ビジネス

老舗ヘビメタ雑誌「BURRN!」 買ってでも欲しくなる理由は

 老舗音楽雑誌が創刊30周年を迎えた。長くファンを捉まえて離さないその魅力はとはなにか。作家で人材コンサルタントの常見陽平氏がコンテンツ作りの要を語る。

 * * *
 出版不況と言われる中、ある「人気雑誌」が30周年を迎えました。ヘビィメタル雑誌の雄『BURRN!』(シンコーミュージック・エンタテイメント)です。この30周年記念号が「豪華すぎる」とメタルファンの間で話題です。この雑誌が長続きした理由は何なのでしょうか。「ヘビメタは興味ない……」なんて人も、注目ですよ。ここには、「お金を払ってでも欲しいコンテンツ」を作るためのヒントがあります。

 『BURRN!』は1984年に日本初のヘヴィメタル専門誌として創刊されました。そう、ヘヴィメタル専門なのです。日本のアーチストも登場するものの、多くは洋楽アーチストです。

 この雑誌の魅力といえば、ズバリ「熱」そして主張の強さでしょう。それが強く現れているのが、アーチストへのインタビューです。ニューアルバムのリリース、来日などのタイミングでアーチストはインタビューを受けるわけですが、それは当然、プロモーションのためであり、売り込み色の強いものになりがちです。『BURRN!』のインタビューにおいては、もちろんアーチストはニューアルバムの魅力などを語ろうとするものの、メンバーチェンジの真相、音楽性が変わった理由などにも鋭く斬り込み、本音を引き出すことに成功しています。

 ミュージシャンからの信頼も厚いが故に、他誌には載らない独占インタビューが掲載されることもしょっちゅうです。最近掲載された大御所の例で言えば、ヴァン・ヘイレンのボーカル、デイブ・リー・ロスの独占インタビューでしょう。2013年5月号に掲載されました。彼は、ヴァン・ヘイレンの初代ボーカルであり、その後脱退していたのですが、復帰。彼が歌うオリジナル・アルバムとしては28年ぶりとなるアルバム『A DIFFERENT KIND OF TRUTH』を2012年にリリースしました。その頃も来日が予定されていたのですが、ギタリストのエディ・ヴァン・ヘイレンが大腸の手術をすることになり、来日が延期になったのです。活動休止中、実はデイブ・リー・ロスは数ヶ月にわたりお忍びで日本に滞在していたのですね。そんな情報もつかんだうえで、独占取材に成功したのです。

 ライブレポートも、単なる礼賛ではなく、ボーカルの喉の調子が悪かった、新メンバーの動きがぎこちなかった、機材の調子が悪かったなど、マイナスの話も書くことが特徴です。

 アルバム・レビューのコーナーも、賛否を呼びつつも、注目を集めています。評価する編集者により点数のつけ方の傾向が異なる上、時には辛口コメントを書くことも特徴です。ちなみに、聖飢魔Ⅱのメジャーデビューアルバム(彼らの世界観で言うと、地球デビュー大教典)『聖飢魔Ⅱ〜悪魔が来たりてヘヴィメタる』は、史上最低の0点でした。

関連キーワード

トピックス

米倉涼子を追い詰めたのはだれか(時事通信フォト)
《米倉涼子マトリガサ入れ報道の深層》ダンサー恋人だけではない「モラハラ疑惑」「覚醒剤で逮捕」「隠し子」…男性のトラブルに巻き込まれるパターンが多いその人生
週刊ポスト
新聞・テレビにとってなぜ「高市政権ができない」ほうが有り難いのか(時事通信フォト)
《自民党総裁選の予測も大外れ》解散風を煽り「自民苦戦」を書き立てる新聞・テレビから透けて見える“高市政権では政権中枢に食い込めない”メディアの事情
週刊ポスト
ソフトバンクの佐藤直樹(時事通信フォト)
【独自】ソフトバンクドラ1佐藤直樹が婚約者への顔面殴打で警察沙汰 女性は「殺されるかと思った」リーグ優勝に貢献した“鷹のスピードスター”が男女トラブル 双方被害届の泥沼
NEWSポストセブン
女性初の自民党総裁に就いた高市早苗氏(時事通信フォト)
《高市早苗氏、自民党総裁選での逆転劇》麻生氏の心変わりの理由は“党員票”と舛添要一氏が指摘「党員の意見を最優先することがもっとも無難で納得できる理由になる」 
女性セブン
出廷した水原一平被告(共同通信フォト)
《水原一平を待ち続ける》最愛の妻・Aさんが“引っ越し”、夫婦で住んでいた「プール付きマンション」を解約…「一平さんしか家族がいない」明かされていた一途な思い
NEWSポストセブン
公務に臨まれるたびに、そのファッションが注目を集める秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
「スタイリストはいないの?」秋篠宮家・佳子さまがお召しになった“クッキリ服”に賛否、世界各地のSNSやウェブサイトで反響広まる
NEWSポストセブン
司組長が到着した。傘をさすのは竹内照明・弘道会会長だ
「110年の山口組の歴史に汚点を残すのでは…」山口組・司忍組長、竹内照明若頭が狙う“総本部奪還作戦”【警察は「壊滅まで解除はない」と強硬姿勢】
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反容疑で家宅捜査を受けた米倉涼子
「8月が終わる…」米倉涼子が家宅捜索後に公式SNSで限定公開していたファンへの“ラストメッセージ”《FC会員が証言》
NEWSポストセブン
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
巨人を引退した長野久義、妻でテレビ朝日アナウンサーの下平さやか(左・時事通信フォト)
《結婚10年目に引退》巨人・長野久義、12歳年上妻のテレ朝・下平さやかアナが明かしていた夫への“不満” 「写真を断られて」
NEWSポストセブン
国民スポーツ大会の総合閉会式に出席された佳子さま(10月8日撮影、共同通信社)
《“クッキリ服”に心配の声》佳子さまの“際立ちファッション”をモード誌スタイリストが解説「由緒あるブランドをフレッシュに着こなして」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 電撃解散なら「高市自民240議席の激勝」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 電撃解散なら「高市自民240議席の激勝」ほか
NEWSポストセブン