反日的な政策で大統領の支持率が上がるような現在の韓国だが、ビジネス界ではもともと「反日」は無縁のようだ。
昨年、韓国の貿易黒字は441億ドルと過去最大に膨らんだが、対日貿易では245億ドルの赤字を計上した。サムスンをはじめ韓国企業は、部品や素材を日本から輸入して組み立て、海外に輸出して稼ぐというビジネスモデルだからだ。
日本頼みであるにもかかわらず韓国全体が反日一色に染まっているように見えるのは何故か。韓国経済に詳しい大原浩氏(GINZAX・グローバル経済投資研究会代表)が解説する。
「サムスンなど財閥系企業とその他大勢では貧富の格差が拡大しており、国民の不満が鬱積する中、韓国政府は反日の旗を掲げることで政権批判をかわそうと躍起になっている。
そのためビジネスマンが親日を口に出せば立場が危うくなり、表立った発言を控える傾向が強まっている。しかし内心は違っていて、実は賢明な韓国人ビジネスマンには親日派が少なくない」
実際に周囲の目がない場所で彼らと話すと、さまざまな本音を口にする。
日本の飲食系企業の現地法人に勤める40代の韓国人男性は、日本流の手際の良さに感嘆したという。
「あるスタッフが確認を怠り発注ミスをして取引先に多大な迷惑をかけた時、日本人の上司はまず取引先のフォローに走り、謝罪だけでなく、今後の対応策まで即座にまとめて伝えていました。
韓国人なら感情的になって、まず自社の社員に詰め寄るところなのに、日本人は取引先への対応を終えてから社内でミスの原因を確認する。そのスピードと対応力には感心しました」
韓国の大手電機メーカーのデザイナーも、日本人の緻密さに舌を巻く。
「韓国人は未完成なイメージでも勢いに任せてしまいがちだが、日本人はその提案に行き着くまでの細かな情報収集など過程がしっかりしていて、正直かなわないと感じることは多いですね。
また、日本はデザインの見本になる、感性を磨かせてくれるものが多く溢れていて羨ましい。たとえば雑誌『ブルータス』などは毎号愛読しています」