ライフ

ジム通いなぜ続かない? 続く人と続かない人の違い識者分析

 春の新生活シーズンのこの時期、スポーツジムの入会希望者が増えるという。と同時に、退会する人も後を絶たない。確かに、健康のため運動でもしよう、と思ってジムに入会。1、2か月は頑張って通うけれど、次第に行く回数が減っていき、いつの間にか通わなくなってしまう…。そんな経験がある人は少なくないだろう。いったいどうしてジム通いは続かないのだろうか? 続けられる人と続けられない人の違いとは? 心理学者で駒沢女子大学教授の富田隆さんに聞いた。

 * * *
 基本的に人間は大変なことばかりだとなかなか続けられないんです。ダイエットだって、食欲を抑えて食べたい物も食べれなかったりすると、決して楽しいことではないから途中で挫折してしまう。ジム通いも同じです。健康やダイエットのために通い始めたとして、運動自体が目的ではないから運動することを楽しめず大変だと感じてしまうんです。

 手応えを感じにくい、というのもジム通いを続けられない大きな理由です。健康が明らかに増進したとか、体形がスマートになったとか、そういう明確な実感があれば誰だってがんばって続けられるんでしょうけれど、そういったものは短期間ではなかなか感じにくい。忙しくて週に1、2度しかジムに行けない人は余計に実感するのは難しいでしょう。

 例えば、テレビゲームや携帯ゲームは何の生産性もないけれど、夢中になる人がいますよね。ひとつのゲームにハマって、ちょっと時間があるとゲームをするというのが習慣化して、電車の中でもピコピコやっている人もいる。なぜ続けられるのかというと、ゲームはスコアが出たり敵を倒したり、手応えを感じられて楽しいからです。ジムの運動ではなかなかこうした手応えを得られないから、途中で通わなくなる人が多いんです。

 では、ジム通いを続けているのはどういう人なのか? もちろん、先ほど挙げた健康や体形で明確な改善を感じられた人は続けられるでしょうけれど、それ以外にはジムで別の目的を見つけられた人は継続して通う傾向があるように思います。

 例えば、素敵なインストラクターがいて、その人に会うことができる、というのもひとつの目的でしょうし、ジムで友人ができて、行けば友人とおしゃべりができる、というのも目的になると思います。友人と話すことで、運動自体はきつかったとしても楽しい時間を過ごすことができる。ある意味ではその人なりの“手応え”にもなるというわけです。

 ジム通いを継続させるには小さなステップを達成したことによる成果を“見える化”する方法があります。心理学でスモールステップの法則と言うのですが、ランニングマシンをやったとしたら、走った距離を、例えばマルセイユからスタートしてパリまで向かうという道のりに換算してみる。そうすることで、“今日は○○市まで着いた。パリまではあと○kmだ”と考えられる。小さなステップにわけると目標を達成しやすいし、それがやりがいにもつながっていくのです。

 記録をつけるのも有効です。その日、運動した時間や内容などを毎回、ノートなどにつけると、それが貯まっていきますよね。すると貯まっていくこと自体が楽しくなる。これは、預金通帳を見て貯まった金額を見て思わずニンマリしてしまう、ラジオ体操でスタンプを押してもらうのがうれしくて通う、というのと同じです。記録することで自分が積み重ねてきたことを実感できるから、うれしい気持ちになり継続できるんです。これもジム通いを続けるひとつの方法と言えます。

関連キーワード

関連記事

トピックス

田中圭
《田中圭が永野芽郁を招き入れた“別宅”》奥さんや子どもに迷惑かけられない…深酒後は元タレント妻に配慮して自宅回避の“家庭事情”
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告(中央)
《父・修被告よりわずかに軽い判決》母・浩子被告が浮かべていた“アルカイックスマイル”…札幌地裁は「執行猶予が妥当」【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
ラッパーとして活動する時期も(YouTubeより。現在は削除済み)
《川崎ストーカー死体遺棄事件》警察の対応に高まる批判 Googleマップに「臨港クズ警察署」、署の前で抗議の声があがり、機動隊が待機する事態に
NEWSポストセブン
ニセコアンヌプリは世界的なスキー場のある山としても知られている(時事通信フォト)
《じわじわ広がる中国バブル崩壊》建設費用踏み倒し、訪日観光客大量キャンセルに「泣くしかない」人たち「日本の話なんかどうでもいいと言われて唖然とした」
NEWSポストセブン
北海道札幌市にある建設会社「花井組」SNSでは社長が従業員に暴力を振るう動画が拡散されている(HPより、現在は削除済み)
《暴力動画拡散の花井組》 上半身裸で入れ墨を見せつけ、アウトロー漫画のLINEスタンプ…元従業員が明かした「ヤクザに強烈な憧れがある」 加害社長の素顔
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま入学から1か月、筑波大学で起こった変化 「棟に入るには学生証の提示」、出入りする関係業者にも「名札の装着、華美な服装は避けるよう指示」との証言
週刊ポスト
藤井聡太名人(時事通信フォト)
藤井聡太七冠が名人戦第2局で「AI評価値99%」から詰み筋ではない“守りの一手”を指した理由とは
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン
米利休氏のTikTok「保証年収15万円」
東大卒でも〈年収15万円〉…廃業寸前ギリギリ米農家のリアルとは《寄せられた「月収ではなくて?」「もっとマシなウソをつけ」の声に反論》
NEWSポストセブン
SNS上で「ドバイ案件」が大騒動になっている(時事通信フォト)
《ドバイ“ヤギ案件”騒動の背景》美女や関係者が証言する「砂漠のテントで女性10人と性的パーティー」「5万米ドルで歯を抜かれたり、殴られたり」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
田村容疑者のSNSのカバー画像
《目玉が入ったビンへの言葉がカギに》田村瑠奈の母・浩子被告、眼球見せられ「すごいね。」に有罪判決、裁判長が諭した“母親としての在り方”【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン