【「手当」よりも「仕事」であるべきでは】
私は、それは違うと思います。何もしないでただ食べて寝るためのお金は「バラマキ金」だと思うんですよ。
そのフィロソフィーが保守政党と左派のぜんぜん違うところで、私達は「手当てよりも仕事」っていう考え方です。なんとか働ける年齢のその他世代の方は、生活保護に陥る前に、生活困窮者自立支援で止まっていただきたい。今の日本は有効求人倍率が高くて人出が足りないですから、必ずできると。それでないと外国人労働者を大量に入れざるをえない国になるけど、私はこの国の社会ではそれは難しい、すべきではないと思いますね。どうですか、やりたいですか、それ。
230万人の生活保護受給者の中で健常者が50万人とか60万人とか言われています。今は65歳とか70歳とかまで働いて、うちのマンションのビルメンの人なんて70過ぎても働いていますよ。そこまで広げると「健常者」はもっと多くなるでしょう。本当にカラダがものすごく悪くて働けないって人と、お年を召して働けないって人はもうこれは仕方がないから、日本人としてある程度尊厳ある生活を送っていただくのに兆円単位のお金がかかるのは当然のことだと思います。私はそこを出し惜しむべきではないと思うけど、働けるなら働いてくれる方にインセンティブを持っていかないと、自立という概念が崩れてしまいます。
生活保護をもらっていずれそこから抜けられればいいけど、一度もらっちゃうとギリギリの仕事をしたくなくなってしまう。今のままのペースだと4兆円が5兆円になり5兆円が7兆円になると予測されています。その分だけまた消費税を上げなければいけなくなりますよ。そのお金をどっから持ってくるのって言われたら税金しかないもの。
より物を買う購買力のある層とかから取った分を、働くよりは休んでいた方がいいと判断した人にあげるって、これは公平な社会ですかね? それを私はずっと言っていて、ほとんどの人は不公平だと感じているわけです。ですから、なんとか自分たちでやろうという人たちを精一杯応援したいんです。
私は1984年から1986年にフランスの国立行政学院にいましたが、フランスは、失業手当が5~6年も出続ける国なんですよ。日本ではありえませんよね。それも切れちゃった人たちが生活保護に行くんですが、できるだけ早く抜けるために、この生活扶助費のレベルが低いんですよ。それは人間っていうのは基本が怠惰だから、レベルを高くしちゃうと絶対そこから出ないからっていうフィロソフィーだと私は教わりましたよ。
その頃の日本の失業率は2%なくて、「あなた方日本人は社会制度を考える必要がない」ってからかわれてしましたし、たぶん生活保護受給者は100万人いなかったです。悪いけど「(生活保護を受けているのは)特殊な人なの?」っていう風に考えられていた時代ですよ。