ビジネス

経済ニュースに登場する「市場関係者」の話を信じる必要はなし

 大きな経済ニュースがあると「市場関係者の声」という一見、もっともらしいコメントが新聞やテレビに登場する。骨太の方針や成長戦略に関する報道でもそうだ。

 そんな銀行や証券、生保、損保といった金融業界エコノミストの話はどれくらい信用できるのだろうか。答えを先に言えば、彼らの話を真に受ける必要はない。彼らは所属する会社と自分自身の商売を最優先にしているからだ。

 彼らにとって最大のお得意様は誰かと言えば、財務省や日銀である。金融機関は国債や外国為替を大量に売買している。とりわけ国債では発行元の財務省に、為替や社債では日銀に、彼らは足を向けては寝られない関係にある。

 だから世間に向けて発言するとき、財務省や日銀に都合が悪いことは、まず絶対に言わない。たとえば「増税は時期尚早」とか「金融緩和が不十分」などは禁句なのだ。

 財務省は情報収集にかけては日本一の組織である。新聞やテレビ、経済誌はもちろん会社発行の経済レポートに至るまで、エコノミストたちの発言は1週間単位でもれなくチェックしている。

 発言集はA4判数枚にまとめられ、幹部の間で回覧される。「専門家の見方を分析している」と言えば聞こえがいいが、実はエコノミストたちを査定評価しているのだ。

「こいつの発言は問題だ」と思えば、財務省や日銀が定期的に開くエコノミスト向け会合で出入り禁止にするくらいは序の口だ。いざとなれば、所属する会社に「彼の意見はいかがなものか」と警告する。

 逆に「これは使える」と見込めば、若手官僚の勉強会に呼ぶのを手始めに、審議会委員に起用したり、財務省本体への出向をもちかけるなど取り込みにかかる。日銀審議委員への「天上がり」はそんなアメ玉の最高ポストだ。エコノミストの側からみると、財務省や日銀を敵に回しても何の得にもならない。

 若いエコノミストにとって、新聞コメントは自分を売り出す絶好のチャンスでもある。コメントをきっかけに経済誌に論文を書いたり、テレビに出演したりして、より良い条件での転職を狙っている。

関連キーワード

トピックス

第1子を出産した真美子さんと大谷(/時事通信フォト)
《母と2人で異国の子育て》真美子さんを支える「幼少期から大好きだったディズニーソング」…セーラームーン並みにテンションがアガる好きな曲「大谷に“布教”したんじゃ?」
NEWSポストセブン
俳優・北村総一朗さん
《今年90歳の『踊る大捜査線』湾岸署署長》俳優・北村総一朗が語った22歳年下夫人への感謝「人生最大の不幸が戦争体験なら、人生最大の幸せは妻と出会ったこと」
NEWSポストセブン
コムズ被告主催のパーティーにはジャスティン・ビーバーも参加していた(Getty Images)
《米セレブの性パーティー“フリーク・オフ”に新展開》“シャスティン・ビーバー被害者説”を関係者が否定、〈まるで40代〉に激変も口を閉ざしていたワケ【ディディ事件】
NEWSポストセブン
漫才賞レース『THE SECOND』で躍動(c)フジテレビ
「お、お、おさむちゃんでーす!」漫才ブームから40年超で再爆発「ザ・ぼんち」の凄さ ノンスタ石田「名前を言っただけで笑いを取れる芸人なんて他にどれだけいます?」
週刊ポスト
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
「よだれを垂らして普通の状態ではなかった」レーサム創業者“薬物漬け性パーティー”が露呈した「緊迫の瞬間」〈田中剛容疑者、奥本美穂容疑者、小西木菜容疑者が逮捕〉
NEWSポストセブン
1泊2日の日程で石川県七尾市と志賀町をご訪問(2025年5月19日、撮影/JMPA)
《1泊2日で石川県へ》愛子さま、被災地ご訪問はパンツルック 「ホワイト」と「ブラック」の使い分けで見せた2つの大人コーデ
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で「虫が大量発生」という新たなトラブルが勃発(写真/読者提供)
《万博で「虫」大量発生…正体は》「キャー!」関西万博に響いた若い女性の悲鳴、専門家が解説する「一度羽化したユスリカの早期駆除は現実的でない」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
《美女をあてがうスカウトの“恐ろしい手練手管”》有名国立大学に通う小西木菜容疑者(21)が“薬物漬けパーティー”に堕ちるまで〈レーサム創業者・田中剛容疑者、奥本美穂容疑者と逮捕〉
NEWSポストセブン
江夏豊氏が認める歴代阪神の名投手は誰か
江夏豊氏が選出する「歴代阪神の名投手10人」 レジェンドから個性派まで…甲子園のヤジに潰されなかった“なにくそという気概”を持った男たち
週刊ポスト
キャンパスライフを楽しむ悠仁さま(時事通信フォト)
悠仁さま、筑波大学で“バドミントンサークルに加入”情報、100人以上所属の大規模なサークルか 「皇室といえばテニス」のイメージが強いなか「異なる競技を自ら選ばれたそうです」と宮内庁担当記者
週刊ポスト
前田健太と早穂夫人(共同通信社)
《私は帰国することになりました》前田健太投手が米国残留を決断…別居中の元女子アナ妻がインスタで明かしていた「夫婦関係」
NEWSポストセブン
子役としても活躍する長男・崇徳くんとの2ショット(事務所提供)
《山田まりやが明かした別居の真相》「紙切れの契約に縛られず、もっと自由でいられるようになるべき」40代で決断した“円満別居”、始めた「シングルマザー支援事業」
NEWSポストセブン