ビジネス

「本場・中国の味」は今や昔 食品メーカーの中国離れが進む

「国産化」進む餃子

 中国産食品の不安を受けて、日本国産の材料を使う外食チェーンが増えている。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏がレポートする。

 * * *
 今月1日、メニューの値上げに踏み切った「餃子の王将」が、食材の国内調達に乗り出した。もともと餃子については、ほとんどの素材を国内調達していたが、これまではショウガはインドネシア産、皮用の小麦粉は主にアメリカ産のものを使用していた。今後、ショウガは高知や熊本、小麦は北海道から調達するという。

「より安心、安全で、上質な料理を提供する」ための調達先変更だというが、マクドナルドへの中国産鶏肉問題を持ち出すまでもなく、餃子業界にとって産地問題は喉に刺さった刺のような存在だった。いや、まだ過去形にはなっていないだろう。

 今年1月、中国・河北省の人民法院(裁判所)で39歳の男性に無期懲役の判決が下った。罪状は危険物質混入罪。被告は食品メーカー「天洋食品」の元臨時従業員だった。そう。2008年に発覚した「毒入り餃子事件」の被告である。中国で4人、日本では千葉、兵庫で計10人の被害者を出した。動機は元臨時従業員の「正社員との待遇格差」への不満。トラブルを起こそうと考えて、殺虫剤を混入したのだ。だがこの事例を例に挙げるまでもなく、中国産食品に対する不信感は根深いものがある。中国と取引のある商社の社員はこう語る。

「そもそも中国人にしても、中国産の食材や中国製品を信頼していません。1990年代~2000年代にかけて日本の百貨店が上海などに進出した時、人気になったのは『本物が売っているから』でした。2008年に起きた有害物質のメラミン入り粉ミルク事件のときにも、日本メーカーの粉ミルクに人気が集中した。仕組みや文化の成熟度の違いもありますが、品質については国民性としか言いようがないと思います」

 中国で食品の衛生面や品質に目が向けられるようになったのは最近のことだ。そもそも食品衛生法が定められたのも1995年。制定からまだ20年も経っていない。制度がなければ、当然意識の高まりも期待できない。粉ミルク事件以降も、食品偽装や食中毒はひんぱんに起きている。中国国家統計局黒竜江省のハルピンでの世論調査で調査対象の71%が「中国産食品に失望している」と回答したのは2011年の話だ。

関連記事

トピックス

大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ハワイ別荘・泥沼訴訟を深堀り》大谷翔平が真美子さんと娘をめぐって“許せなかった一線”…原告の日本人女性は「(大谷サイドが)不法に妨害した」と主張
NEWSポストセブン
世界的な人気を誇るシンガー・d4vd(20)(Instagramより)
「行方不明の10代少女のバラバラ遺体が袋詰めに」世界的人気歌手・d4vdが所有する高級車のトランクに遺棄《お揃いのタトゥー「 Shhh…」で発覚した2人の共通点》
NEWSポストセブン
須藤被告(左)と野崎さん(右)
《紀州のドン・ファンの遺言書》元妻が「約6億5000万円ゲット」の可能性…「ゴム手袋をつけて初夜」法廷で主張されていた野崎さんとの“異様な関係性”
NEWSポストセブン
神田正輝の卒業までに中丸の復帰は間に合うのか(右・Instagramより)
《神田正輝の番組卒業から1年》中丸雄一、『旅サラダ』降板発表前に見せた“不義理”に現場スタッフがおぼえた違和感
NEWSポストセブン
イギリス出身のボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「タダで行為できます」騒動の金髪美女インフルエンサー(26)の“過激バスツアー”に批判殺到 大学フェミニスト協会は「企画に参加し、支持する全員に反対」
NEWSポストセブン
ラーメン店の厨房は暑い(イメージ)
《「汗を落とすな」「清潔感がない」》猛暑で増えた「汗クレーム」 熱湯で麺を茹で上げるラーメン店やエアコンが使えないエアコン取り付け工事にも
NEWSポストセブン
主人公・のぶ(今井美桜)の幼馴染・小川うさ子役を演じた志田彩良(写真提供/NHK)
【『あんぱん』秘話インタビュー】のぶの親友うさ子を演じた志田彩良が明かすヒロインオーディション「落ちた悔しさから泣いたのは初めて」
週刊ポスト
寮内の暴力事案は裁判沙汰に
《いまだ続く広陵野球部の暴力問題》加害生徒が被害生徒の保護者を名誉毀損で訴えた背景 同校は「対岸の火事」のような反応
週刊ポスト
どんな役柄でも見事に演じきることで定評がある芳根京子(2020年、映画『記憶屋』のイベント)
《ヘソ出し白Tで颯爽と》女優・芳根京子、乃木坂46のライブをお忍び鑑賞 ファンを虜にした「ライブ中の一幕」
NEWSポストセブン
俳優の松田翔太、妻でモデルの秋元梢(右/時事通信フォト)
《松田龍平、翔太兄弟夫婦がタイでバカンス目撃撮》秋元梢が甥っ子を優しく見守り…ファミリーが交流した「初のフォーショット」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《即完売》佳子さま、着用した2750円イヤリングのメーカーが当日の「トータルコーディネート」に感激
NEWSポストセブン
国連大学50周年記念式典に出席された天皇皇后両陛下(2025年9月18日、撮影/JMPA)
《国連大学50周年記念式典》皇后雅子さまが見せられたマスタードイエローの“サステナブルファッション” 沖縄ご訪問や園遊会でお召しの一着をお選びに 
NEWSポストセブン