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テレビで大量に流れるスマホゲームCM 本当に効果はあるのか

 最近テレビでスマホゲームのCMが多いとお感じではないだろうか。遠藤憲一と岡田准一が白黒映像の中、真意のよく分からないナンセンスなやり取りをしたり「変顔」を披露する「キャンディークラッシュ」や、クリスマスや正月の歌が流れたと思ったらスマホゲームに興じる人々が登場する「モンスターストライク」などが大量出稿CMの代表格だ。年始には、2ちゃんねるで「正月のCMがスマホゲームばかりだった件」といったスレッドが立つに至ったほどである。

 実際に数字を見てみると、その多さは一目瞭然。とある広告代理店の資料によると、スマホゲーム関連大手5社(LINE、サイバーエージェント、ミクシィ、ガンホー、コロプラ)の2010年度から2014年のスマホ関連ゲームのCM出稿合計額が、毎年激増しているのだ。2010年は約1億3000万円だったが、2011年に約3億2000万円、2012年に約27億5000万円、2013年は約91億8000万円、2014年は4月~11月までの集計で約90億1900万円。

 2014年度については、2014年の年末から2015年初頭にかけてのCM大量投下が含まれていないのに、この数字だ。「今やスマホCMは大切なお客様ですよ」(テレビ局関係者)といった声があるように、これからも続々とスマホゲームCMの出稿が予定されている。一体なぜここまで多いのか。

 2月4日発表時点でのダウンロード数80万、「戦略性×ドラマ」をコンセプトとしたシミュレーションRPGの『ファントム オブ キル』も3月後半に集中的にCMをオンエアすることを決定した。同ゲームは『でんぱジャック』というTV番組を活用したユニークな広報展開をしており、開発したFuji&gumi Gamesの種田慶郎社長は、「4月の新学期や新生活が始まる前の、春休み――3月後半に通常はDL数が落ち込むのですが、その時に集中的にCMをオンエアすることによって『あ、このCMを見たことがある』と思ってもらい、DLに繋げることを意図しています」と語る。

 だが、ネット全盛の昨今、そもそもCMは観られるものなのか。自動車メーカー・ダイハツは昨年6月に発売された軽スポーツ車の「コペン」以後、車種によってはテレビCMを流さない方針を明らかにしている。「広告主のテレビ離れ」があり、さらにはネットでは「もうテレビなんて見ない」といった書き込みもよく目にするが、苛烈さを増すスマホゲーム戦争においてはテレビCMは重要な告知手段となっているようなのだ。種田社長はテレビ視聴者とスマホゲームユーザーの親和性について以下のように語る。

「日本では、なんだかんだいって地上波テレビのリーチ率が世界的に高い。学校のクラスで数人が知っているといったアーリーアダプターに知られたあたりでCMを流すと、一気にレイトマジョリティを獲得できることはこれまでのデータからでも明らかです。テレビ視聴者とスマホユーザーは断絶していません。MMORPG(大規模多人数同時参加型オンラインRPG)をやるようなヘビーなゲームユーザーはテレビは観ませんが、カジュアルなスマホのゲームをするライト~ミッドコアなゲームユーザーは比較的テレビを観ています。スマホゲームで課金するユーザーの割合は約5%です。多くの人は無料で楽しんでいるので、無料の娯楽である地上波テレビとの親和性は高いのです」

 広告代理店の資料を見てみると、テレビCMの効果については新規顧客獲得といった面に加え、しばらくプレーしていなかった人が戻ってくるとの効果も見られた。そして、DL数ランキングとCM出稿の有無には明確な相関性が見られる。2014年のDL数1位の「ぷよぷよ!!クエスト」に始まり、4位の「グランブルファンタジー」、6位の「SKYROCK」、9位の「パズドラ」など、上位14ゲームのうち、8タイトルがCMを流し、上位36タイトルのうち、15タイトルがCMを流した。もちろん、ヒットしたからCMを流したという面はあるものの、各社のCM重視の姿勢が見て取れる。

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