれ、豊かな自然に恵まれた兵庫県神戸市。8月20日、神戸最大の繁華街があるJR三ノ宮駅から700メートルほど離れた場所の瀟洒なマンションに、血の海が広がった──。
19時22分、マンションの住人から兵庫県警に「エレベーターの中で女性が男に羽交い締めにされている」と通報があった。在阪の大手紙社会部記者が解説する。
「通報者はエントランスから自室に戻る際、エレベーター内の様子を映したモニターを見て110番した。このとき、男が刃物のようなものを手にしているのを目視しており、女性の悲鳴も聞こえたそうです。
襲われたのはこのマンションの住人で、大手損害保険会社に勤める片山恵さん(24)。男は片山さんがオートロックの扉を通過したところを後ろからついていき、犯行に及びました。捜査関係者によれば、別の住人が6階のエレベーター前で倒れている片山さんを発見し、非常階段を下る犯人らしき人物も目撃している」
片山さんはすぐに病院へ運ばれたものの、搬送先で死亡。司法解剖の結果、死因は上半身などを複数回刺されたことによる失血死だった。同日中に兵庫県警はこの事案を殺人事件と認定し、80名体制で犯人の捜索にあたった。
現場のマンションは港湾近くに位置し、神戸市内では比較的閑静なエリアだった。突然起きた事件に、当時現場は物々しい雰囲気に包まれた。このマンションの住民が話す。