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イラク訪問鎌田實医師 イスラム国に家族奪われた人々と会う

 ベストセラー『がんばらない』著者で諏訪中央病院名誉院長の鎌田實氏は、JIM-NET(日本イラク医療支援ネットワーク)の代表も務めており、薬を送る支援のほか、直接、医療支援にイラクをたびたび訪れてきた。2014年暮れから正月にかけて約10日間、イラクの難民キャンプを訪れたときに出会った、イスラム過激派組織「イスラム国」によって家族を奪われ、難民キャンプで暮らす人たちのことを綴る。

 * * *
 北イラクのアルビルには、20近くのキャンプが出来ていた。僕が代表を務める、JIM-NET(日本イラク医療支援ネットワーク)では、病院や診療所に薬を送る支援を続けてきたが、僕が直接医療支援を行なうために訪れた。

 キャンプを歩いていると、ひとりのおばあちゃんが近づいてきた。キャンプ内の自分の部屋に来てくれ、という。付いて行くと前置きもなしにいきなり話を始めた。

「3歳の娘がイスラム国に連れて行かれてしまった」

 えッ、本当に娘? と怪訝(けげん)に思い、聞き返してみると、確かに自分の娘だ、と繰り返した。

「あなたは何歳ですか」

「43歳です」

 びっくりした。目の前にいる彼女は70歳くらいの老女にしか見えなかったからだ。

「生きる気力を失い、心の病気になってしまった」と彼女が悲しげにつぶやいた。

 シリア国境沿いのドホークの難民キャンプには、炊き出し支援と毛布の差し入れに行った。そこで、10歳くらいの少年に出会い、「キミの部屋を見せてもらえないか」とお願いした。

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