ライフ

パート収入103万円の壁に疑問 130万~160万円こそ要注意

 パートで働く既婚女性は、推計では全国に651万人いるといわれる。かつてパートといえば、家計の足しに少しだけ…というイメージだったが、今は違う。パートとはいえ、正社員以上のキャリアやプライドをもって働いている人も多い。しかし、収入面はというと、必ずしも恵まれた状況にはない。夫の収入減や来年4月からの消費税アップもあり、改めてその働き方が問われている。

 超えると、大変な損をするといわれている“103万円の壁”。これは何か。ファイナンシャルプランナーの福一由紀さんが解説する。

「まず、妻のパートなどの年収が65万円以下なら、所得税はかかりません。65万円までは経費として扱われるため、年収65万円でも、所得は0円と捉えられるからです。

 これとは別に、『配偶者控除』という仕組みがあります。これを使えば、妻の所得が38万円以下なら、夫の所得税は少し安くなる。103万円というのは、この38万円の所得と65万円の経費を足した金額なのです」

 なるほど。ここは重要だから、繰り返しますね。38万円の所得プラス65万円の経費で、103万円。で、もし103万円を超えてしまったらどうなるのか。

「まず、妻の所得に所得税が発生します。夫は控除が受けられなくなり、税金が増える。でも、金額にすると数千円程度なんです。だから、その分も稼げるなら、103万円を超えてもまったく問題ありません」(福一さん)

 ここも大事。103万円を超えてもかかってくる税金は、数千円。なのに、いまだにパートで働く既婚女性の21%が年収や労働時間の調整をしている。

 また、そのうち63%が「103万円の壁」を理由に挙げている(厚生労働省・平成23年パートタイム労働者総合実態調査より)。

 そこには、妻を家庭に縛っておきたい夫のエゴも垣間見える。さらに「103万円を超えないほうがいいですよ」と、パートが総収入を抑えて働くことを雇用者は促す。雇用者側の考えを、福一さんが明かす。

「パートが週に30時間以上働くと、パート本人に加え、会社も社会保険料を負担しなくてはならなくなります。社会保険料はバカにならない。そこで、1人のパートに長く働かせず、複数の人に短時間という働き方を求めるのです」

 これも大事なポイントです。繰り返します。1人を長く働かせると保険料などがかかる。だから複数人にして短く。働く時間が週30時間以上にさえならなければ、雇用主には負担がかからないという、裏ワザ表ワザである。

「ただし」と福一さん。

「130万円の壁には注意してください」

 130万円までならいいが、妻の年収が130万円を超えると、結果として、世帯収入が下がる可能性が生じる。

「年金、健康保険ともに夫の扶養からはずれ、どちらも自分で保険料を支払わなければならなくなります。要するに支出が増えるのです」

 さらに、130万円以上、およそ160万円以下になると、働き損の可能性が高い“要注意ゾーン”になるともいう。手短かに説明すれば、壁は103万円でなく、130万円。その差、27万円。

※女性セブン2013年11月14日号

関連記事

トピックス

『徹子の部屋』に月そ出演した藤井風(右・Xより)
《急接近》黒柳徹子が歌手・藤井風を招待した“行きつけ高級イタリアン”「40年交際したフランス人ピアニストとの共通点」
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
鳥取県を訪問された佳子さま(2025年9月13日、撮影/JMPA)
佳子さま、鳥取県ご訪問でピンクコーデをご披露 2000円の「七宝焼イヤリング」からうかがえる“お気持ち”
NEWSポストセブン
長崎県へ訪問された天皇ご一家(2025年9月12日、撮影/JMPA)
《長崎ご訪問》雅子さまと愛子さまの“母娘リンクコーデ” パイピングジャケットやペールブルーのセットアップに共通点もおふたりが見せた着こなしの“違い”
NEWSポストセブン
永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《坂口健太郎との熱愛過去》25歳の永野芽郁が男性の共演者を“お兄ちゃん”と呼んできたリアルな事情
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン
国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン