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権威に弱い新聞は大誤報しても“俺たちも被害者”と開き直る

 大新聞は、昨年1月、「4年以内にM7」という報道を行なった。しかし、その根拠となった試算は、2年前に「30年以内に98%」という数字とともに東大地震研究所が発表していた。権威の発表を鵜呑みにして煽る。

 権威に弱いと言えば、「iPS細胞での移植」大誤報(読売新聞2012年10月11日付)も挙げられる。「ハーバード大の研究者」という虚偽の肩書を信じてありもしない研究成果を報じた。このケースでは自らの誤報を検証するのではなく、当のインチキ研究者を袋叩きにすることで“俺たちも被害者”という顔をした点も醜悪だった。
 
 誤報が報道被害を生むケースは多い。古くは1968年の3億円事件報道で、別件逮捕された青年が犯人視され、新聞であらゆるプライバシーが暴かれた。
 
 1974年の松戸OL殺人事件報道では、起訴(のちに無罪判決)された男性が当時起きていた首都圏連続女性殺害事件の犯人だと決めつけられるような書き方をされた。
 
 1994年の松本サリン事件報道でも、同じ過ちが繰り返された。いずれも捜査当局のリークに基づき、自ら検証取材もしないまま報じた同じ失敗である。

※SAPIO2013年10月号

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