スポーツ

V9巨人 甲子園で優勝決定したが投石等で胴上げできなかった

 読売巨人軍が9年連続日本一、V9を達成した年は、リーグ優勝のゆくえが1973年10月22日の阪神との最終戦までもつれた。この日、阪神のマウンドには22勝の上田二朗。その上田との相性の良さを買われた巨人・左の代打要員、萩原康弘氏は1番・レフトでスタメン出場した。優勝を決めたというのに、球場で余韻を楽しむ余裕は全くなかったと、萩原氏がその日を振り返る。

 * * *
 この試合で優勝が決まったんですが、実は胴上げはしていないんですよ。ゲームが一方的になった影響で、試合中にもかかわらず、阪神ファンが怒って瓶や缶をグラウンドに投げ入れてきた。センターの柴田(勲)さんはヘルメットをかぶって守りについていたし、審判が「瓶や缶に邪魔されてフライを取れなかった場合は認定アウトにする」と警告するほどの荒れた試合でした。

 僕は途中交代したから大丈夫でしたが、ゲームセットと同時にナインは一目散にベンチに逃げ込んできた。足の速い柴田さんも走って戻ってきたが、その前にはすでに50人ほど、なだれ込んできたファンが走っていたんだからね。王(貞治)さんは殴られるわ、国松(彰)さんはメガネを取られるわ、本当に散々でした。

 僕らベンチの選手は応援しながら、自分の荷物だけは通路にまとめておいて、すぐに移動のバスに行けるようにしていました。バスに乗り込んでも阪神ファンが取り囲んで叩いたり、投石したりで、なかなか出発できませんでした。

 そんな状況だったので、甲子園のグラウンドでは胴上げはできなかった。宿舎でやろうとしたんですが、こちらは天井が低くてできなかった(笑い)。V9の年は日本一の胴上げだけでした。いろんな意味で、思い出深いシーズンでしたね。

※週刊ポスト2014年11月7日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、インスタに投稿されたプライベート感の強い海水浴写真に注目集まる “いいね”は52万件以上 日赤での勤務をおろそかにすることなく公務に邁進
女性セブン
東京地裁
“史上最悪の少年犯罪”「女子高生コンクリート詰め事件」逮捕されたカズキ(仮名)が語った信じがたい凌辱行為の全容「女性は恐怖のあまり、殴られるままだった」
NEWSポストセブン
橋幸夫さんが亡くなった(時事通信フォト)
《「御三家」橋幸夫さん逝去》最後まで愛した荒川区東尾久…体調不良に悩まされながらも参加続けていた“故郷のお祭り”
NEWSポストセブン
麻原が「空中浮揚」したとする写真(公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」より)
《ホーリーネームは「ヤソーダラー」》オウム真理教・麻原彰晃の妻、「アレフから送金された資金を管理」と公安が認定 アレフの拠点には「麻原の写真」や教材が多数保管
NEWSポストセブン
”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン
二刀流復帰は家族のサポートなしにはあり得なかった(getty image/共同通信)
《プールサイドで日向ぼっこ…真美子さんとの幸せ時間》大谷翔平を支える“お店クオリティの料理” 二刀流復帰後に変化した家事の比重…屋外テラスで過ごすLAの夏
NEWSポストセブン
左から広陵高校の34歳新監督・松本氏と新部長・瀧口氏
《広陵高校・暴力問題》謹慎処分のコーチに加え「残りのコーチ2人も退任」していた 中井監督、部長も退任で野球経験のある指導者は「34歳新監督のみ」 160人の部員を指導できるのか
NEWSポストセブン
松本智津夫・元死刑囚(時事通信フォト)
【オウム後継「アレフ」全国に30の拠点が…】松本智津夫・元死刑囚「二男音声」で話題 公安が警戒する「オウム真理教の施設」 関東だけで10以上が存在
NEWSポストセブン
9月1日、定例議会で不信任案が議決された(共同通信)
「まあね、ソーラーだけじゃなく色々あるんですよ…」敵だらけの田久保・伊東市長の支援者らが匂わせる“反撃の一手”《”10年恋人“が意味深発言》
NEWSポストセブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《デートではお揃い服》お泊まり報道の永瀬廉と浜辺美波、「24時間テレビ」放送中に配慮が見られた“チャリT”のカラー問題
NEWSポストセブン
海外のアダルトサイトを通じてわいせつな行為をしているところを生配信したとして男女4人が逮捕された(海外サイトの公式サイトより)
《公然わいせつ容疑で男女4人逮捕》100人超える女性が在籍、“丸出し”配信を「黙認」した社長は高級マンションに会社登記を移して
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン