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バクテリアの研究 生命の起源解明につながるのではと期待も

体長約45cmにも達する深海生物・ダイオウグソクムシ

 深海とは、水深200メートル以上の深い海。太陽光はほとんど届かず、低水温と高水圧の世界が広がっている。地上付近とはあまりにも環境が異なるため、深海生物の飼育は難しいとされている。

 そんな難問に挑んでいるのが、新江ノ島水族館と国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)。2003年から共同で研究を始め、日本で初めて深海生物の長期飼育を実現した。新江ノ島水族館で飼育技師・魚類チームサブリーダーを務める杉村誠氏が語る。

「そもそも深海生物は捕獲するのも困難なんです。たとえば600~1000メートルに棲むダイオウイカを捕獲したいと思っても、深さだけで400メートルもの幅がありますし、真っ暗な深海ですぐに見つかるわけではありません。

 それに、金属バットがぺちゃんこになるくらい高い水圧の中で生きている生物は、捕獲した後によほど気をつけていても水圧の変化でダメになってしまう。なんとか地上まで持ちこたえた個体も1週間くらいで死んでしまうケースが多かったんです。

 それでも徐々に技術が向上し、飼育が非常に難しいとされてきた二枚貝のシロウリガイの173日飼育に成功するなど、一定の成果は出てきました。ただ、課題は山積みです」

 深海生物の長期飼育に並び、現在力を入れているのが世界的にも注目されているバクテリアの研究だという。

「硫化水素やメタンガスなどが噴出し、およそ生き物が存在しないと思われる世界で生命活動を行なう“最初の生物”と考えられている。そのバクテリアの培養研究も行なっています。深海の海底は原始の地球と似ているといわれていますから、バクテリアの研究が生命の起源を解明することにつながるのではと期待されています」(同前)

※週刊ポスト2015年7月3日号

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