国内

日本は非戦宣言しているから信用すると海外で言われ医師驚く

 長野県の諏訪中央病院名誉院長でベストセラー『がんばらない』で知られる鎌田實医師は、チェルノブイリや中東での医療支援でも知られている。たびたび訪れる支援先の難民キャンプで耳にする日本という国へのイメージから、この国のあり方について考えた。

 * * *
 イラクやヨルダン、そしてガザ地区などの難民キャンプで医療支援をしていると、よく言われることがある。

「日本は戦争をしないと宣言している。だから信用している」

 また、別のキャンプでもこんなことを言われた。

「他の国が医療支援に入ってくれても、長い間滞在していると、このまま乗っ取られるんじゃないかと、不安になってくる。日本なら安心できるから、いい」

 そんなことを考えたこともなかった僕は正直驚いた。でも、ちょっと想像力を働かせれば、なるほどな、と腑に落ちた。

 難民の人々は全員が戦争や紛争の犠牲者で、こと戦闘に関しては人一倍敏感なのだ。難民キャンプに支援に来ている国だって戦争の当事国だったりもする。だから支援者といっても簡単には信用できないのだ。

 かつて、日本人もスイスを永世中立国として平和な国の代表のように考えていた時代がある。難民キャンプの人たちはそんな目で、日本という国や日本人を見ているのかもしれない。

 日本はこれから安全保障関連法案や憲法をどうするかの議論に入ることになるだろうが、とにかく拙速にならないことが肝心だ。

 難民キャンプの人たちの敬意にあふれた言葉を今一度思い出して欲しい。戦争をしない、巻き込まれないことの幸せを、僕は彼らから身をもって教えられてきた。目がつぶれたり、脚が吹っ飛んでしまった子どもたちを山のように見てきている。

 だから、日本であんな悲惨な事態になることだけはなんとしても避けねばならないと信じている。

 世界を平和にしていくリーダーとしての、リーディングカントリーになれるチャンスを、これからの法案審議が変えてしまうのではないかと心配だ。

 日本も広島、長崎に原爆が落ち、東京大空襲をはじめ、全国で空襲の被害を受け一般の人々が亡くなった。戦争をしていいはずはない。戦争をしないようにしていくのが政治家の任務だと思う。今こそ、この国のあり方を一人一人が考える必要があると思う。

※週刊ポスト2015年6月19日号

関連キーワード

トピックス

高橋藍の帰国を待ち侘びた人は多い(左は共同通信、右は河北のインスタグラムより)
《イタリアから帰ってこなければ…》高橋藍の“帰国直後”にセクシー女優・河北彩伽が予告していた「バレープレイ動画」、uka.との「本命交際」報道も
NEWSポストセブン
aespaのジゼルが着用したドレスに批判が殺到した(時事通信フォト)
aespa・ジゼルの“チラ見え黒ドレス”に「不適切なのでは?」の声が集まる 韓国・乳がん啓発のイベント主催者が“チャリティ装ったセレブパーティー”批判受け謝罪
NEWSポストセブン
歓喜の美酒に酔った真美子さんと大谷
《帰りは妻の運転で》大谷翔平、歴史に名を刻んだリーグ優勝の夜 夫人会メンバーがVIPルームでシャンパングラスを傾ける中、真美子さんは「運転があるので」と飲まず 
女性セブン
安達祐実と絶縁騒動が報じられた母・有里氏(Instagramより)
「大人になってからは…」新パートナーと半同棲の安達祐実、“和解と断絶”を繰り返す母・有里さんの心境は
NEWSポストセブン
活動再開を発表した小島瑠璃子(時事通信フォト)
《小島瑠璃子が活動再開を発表》休業していた2年間で埋まった“ポストこじるり”ポジション “再無双”を阻む手強いライバルたちとの過酷な椅子取りゲームへ
週刊ポスト
安達祐実と元夫でカメラマンの桑島智輝氏
《ばっちりメイクで元夫のカメラマンと…》安達祐実が新恋人とのデート前日に訪れた「2人きりのランチ」“ビジュ爆デニムコーデ”の親密距離感
NEWSポストセブン
イベントの“ドタキャン”が続いている米倉涼子
「押収されたブツを指さして撮影に応じ…」「ゲッソリと痩せて取り調べに通う日々」米倉涼子に“マトリがガサ入れ”報道、ドタキャン連発「空白の2か月」の真相
NEWSポストセブン
新恋人A氏と交際していることがわかった安達祐実
《安達祐実の新恋人》「半同棲カレ」はNHKの敏腕プロデューサー「ノリに乗ってる茶髪クリエイターの一人」関係者が明かした“出会いのきっかけ”
NEWSポストセブン
元従業員が、ガールズバーの”独特ルール”を明かした(左・飲食店紹介サイトより)
《大きい瞳で上目遣い…ガルバ写真入手》「『ブスでなにもできないくせに』と…」“美人ガルバ店員”田野和彩容疑者(21)の“陰湿イジメ”と”オラオラ営業
NEWSポストセブン
新恋人A氏と交際していることがわかった安達祐実
《“奇跡の40代”安達祐実に半同棲の新パートナー》離婚から2年、長男と暮らす自宅から愛車でカレを勤務先に送迎…「手をフリフリ」の熱愛生活
NEWSポストセブン
「ガールズメッセ2025」の式典に出席された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月19日、撮影/JMPA)
《“クッキリ”ドレスの次は…》佳子さま、ボディラインを強調しないワンピも切り替えでスタイルアップ&フェミニンな印象に
NEWSポストセブン
売春防止法違反(管理売春)の疑いで逮捕された池袋のガールズバーに勤める田野和彩容疑者(21)
《GPS持たせ3か月で400人と売春強要》「店ナンバーワンのモテ店員だった」美人マネージャー・田野和彩容疑者と鬼畜店長・鈴木麻央耶容疑者の正体
NEWSポストセブン