国際情報

暗殺に怯える習近平国家主席 出されるお茶の毒味担当もいる

  中国の習近平国家主席は国際社会では強面を見せているが、その一方、疑心暗鬼に陥り、暗殺を極端に恐れているという。中国共産党の内部事情に精通する産経新聞中国総局特派員、矢板明夫氏がレポートする。

 * * *
 権力闘争が激しい中国では、共産党指導者がライバルや党内の不満分子に命を狙われることはよくある。最も有名なのは、1971年9月に起きた林彪(りんぴょう)事件である。

 当時、党のナンバー2だった林彪国防相とその側近は、南方視察中の毛沢東主席の暗殺を企て、その専用列車を爆破しようとしたが、事前に計画の情報が漏れ、毛沢東は視察ルートを急きょ変更したため未遂に終わった。毛沢東が無事に北京に戻ったことを知った林彪は家族らと飛行機でソ連に逃亡しようとしたが、モンゴルで墜落死した。

 その後、トウ小平や江沢民に対する暗殺未遂事件もあったといわれるが、詳細は明らかにされていない。

 しかし、歴代共産党の最高指導者の中で、習近平ほど暗殺に怯える人はいないといわれている。全国人民代表大会(全人代=国会)などの会議に出席する際に、座る椅子やテーブルは必ず事前に複数の人によってチェックされ、出されるお茶の毒味を担当する人もいるという。

 刺客を警戒して、習近平は一般公衆の前に姿を見せることが最も少ない指導者でもある。米国の大統領や日本の首相などは選挙の際に、集会や駅前などで演説することはよくあるが、習近平にはまず考えられないことだ。

 今年3月、北京市公安局長の傅政華と国家指導者の警護を担当する中央警備局長の曹清(中将)とが同時に更迭され、習近平が信頼する元部下の王小洪と王少軍(少将)がそれぞれ登用された。暗殺に怯えるあまり、側近しか信用しなくなった習近平の猜疑心を窺わせた人事と指摘された。
 
※SAPIO2015年7月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

9月6日から8日の3日間、新潟県に滞在された愛子さま(写真は9月11日、秋篠宮妃紀子さまにお祝いのあいさつをするため、秋篠宮邸のある赤坂御用地に入られる様子・時事通信フォト)
《ますます雅子さまに似て…》愛子さま「あえて眉山を作らずハの字に落ちる眉」「頬の高い位置にピンクのチーク」専門家が単独公務でのメイクを絶賛 気品漂う“大人の横顔”
NEWSポストセブン
川崎市に住む岡崎彩咲陽さん(当時20)の遺体が、元交際相手の白井秀征被告(28)の自宅から見つかってからおよそ4か月
「骨盤とか、遺骨がまだ全部見つかっていないの」岡崎彩咲陽さんの親族が語った “冷めることのない怒り”「(警察は)遺族の質問に一切答えなかった」【川崎ストーカー殺人】
NEWSポストセブン
最新機種に惑わされない方法とは(写真/イメージマート) 
《新型iPhoneが発表》新機能へワクワク感高まるも「型落ち」でも充分?石原壮一郎氏が解説する“最新機種”に惑わされない方法
NEWSポストセブン
シーズンオフをゆったりと過ごすはずの別荘は訴訟騒動となっている(時事通信フォト)
《真美子さんとの屋外プール時間も》大谷翔平のハワイ別荘騒動で…失われ続ける愛妻との「思い出の場所」
NEWSポストセブン
選手会長としてリーグ優勝に導いた中野拓夢(時事通信フォト)
《3歳年上のインスタグラマー妻》阪神・中野拓夢の活躍支えた“姑直伝の芋煮”…日本シリーズに向けて深まる夫婦の絆
NEWSポストセブン
学校側は寮内で何が起こったか説明する様子は無かったという
《前寮長が生徒3人への傷害容疑で書類送検》「今日中に殺すからな」ゴルフの名門・沖学園に激震、被害生徒らがコメント「厳罰を受けてほしい」
パリで行われた記者会見(1996年、時事通信フォト)
《マイケル没後16年》「僕だけしか知らないマイケル・ジャクソン」あのキング・オブ・ポップと過ごした60分間を初告白!
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
【七代目山口組へのカウントダウン】司忍組長、竹内照明若頭が夏休み返上…頻発する「臨時人事異動」 関係者が気を揉む「弘道会独占体制」への懸念
NEWSポストセブン
『東京2025世界陸上』でスペシャルアンバサダーを務める織田裕二
《テレビ関係者が熱視線》『世界陸上』再登板で変わる織田裕二、バラエティで見せる“嘘がないリアクション” 『踊る』続編も控え、再注目の存在に 
NEWSポストセブン
会話をしながら歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《ベビーカーショットの初孫に初コメント》小室圭さんは「あなたにふさわしい人」…秋篠宮妃紀子さまが”木香薔薇”に隠した眞子さんへのメッセージ 圭さんは「あなたにふさわしい人」
NEWSポストセブン
試練を迎えた大谷翔平と真美子夫人 (写真/共同通信社)
《大谷翔平、結婚2年目の試練》信頼する代理人が提訴され強いショックを受けた真美子さん 育児に戸惑いチームの夫人会も不参加で孤独感 
女性セブン
海外から違法サプリメントを持ち込んだ疑いにかけられている新浪剛史氏(時事通信フォト)
《新浪剛史氏は潔白を主張》 “違法サプリ”送った「知人女性」の素性「国民的女優も通うマッサージ店を経営」「水素水コラムを40回近く連載」 警察は捜査を継続中
NEWSポストセブン