国内

がん免疫療法の元祖「丸山ワクチン」新たな臨床データで騒然

患者負担の治験薬ながら使用者は40万人に達した「丸山ワクチン」

 がん治療は「手術」「放射線」「抗がん剤」が標準治療とされているが、その限界を唱える医師も登場する昨今。“第4の治療法”として注目を浴びているのが「免疫療法」である。がん細胞を直接殺すのではなく、人間の持つ自然免疫力を高めて、がんの発生や増殖を抑えようとする治療法である。

 いま、免疫療法の元祖というべき薬の有効性に大きな関心が集まっている。1944年に日本医科大学元学長の故・丸山千里氏が皮膚結核の薬として開発した『丸山ワクチン』である。

 丸山ワクチンは丸山博士を中心に長らくがん治療に転用する研究が続けられ、1976年には抗がん剤として製造承認を求める申請が当時の厚生省にも出されるも、「効果が認められない」と5年後に却下。薬事法にも規定のない異例の「有償治験薬(有料の治験薬)」として、希望者のみ医師の承諾書を提出すれば使用が認められている。

「丸山ワクチンは水と同じ」――いまも効果に疑問を呈すがん治療の権威はいるが、論より証拠。使用者はすでに40万人に達し、患者・家族の会には様々ながん治療のケースで、「劇的に回復した」という声も寄せられている。

 だが、いくら体験談が集まろうとも、きちんとした臨床試験を行い、科学的にも有効な根拠を示さない限り、がん治療薬としての正式認可が下りないのは当然といえる。今回、丸山ワクチンに再びスポットライトが当たっているのは、「新たな科学的データ」が出たからである。

 4月18日、都内のホールで行われた「NPO丸山ワクチンとがんを考える回(第12回)」。詰めかけた300人以上の患者や医療関係者の前で、埼玉医科大学国際医療センター教授(婦人科腫瘍科)の藤原恵一氏が、ひとつの治験データを報告した。

 藤原氏が丸山ワクチンの臨床試験に携わり始めたのは1992年。当時、川崎医科大学の産婦人科に勤務していた同氏は、上司の命によって「イヤイヤ」やらされていたという。「私も最初は丸山ワクチンなんて胡散臭いと思っていたんです」と苦笑する。しかし、臨床試験を続けていくうちに、驚愕の結果に触れることとなる。

「放射線治療を受ける国内の子宮頸がんの患者さん249人に、丸山ワクチンと同じ成分の薬(試験薬剤コード名はZ―100)を併用投与して、プラセボ(偽薬)との比較試験を行ったところ、Z―100を投与した患者さんの5年生存率が使わない患者さんより10%も上回っていたことが分かりました。これは他の抗がん剤や分子標的薬ではほとんどあり得ない数字です」

関連キーワード

関連記事

トピックス

《悠仁さま成年式》雅子さまが魅せたオールホワイトコーデ、 夜はゴールドのセットアップ 愛子さまは可愛らしいペールピンクをチョイス
《悠仁さま成年式》雅子さまが魅せたオールホワイトコーデ、 夜はゴールドのセットアップ 愛子さまは可愛らしいペールピンクをチョイス
NEWSポストセブン
LUNA SEA・真矢
と元モー娘。・石黒彩(Instagramより)
《80歳になる金婚式までがんばってほしい》脳腫瘍公表のLUNA SEA・真矢へ愛妻・元モー娘。石黒彩の願い「妻へのプレゼントにウェディングドレスで銀婚式」
NEWSポストセブン
昨年10月の総裁選で石破首相と一騎打ちとなった高市早苗氏(時事通信フォト)
「高市早苗氏という“最後の切り札”を出すか、小泉進次郎氏で“延命”するか…」フィフィ氏が分析する総裁選の“ウラの争点”【石破茂首相が辞任表明】
NEWSポストセブン
万博で身につけた”天然うるし珠イヤリング“(2025年8月23日、撮影/JMPA)
《“佳子さま売れ”のなぜ?》2990円ニット、5500円イヤリング…プチプラで華やかに見せるファッションリーダーぶり
NEWSポストセブン
次の首相の後任はどうなるのか(時事通信フォト)
《自民党総裁有力候補に党内から不安》高市早苗氏は「右過ぎて参政党と連立なんてことも言い出しかねない」、小泉進次郎氏は「中身の薄さはいかんともしがたい」の評
NEWSポストセブン
阪神の中野拓夢(時事通信フォト)
《阪神優勝の立役者》選手会長・中野拓夢を献身的に支える“3歳年上のインスタグラマー妻”が貫く「徹底した配慮」
NEWSポストセブン
9年の濃厚な女優人生を駆け抜けた夏目雅子さん(撮影/田川清美)
《没後40年・夏目雅子さんを偲ぶ》永遠の「原石」として記憶に刻まれた女優 『瀬戸内少年野球団』での天真爛漫さは「技巧では決して表現できない境地」
週刊ポスト
朝比ライオさん
《マルチ2世家族の壮絶な実態》「母は姉の制服を切り刻み…」「包丁を手に『アンタを殺して私も死ぬ』と」京大合格も就職も母の“アップへの成果報告”に利用された
NEWSポストセブン
チームには多くの不安材料が
《大谷翔平のポストシーズンに不安材料》ドジャースで深刻な「セットアッパー&クローザー不足」、大谷をクローザーで起用するプランもあるか
週刊ポスト
ブリトニー・スピアーズ(時事通信フォト)
《ブリトニー・スピアーズの現在》“スケ感がスゴい”レオタード姿を公開…腰をくねらせ胸元をさすって踊る様子に「誰か助けてあげられないか?」とファンが心配 
NEWSポストセブン
政権の命運を握る存在に(時事通信フォト)
《岸田文雄・前首相の奸計》「加藤の乱」から学んだ倒閣運動 石破降ろしの汚れ役は旧安倍派や麻生派にやらせ、自らはキャスティングボートを握った
週刊ポスト
2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《不倫報道で沈黙続ける北島康介》元ボーカル妻が過ごす「いつも通りの日常」SNSで垣間見えた“現在の夫婦関係”
NEWSポストセブン