よりわかりやすく柳田の成績を吟味するため、「RC」という指標を用いた。RCとは安打、本塁打、盗塁、犠打などを加味して、その打者がどれだけの得点を挙げたか個人の総合得点能力を表わす指標だ。これを基に1人の打者だけで1試合(27打席)したと仮定した時の得点を示したものが「RC 27」である。RCとRC27について前掲の選手の成績で比較する。

秋山幸二(西武):RC・102.6、RC27・7.74
野村謙二郎(広島):RC・117.1、RC27・8.12
金本知憲(広島):RC・115.15、RC27・8.83
松井稼頭央(西武):RC・135.71、RC27・8.89
柳田悠岐(ソフトバンク):RC・150.929、RC27・11.43
※柳田の成績は143試合終了時点での予測値

『プロ野球なんでもランキング』(イースト・プレス刊)の著者で、データを分析した広尾晃氏が解説する。

「RCは100を超えると一流といわれますが、柳田は150を超えると予測され、球史を振り返っても桁違いの活躍であることがわかります。RC 27も唯一の二桁である11点超えでこれも断トツ。セ・リーグでは山田哲人(ヤクルト)が同じくトリプルスリーを狙える位置にいますが、彼をも上回っています」

 柳田の良さはその「選球眼」にあるという。

「昨シーズンから選球眼が飛躍的に良くなって、三振が減って四死球、本塁打、安打が増えている稀有な選手です。守備力もずば抜けており、メジャーでいう『ファイブ・ツール・プレーヤー』。ミート、長打力、走力、肩力、守備力すべてが揃った選手になっています」(広尾氏)

※週刊ポスト2015年9月4日号

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