国際情報

中国はなぜ平気で他人のものを「奪う」のか 専門家が読み解く

 尖閣をはじめとする周辺国との領土問題、少数民族への苛烈な弾圧。世界第2位の経済大国とは思えない中国のふるまいは、果たしてどこから来るのか。他人の物まで奪い取る、その拡大志向に潜む思想を、京都府立大学准教授の岡本隆司氏が読み解く。

 * * *
 日本人からは傍若無人にしか見えない中国のふるまいを理解するには、一般に「中華思想」といわれる言動の様式を把握する必要がある。
 
 簡単に言うと、世界の中心にある中国が周辺の“野蛮な国”に君臨するという考え方である。「華夷秩序」とも呼ばれる独特の世界観だ。
 
 ベースとなるのは儒教、とりわけ朱子学の教義に基づく上下関係である。「徳」「仁」を会得した中国の天子・王朝が常に上位に立ち、その他の国や集団は下位に位置するという秩序づけであり、他が対等な存在であるとは認めない。この上下関係は全世界に及ぶ壮大なスケールであり、歴史上、“野蛮な”種族(*注)が漢人を支配し、王朝を建国しても、結局優れた漢人に同化したという認識をとる。

【*注/北魏(鮮卑)、遼(キタイ)、金(ジュシェン)、元(モンゴル)、清(満洲)など】

 この上下関係は「礼」が根幹にある。例えば君主のもとへ参じ、頭を垂れて貢ぎ物を差し出す使者に対し、中国王朝は深い仁徳と厚い恩恵を授ける。この一連の儀礼を「朝貢」といい、朝貢を行なった周辺国は中国王朝の下につく「属国」とみなされた。
 
 こうして、中国は常に「上から目線」で周辺国と接してきた。単なる傲慢や思い上がりではなく、長きにわたる儒教イデオロギーを根拠とした、ごく自然体の思想がその根幹にある。他から資源や領土を奪っているという感覚はなく、むしろ国内で行動しているという意識なのだ。
 
 だが「属国」とみなされた周辺国は、必ずしも主権を?奪されて完全に支配されたのではない。朝貢は多分にセレモニーであり、中国に頭さえ下げておけば「礼」が成立し、実効的な支配を伴わない交流関係ができたのである。
 
そうすることで「属国」は、貿易交流を活発に行なうなど、「実利」をとったのだ。
 
※SAPIO2015年1月号

関連キーワード

トピックス

『ザ!鉄腕!DASH!!』降板が決まったTOKIOの国分太一(右/番組の公式サイトより)
《TOKIO・国分太一が無期限活動休止》「演者とスタッフは“独特の距離感”だった」関係者が明かす『鉄腕DASH』現場の“特殊な事情”
NEWSポストセブン
”アナウンサーらしくないアナウンサー“と評判
「笑顔でピッタリ腕を絡ませて…」元NMB48アイドルアナ・瀧山あかねと「BreakingDown」エース・細川一颯の“腕組み同棲愛”《直撃に「まさしくタイプです(笑)」》
NEWSポストセブン
『ザ!鉄腕!DASH!!』降板が決まったTOKIOの国分太一(右/番組の公式サイトより)
《スタッフに写真おねだりか》TOKIO・国分太一は「コンプライアンス上の問題行為が複数あった」…日本テレビに問い合わせた結果
NEWSポストセブン
TOKIOの国分太一
《日テレで緊急会見の意味は》TOKIO国分太一がコンプラ違反で活動休止へ 「番組降板」「副社長自らスキャンダル」の衝撃
NEWSポストセブン
悠仁さまの大学進学で複雑な心境の紀子さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、今年秋の園遊会に“最速デビュー”の可能性 紀子さまの「露出を増やしたい」との思いも影響か
女性セブン
グラビアのオファーも多いと言われる中川安奈アナ(本人のインスタグラムより)
《SNSで“インナーちらり笑”》元NHK中川安奈アナが森香澄の強力ライバルに あざとキャラと確かなアナウンス技術で「ポテンシャルは森香澄以上」との指摘
週刊ポスト
不倫が報じられた錦織圭、妻の観月あこ(Instagramより)
《錦織圭・モデル女性と不倫疑惑報道》反対を押し切って結婚した妻・観月あことの“最近の関係” 錦織は「産んでくれたお母さんに優しく接することを心がけましょう」発言も
NEWSポストセブン
お疲れのご様子の雅子さま(2025年、沖縄県那覇市。撮影/JMPA) 
雅子さまにささやかれる体調不安、沖縄訪問時にもお疲れの様子 愛子さまが“異変”を察知し、とっさに助け舟を出される場面も
女性セブン
不倫が報じられた錦織圭(AFP時事)
《美女モデルと不倫》妻・観月あこに「ブラックカード」を渡していた錦織圭が見せた“倹約不倫デート”「3000円のユニクロスウェットを着て駅前チェーン喫茶店で逢瀬」
NEWSポストセブン
永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《永野芽郁に新展開》二人三脚の“イケメンマネージャー”が不倫疑惑騒動のなかで退所していた…ショックの永野は「海外でリフレッシュ」も“犯人探し”に着手
NEWSポストセブン
“親友”との断絶が報じられた浅田真央(2019年)
《村上佳菜子と“断絶”報道》「親友といえど“損切り”した」と関係者…浅田真央がアイスショー『BEYOND』にかけた“熱い思い”と“過酷な舞台裏”
NEWSポストセブン
不倫が報じられた錦織圭、妻の元モデル・観月あこ(時事通信フォト/Instagramより)
《結婚写真を残しながら》錦織圭の不倫報道、猛反対された元モデル妻「観月あこ」との“苦難の6年交際”
NEWSポストセブン