ビジネス

企業ロゴ ナイキやアップルに倣い社名入れない表現が増加か

 普段なにげなく目にする会社のロゴマーク。そこには企業それぞれの戦略や理念、信念などさまざまな思いが込められている。
 
「ロゴマークは『家紋』のようなもの」と分析するのは、証券市場に精通し、経営情報や会社のロゴマークに詳しいストックボイス副社長の岩本秀雄氏だ。
 
「水戸黄門が将軍家の家紋がついた印籠でステータスや権威を示したように、それを見れば誰でもわかるのが会社ロゴマーク。そこには顧客や社会に向けたメッセージが込められ、それが各社の事業や製品、サービスに対する信頼感につながっている。ただ、家紋と違い、会社ロゴマークは事業内容の変化や成長、あるいは創業50周年記念の節目など、時代と共に変わっていくものです」
 
 また一般的に知られる各社のマークは必ずしも「企業のマーク」とは限らない。代表的な商品名やブランドを示すロゴが“企業の顔”となるケースもある。
 
 最近では、グローバル化の進展に伴って世界に広く知ってもらおうと英文表記など横文字のロゴが増えているが、「かつては独特の書体を用いた漢字表記やその企業の出所を示すようなこだわりのマークなど、どこか“味”があった。たとえばキッコーマンの六角形の亀甲のなかに萬のマークや、ヤマハの3本の音叉マークなど、並々ならぬ思い入れが感じられるマークは今も多い」(岩本氏)という。
 
 もちろん会社ロゴマークは自社をアピールする最上の看板であり、商売道具である。そうやすやすと変えられるものではない。
 
「マークを見て商品やサービスを選ぶ人は多い。それだけのブランド力を持つ以上、企業にとっては数年で交代する社長よりも重い存在といえるかもしれない」(岩本氏)
 
 一目見ただけでわかるものから、由来を紐解くことで深い意味に気づかされるものまで、まさに百花繚乱の会社ロゴマーク。経済環境が目まぐるしく変わるなか、「今後、ロゴマークも変わっていくのは間違いない」と岩本氏は見る。
 
「これまでは世の中に広める、知ってもらうために、社名の横にマークというのが主流でした。しかし、事業が世界的に広く浸透し、なおかつ自信があれば、それ自体がブランド力を持つ。今後は、世界で圧倒的な知名度のあるナイキやアップル、スターバックスなどのように、社名を入れずにマークだけで表現する企業が増えていくのではないか」
 
 ロゴマークに注目することで、その企業の文化や戦略などが見えてくる。そんな意識を持って目を凝らせば、違う世界が開けるに違いない。

※週刊ポスト2014年6月27日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
「同棲していたのは小柄な彼女」大麻所持容疑の清水尋也容疑者“家賃15万円自宅アパート”緊迫のガサ当日「『ブーッ!』早朝、大きなクラクションが鳴った」《大家が証言》
NEWSポストセブン
当時の水原とのスタバでの交流について語ったボウヤー
「大谷翔平の名前で日本酒を売りたいんだ、どうかな」26億円を詐取した違法胴元・ボウヤーが明かす、当時の水原一平に迫っていた“大谷マネーへの触手”
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
《同居女性も容疑を認める》清水尋也容疑者(26)Hip-hopに支えられた「私生活」、関係者が語る“仕事と切り離したプライベートの顔”【大麻所持の疑いで逮捕】
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
【大麻のルールをプレゼンしていた】俳優・清水尋也容疑者が“3か月間の米ロス留学”で発表した“マリファナの法律”「本人はどこの国へ行ってもダメ」《麻薬取締法違反で逮捕》
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン
賭博の胴元・ボウヤーが暴露本を出版していた
大谷翔平から26億円を掠めた違法胴元・ボウヤーが“暴露本”を出版していた!「日本でも売りたい」“大谷と水原一平の真実”の章に書かれた意外な内容
NEWSポストセブン
清武英利氏がノンフィクション作品『記者は天国に行けない 反骨のジャーナリズム戦記』(文藝春秋刊)を上梓した
《出世や歳に負けるな。逃げずに書き続けよう》ノンフィクション作家・清武英利氏が語った「最後の独裁者を書いた理由」「僕は“鉱夫”でありたい」
NEWSポストセブン
ロコ・ソラーレ(時事通信フォト)
《メンバーの夫が顔面骨折の交通事故も》試練乗り越えてロコ・ソラーレがミラノ五輪日本代表決定戦に挑む、わずかなオフに過ごした「充実の夫婦時間」
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(時事通信フォト)
《麻薬取締法違反の疑いでガサ入れ》サントリー新浪剛史会長「知人女性が送ってきた」「適法との認識で購入したサプリ」問題で辞任 “海外出張後にジム”多忙な中で追求していた筋肉
NEWSポストセブン
サークル活動にも精を出しているという悠仁さま(写真/共同通信社)
悠仁さまの筑波大キャンパスライフ、上級生の間では「顔がかっこいい」と話題に バドミントンサークル内で呼ばれる“あだ名”とは
週刊ポスト
『週刊ポスト』8月4日発売号で撮り下ろしグラビアに挑戦
渡邊渚さんが綴る“からっぽの夏休み”「SNSや世間のゴタゴタも全部がバカらしくなった」
NEWSポストセブン
米カリフォルニア州のバーバンク警察は連続“尻嗅ぎ犯”を逮捕した(TikTokより)
《書店で女性のお尻を嗅ぐ動画が拡散》“連続尻嗅ぎ犯” クラウダー容疑者の卑劣な犯行【日本でも社会問題“触らない痴漢”】
NEWSポストセブン