最もわかりやすいのはスピードだ。東北新幹線は世界トップレベルの最高時速320kmを達成し、山陽新幹線も時速300kmを記録する。日本の大動脈・東海道新幹線でも3月14日のダイヤ改正から最高時速285kmとなり、従来の速度を15km上回る。
東京五輪に間に合うよう急な用地買収と突貫工事で1964年10月に開業した東海道新幹線は、路線に急カーブが多いために高速化が難しく、最高速度は1992年に時速270kmとなったままで止まっていた。今回15kmのスピードアップを実現させたのは、新型車両「N700A」が新技術を導入したことが大きい。
それがカーブ走行時にあえて車体を内側に傾けるように外側を持ち上げることで遠心力を打ち消し、安定走行を実現した「車体傾斜システム」だ。
「空気バネで車体を1度傾かせることで、これまで速度を落としていたカーブでも減速せずに走行できるようになりました」(JR東海広報部)
各国を見渡せば、フランスのTGV、中国のCRH380など最高時速300km超で運行する高速鉄道がある。スピードだけで比較すれば「新幹線は世界一とはいえない」ともいわれるが、それは短絡的な見方だ。
真っすぐの線路上を高速で走らせるだけならどの国の技術でも可能だが、広大な平地が少なく、カーブやトンネルが多いという条件下でもここまで高水準の高速運行を実現できるのは新幹線だけだ。
※週刊ポスト2015年3月27日号