国内

ヘイトスピーチは論外だが特別永住者制度見直すべきとの提言

 いわゆる「在日特権」が論じられる際、しばしば俎上に載せられるのが「特別永住者制度」の問題だ。在日コリアンなどに認められたこの制度について、いまどう考えるべきか。法学者の八木秀次・麗澤大学教授が問題提起する。

 * * *
 先日、在特会(在日特権を許さない市民の会)の元幹部と話をする機会があった。彼は「当初、在特会の主張には説得力があり共感する人も多かったのだが、途中からヘイトスピーチをするようになり、違和感や嫌悪感を抱いた人々が次々と会を離れていった。自分もその1人だ」と、脱会の理由を語っていた。

 私も在特会の主張の仕方には断固反対だ。ヘイトスピーチは単なる民族差別であり、彼らの言動により保守の言論・運動までもが「レイシズム」と十把一絡げに論じられる風潮に憂慮の念を禁じえない。

 そもそも「在日特権」に関わる言説は、在日の人々へ向けられるべきものではない。日本の制度上の問題点を問うべき性質のものだ。

 そこで本稿では、一般の外国人や、一定の要件を満たし永住を許可された「一般永住者」と異なり、原則無条件で日本に永住できる「特別永住者制度」を考察する。

 特別永住者とは1991年施行の入管特例法で定められた在留資格で、日本の占領下で日本国民とされながら、終戦後に日本国籍を失った(母国に生活基盤を持たない)韓国・朝鮮人、台湾人とその子孫に付与されている。戦後の混乱期にさまざまな事情で母国に帰還できなかった人々に対し、日本への定住性を考慮し永住を許可したものだ。

 そうした歴史的背景が当時としてはあった。とは言え、戦後70年、日韓基本条約の締結から50年が経ち、在日コリアンは5~6世も登場している。すでに特別永住者制度の役割は終わったのではないだろうか。

 2013年末時点の特別永住者は37万3221人。そのうち韓国・朝鮮人が占める割合は全体の99%、36万9249人に上る。

 今日、特別永住者は事実上日本の「準国民」として扱われており、参政権を除けば日本国民とほぼ同等の権利を有している。外国人である特別永住者に参政権がないのは当然で、民族差別とは別問題だ。

 現行の日本国憲法が保障する権利や自由は、広く外国人も含め保障されるものと、日本国民だけを対象とするものを性質によって分けている。これを「権利性質説」と言う。

 参政権や社会保障などの社会権は本来、日本国民だけを対象としたものだ。国家の意思形成に参画する権利、つまり参政権まで「在日の権利」と主張するのは無理があるのではないか。参政権が必要であれば、日本国民となり権利を享受すれば良いと私は考える。

関連キーワード

関連記事

トピックス

真剣交際していることがわかった斉藤ちはると姫野和樹(各写真は本人のインスタグラムより)
《匂わせインスタ連続投稿》テレ朝・斎藤ちはるアナ、“姫野和樹となら世間に知られてもいい”の真剣愛「彼のレクサス運転」「お揃いヴィトンのブレスレット」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
優勝11回を果たした曙太郎さん(時事通信フォト)
故・曙太郎さん 史上初の外国出身横綱が角界を去った真相 「結婚で生じた後援会との亀裂」と「“高砂”襲名案への猛反対」
週刊ポスト
伊藤沙莉は商店街でも顔を知られた人物だったという(写真/AFP=時事)
【芸歴20年で掴んだ朝ドラ主演】伊藤沙莉、不遇のバイト時代に都内商店街で見せていた“苦悩の表情”と、そこで覚えた“大人の味”
週刊ポスト
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
韓国2泊3日プチ整形&エステ旅をレポート
【韓国2泊3日プチ整形&エステ旅】54才主婦が体験「たるみ、しわ、ほうれい線」肌トラブルは解消されたのか
女性セブン