国内

ネットの「嫌儲」 徹底リサーチと卓越した攻撃力で影響力大

「正直な話、今これだけ火がついてて、(私を非難している人たちの)名前も解らない、顔も解らない、何を対象に何を謝ればいい? それを説明して貰わないと。俺が誤った知識で暴言吐いて、それで心証を悪くされた方がいるなら心から謝罪します」

 日本最大のインターネット匿名掲示板「2ちゃんねる」。ふだんは世間に対し斜に構えた書き込みで埋まるはずの掲示板に、こんな真剣な謝罪文が掲載された。

 彼は、韓国、中国などを敵視する「ネット右翼」が多く集まる「東アジアニュース速報+板」(通称「東亜」)の常連で、通称「グラサン」と呼ばれていた。「朝鮮人がすべて悪い」「骨の髄まで中国の狗なんだな、お前ら朝鮮籍どもは」といったヘイトスピーチ的な言動で知られる存在だった。

 そんな彼が一転、このような謝罪に追い込まれたのは、「嫌儲」と呼ばれる人々を敵に回したことが原因だった。

「嫌儲」と書いて、「けんちょ」「けんもう」「いやもう」などと読む。ネットの書き込みで流通している用語なので、読みが統一されていない。

「嫌儲」とは、「儲けを嫌う」の意。具体的には、2ちゃんねるの書き込みなどを使って、商売にする行為を嫌うこと、また嫌う人々を指す。彼らの怒りを買った人々は、商売をやめざるを得なくなったり、ネット上で実名や住所を晒され非難の集中砲火を浴びせられた例もある。2ちゃんねるのなかでももっとも影響力の強い集団の一つだ。

「2ちゃんねるの中心ユーザーは30~40代とされていますが、嫌儲がどれだけの人数がいて、どういう素性なのかは全く分かっていない。それでも彼らが大きな影響力を持っているのは、徹底したリサーチに基づく、ずば抜けた“攻撃力”があるからです」(ウェブサイト管理人)

 目下、彼らにとって最大の敵となっているのが、2ちゃんねるの書き込みを転載した「まとめサイト」の管理人たちだ。

「まとめサイトには、アフィリエイト(成果報酬型広告)などの広告収入が管理人に入る仕組みになっている。2ちゃんねるの住人たちのなかには、かねて自分たちの書き込みがまとめサイトに勝手に転載され、管理人の儲けにつながることは許せないという考え方があった。

 その思想の最大の“過激派”が嫌儲で、彼らはまとめサイトの管理人潰しに動いた。今年に入ってから彼らが中心になり、まとめサイトの管理人の素性が特定され、次々に個人情報が晒され、10以上のまとめサイトが閉鎖される事態になったのです」(同前)

※週刊ポスト2014年3月28日号

関連記事

トピックス

米倉涼子
《新情報》イベントのドタキャン続く米倉涼子を支えた恋人の外国人ダンサー、日本を出国して“諸事情により帰国が延期”…国内でのレッスンも急きょキャンセル 知人は「少しでもそばにいてあげて」
NEWSポストセブン
約250人が列席した。大山さんが好きだった紫と白の花が飾られた祭壇の前で挨拶をする毒蝮三太夫さん(左)と十朱幸代さん
《大山のぶ代さん、一周忌追悼》26年間親しまれた、あなたの「ぼく、ドラえもん」を忘れない
週刊ポスト
出世街道を突き進む二所ノ関親方
《相撲協会、理事選のゆくえ》大の里の横綱昇進後初Vで注目が集まる二所ノ関親方の出世街道、飛び級で抜擢の可能性も ライバルだった元横綱・白鵬が退職したのも追い風
週刊ポスト
小川晶市長“ホテル通い詰め”騒動はどう決着をつけるのか(左/時事通信フォト)
《前橋・小川市長 は“生粋のお祭り女”》激しい暴れ獅子にアツくなり、だんベぇ踊りで鳴子を打ち…ラブホ通い騒動で市の一大行事「前橋まつり」を無念の欠席か《市民に広がる動揺》
NEWSポストセブン
歴史ある慶應ボート部が無期限で活動休止になったことがわかった(右・Instagramより)
《慶應体育会ボート部が無期限活動休止に》部員に浮上した性行為盗撮疑惑、ヘッドフォン盗難、居酒屋で泥酔大暴れも… ボート部関係者は「風紀は乱れに乱れていた」と証言
NEWSポストセブン
元大関・貴景勝
断髪式で注目の元大関・貴景勝 「湊川部屋」新設に向けて“3つの属性の弟子”が混在する複雑事情 稽古場付きの自宅の隣になぜか伊勢ヶ濱部屋の住居が引っ越してくる奇妙な状況も
NEWSポストセブン
京都を訪問された天皇皇后両陛下(2025年10月4日、撮影/JMPA)
《一枚で雰囲気がガラリ》「目を奪われる」皇后雅子さまの花柄スカーフが話題に 植物園にぴったりの装い
NEWSポストセブン
本誌直撃に“対立候補レンタル”を否定していた田中甲・市長(左)
《音声入手スクープ》市川市の田中甲・市長、市長選で“ダミー対立候補レンタル”の証拠音声 「もう一人立てましょう」「それ込みで2000万円渡した」
週刊ポスト
香川県を訪問された秋篠宮妃紀子さまと次女・佳子さま(2025年10月3日、撮影/JMPA)
《母娘の秋色コーデ》佳子さまはベージュ、紀子さまはホワイトのセットアップ アクセサリーはパールで共通もデザインで“違い”を見せられた
NEWSポストセブン
イベントの“ドタキャン”が続いている米倉涼子
《女優・米倉涼子に異変》体調不良でイベント“ドタキャン”が相次ぎ…8月からインスタの更新はストップ「お答えいたしかねます」回答
NEWSポストセブン
永野芽郁に業界からラブコール
《金髪写真集をフィリピンで撮影済み》永野芽郁、すでに民放キー局から「連ドラ出演打診」も…今も業界から評価される「プロ意識」
NEWSポストセブン
“ラブホテル通い”を認めた小川晶・前橋市長
《前橋市長が利用した露天風呂付きラブホ》ベッド脇にローテーブルとソファ、座ると腰と腰が密着…「どこにどのように着席して相談したのか」疑問視される“部屋の構造”
週刊ポスト