国際情報

韓国外務省の外交力 もはや日本の外務省の比でないと大前研一

 いま、日中韓の関係をどう捉えるか。「日本包囲網」という言葉も見られ、日本の孤立も指摘されるようになった。以下は大前研一氏の指摘である。

 * * *
 韓国の朴槿惠大統領が中国を訪問して習近平主席と会談し、これを機に両国がハネムーンを演出して急接近するのは間違いない。実際、韓国の新聞は、今回の首脳会談は日本と敵対する2つの国がいかに連携を深めるかが共通の目標であるとはっきり書いている。
 
 また、朴大統領に同行した約70人の経済使節団のリストには、現代、LG、SKをはじめそうそうたる財閥トップ(オーナー経営者)らがズラリと名を連ねた。かつての日本で言えば、松下幸之助氏、本田宗一郎氏、盛田昭夫氏らが揃って行くようなものであり、その顔ぶれを見るだけで、韓国の意気込みがよくわかる。
 
 いま、韓国のロビー活動は世界中で活発化している。すでにアメリカでは韓国ロビーがイスラエルロビーや中国ロビーと肩を並べるほど強くなり、票とカネを背景に大きな影響力を持っている。それは韓国の外務省が進化して外交の演出ができるようになった証しであり、その力はもはや日本の外務省の比ではない。
 
 日本は、中国と韓国に包囲されつつあることを認識しなければならない。韓国の新聞には「日本包囲網」という言葉が頻繁に出てくるが、それを打開するためには、まず中国とこじれた経緯の修復が不可欠になる。
 
 もちろん、目の前の課題を解決するだけで満足してはいけない。中国と韓国が日本に強硬な態度を取る背景には、両国で行なわれている反日的な歴史教育がある。戦後70年近く経っても日中、日韓関係がいっこうに改善しない根本的な原因だ。
 
 それを正すための外交的な不断の努力ができてこそ、ここで中国と関係修復する意味が見えてくる。居丈高な右翼外交もダメだが、相手に譲るだけの土下座外交はもっと国益を損なうのである。
 
 過去を振り返るのではなく、将来どういう関係を構築したいのか、というイメージを共有するところから第一歩を踏み出すしかない。

※SAPIO2013年8月号

関連キーワード

トピックス

NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
カラオケ大会を開催した中条きよし・維新参院議員
中条きよし・維新参院議員 芸能活動引退のはずが「カラオケ大会」で“おひねり営業”の現場
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン