山田哲人一覧

【山田哲人】に関するニュースを集めたページです。

チームを引っ張る青木宣親の数字に現れない「献身」とは(時事通信フォト)
青木宣親「犠打ゼロ」への信頼感 生涯打率1位陥落でも進塁打で貢献
 自分の記録よりもチームの勝利──。口にするのは簡単だが、実行に移すのは容易ではない。その言葉を誰よりも実践しているのが、ヤクルトの優勝に貢献した39歳のベテラン・青木宣親だ。 セ・リーグのクライマックスシリーズ(以下、CS)のファイナルステージはヤクルトが巨人に連勝。アドバンテージの1勝を含め、日本シリーズに王手をかけた。CSでも3番・山田哲人、4番・村上宗隆、5番・サンタナの主軸につなぐ役割を、2番の青木が見事に果たしている。初戦、1回裏に先頭の塩見泰隆が二塁打で出塁すると、青木は5球目の外角のボールを強引に引っ張って、1塁側へのボテボテの投ゴロでランナーを進め、村上の先制犠牲フライ、サンタナの2ランに繋げた。青木は今季122試合に出場し、主に2番を打ちながら犠打ゼロ。2割5分8厘と打率は高くなかったが、徹底した進塁打で打線をつなげた。野球担当記者が語る。「バントを決めれば打数に入らないので、打率は下がらない。でも、進塁打は記録上アウトが1つ加算されて打率は落ちてしまう。まして、青木は日本球界で4000打数以上を対象とした生涯打率で、元ロッテのリーと1位を争っています。昨季までは1位でしたが、今季終了時点でわずか2毛差の2位に落ちてしまった。歴代1位なら相当な名誉ですから、できれば進塁打ではなくバントで打率を保ちたい心理が働いてもおかしくない。それにもかかわらず、自らの記録を犠牲にしてチームに貢献する。そんなベテランの姿を見て、何も感じない選手はいないでしょう」(以下同) 今季、規定打席に達した選手で犠打ゼロはヤクルトの青木、村上、山田哲人、オスナ、阪神の大山悠輔、マルテ、サンズ、佐藤輝明、巨人の岡本和真、丸佳浩、広島の鈴木誠也、中日のビシエド、高橋周平、DeNAのソト、佐野恵太、宮崎敏郎の16名。青木以外はクリーンアップを打つ選手ばかりだ。「バントの指示を出さなくても、青木はランナーを進めてくれるという高津監督の信頼の現れだと思います。ランナー2塁の場面で、誰もが進塁打を打てるわけじゃない。CSファイナル第2戦でも、1対0とリードした3回裏の無死2塁で、2ボール2ストライクからセンターへフライを打ち上げて、塩見が三塁へ進んだ。巨人の先発だった中4日の菅野智之に球数を投げさせての進塁打で価値が高い。この回は得点につながりませんでしたが、菅野は球数が100球を超えた6回にノックアウトされました。 投手としては、バントで1球でランナーを進められるよりも、何をやってくるかわからない状態で粘られた上で進塁打を許す方が消耗は大きいでしょう。青木の技術の高さがうかがえます」ベテランとしては異例の「4打席目の高打率」 今季、青木は39歳を迎えたが、2割5分8厘という打率だけで衰えたと見るのはあまりに早計だ。「進塁打をバントに置き換えれば、打率はもっと上がっていたはずです。また、ベテランになると体力が落ちるため、先発時の4打席目の数字が悪くなる傾向がありますが、青木は3割5厘と1、2、3打席目よりも打っています」 他のベテラン選手の4打席目を見ると、球界最年長44歳の福留孝介(中日)は1打席目3割だが、2割5分8厘と下がる。40歳の糸井嘉男(阪神)は犠飛を1つ記録しているが、7打数7三振。今シーズン限りで引退する亀井善行(巨人)は1割7分4厘。パ・リーグでは38歳の松田宣浩(ソフトバンク)が1割7分5厘、同じく38歳の中村剛也(西武)が1割8分1厘と4打席目を苦手とする打者が目立っている。「かつて長嶋茂雄や王貞治は生涯打率が3割を切る前に引退を決断したとも言われています。時代が変わって、生涯打率の話題はさほど出なくなりましたが、名誉な記録に変わりはない。そこにこだわらない青木の姿勢はもっと称賛されていいでしょう」 CSの2試合で6打数1安打だが、もし2つの進塁打がバントなら4打数1安打。数字の上では損をする、目に見えない貴重な役割をベテランが果たす。ヤクルトは強くて当然なのかもしれない。
2021.11.12 16:00
NEWSポストセブン
山田の「役割」変化がチームの成績に影響?(時事通信フォト)
ヤクルトが絶好調なのは、山田哲人の盗塁が激減したからなのか?
 昨年まで2年連続最下位と低迷していたヤクルトが、9月中旬から怒濤の9連勝を記録するなど6年ぶりの優勝に向けて猛チャージをかけている。 その快進撃のなかで、今夏「侍ジャパン」に選出され、東京五輪の金メダリストになった山田哲人(29)に異変が見られる。「バッティングは例年通りの成績ですが、盗塁が極端に少ない。まだ4盗塁(9月29日時点)で、失敗も2つ。初盗塁も開幕から1か月以上経った5月12日でした。山田は2019年に33盗塁して、節目の200盗塁まであと32と迫りましたが2年経っても到達していません」(スポーツ紙デスク) 山田といえば「走・攻・守」三拍子揃った“ミスタースワローズ”。3割、30本、30盗塁の「トリプルスリー」を3度も達成し、史上初の「HR王」と「盗塁王」の同時獲得者(2015年)でもある。昨年オフに球団と「推定7年40億円」という大型契約を結び、今季からキャプテンに就任している。 走塁面では高い成功率を残すなど技術も高く評価されてきた。一体、山田に何が起こったのか。ヤクルトOBで、1992年の盗塁王でもある野球評論家・飯田哲也氏が言う。「直接本人から聞いたわけではありませんが、昨年から続くコンディション不良で脚を故障したようです。脚は年々衰えます。特に体調が悪いと走り込めず、走らなければどんどん衰える悪循環に陥ってしまう。山田も十分に走り込めていないのでしょう。それに年齢の問題もある。僕も30歳を超えたあたりでスピードが落ちてきました」 また飯田氏は、山田は「役割を切り替えたのではないか」と指摘する。「そもそも盗塁の企図自体が減っており、“意欲”が低下していると感じます。盗塁は1回でもアウトになると“もう次はダメかな”と思ってしまう。実はこの心理的影響が一番大きい。彼は大きいのが打てるので、無闇に走るのではなくバットでチームに貢献しようと考えているのでしょう」 今季のヤクルトは1番に定着した塩見泰隆(28)が20盗塁を記録し、後ろを打つ4番に若き主砲・村上宗隆(21)が控えている。“自分の記録”より“自分の役割”を優先し、キャプテンはチームの勝利を目指している。※週刊ポスト2021年10月15・22日号
2021.10.06 07:00
週刊ポスト
SB柳田悠岐 今季トリプルスリーと三冠王の同時受賞もあるか
SB柳田悠岐 今季トリプルスリーと三冠王の同時受賞もあるか
 オープン戦から、今年はボールが異常に飛ぶ、と選手の間でも話題になっていたほどホームランが次々と誕生している2020年のプロ野球。ボールをめぐる“謎”はさておき開幕から打高投低の試合が続いているのは紛れもない現実。 打撃成績を見ると、セは巨人の岡本和真ら4割打者が4人、3割打者が14人もいる(成績は6月29日時点、以下同)。パも4割打者が2人、3割打者が12人。内川聖一から正一塁手を奪ったソフトバンク(SB)・栗原陵矢ら新顔も含まれる。 セ3球団で4番を打った広澤克実氏は岡本の成長を絶賛する。「チャンスでの強さが際立っている。バッテリーは攻める穴が見当たらない」 前SBヘッドコーチの達川光男氏は「令和初の三冠王」も夢ではないと語る。「覚醒した岡本は一発だけを狙っていないからね。熱帯夜のマツダスタジアムや甲子園があるセは投手がしんどい。さらに、セは今年CSがないからどのチームも優勝狙い。上位チームの主砲との勝負は不可欠となり、上位進出が期待できる岡本や広島の鈴木(誠也)は勝負してもらえる場面が増え、三冠王の可能性は十分にある。打率は試合数が少ないので4割近辺でのタイトル争いになるじゃろう」 パでは2015年にNPB初のトリプルスリーと首位打者を同時達成したSBの柳田悠岐が期待大。「ヤクルトの山田哲人の三度のトリプルスリーは後ろを打っていたバレンティン(今年からSBに移籍)の影響も大きい。バレは外の球に強いから捕手は二塁への送球がやりづらく、柳田は盗塁しやすくなるし、バレが本来の調子を取り戻し始めたことで、柳田と勝負をしなければならなくなる。トリプルスリーと三冠王の同時受賞もあると思うよ」(達川氏)※週刊ポスト2020年7月10・17日号
2020.07.03 07:00
週刊ポスト
試合数減少なら福留、藤川、坂本の今季名球会入り危ぶまれる
試合数減少なら福留、藤川、坂本の今季名球会入り危ぶまれる
 開幕の見通しが全く立たなくなったプロ野球。シーズン開催に漕ぎつけたとしても、大幅な「短縮」を余儀なくされる見通しだ。そこで大きな影響を受けそうなのが「個人記録」である。通常の開幕ならシーズン143試合予定だったが、もし7月開幕なら90試合に短縮される可能性がある。 となると、勝ち星や打点など積み重ねるタイプの数字は過去最低水準になると予想されるが、一方でスポーツジャーナリストの広尾晃氏は、打率や防御率、勝率といった「率」の記録では、打率4割など歴史的な数字を出せるチャンスがあると指摘する。他にも異色の記録が生まれそうだと広尾氏がいう。「本塁打が多い現代野球では投手の防御率0点台は難しいでしょうが、戦後2例しかない勝率10割は現実味がある。巨人・菅野智之(30)あたりは期待大。最高勝率のタイトルは『13勝以上』が条件なので、少ない試合数でそれをクリアできるかもカギでしょう。 野手では史上初の『成功率100%の盗塁王』があり得る。過去に20盗塁以上で成功率10割だった例は2001年の西武・松井稼頭央(26盗塁)、2002年の巨人・仁志敏久(22盗塁)の2例あるが、どちらも盗塁王は逃した。昨年、ヤクルトの山田哲人(27)が開幕から33回連続で盗塁成功したものの、9月に入って失敗が続いてしまった。今季は快挙を狙ってほしい」 逆に、通算記録では達成が危ぶまれるものが出てくる。通算2000本安打まで阪神・福留孝介(42)があと103本、巨人の坂本勇人(31)があと116本に迫っている。坂本は史上最年少の記録更新もかかっているが、2人とも今季中の達成に黄信号が灯る。「現役最年長の福留は、昨年104試合で89安打。90試合で103安打は厳しいでしょう。坂本も、昨年116本目のヒットを打ったのが93試合目だったから、今季中の達成は微妙になってくる。 投手では阪神・藤川球児(39)が名球会入りの決まる日米通算250セーブまであと7セーブ。昨季は復活して16セーブをあげたが、短縮シーズンでどこまで記録を伸ばせるか」(スポーツ紙デスク) ベテラン選手にとっては、キャリアを通じて節目の記録に届くかが左右されかねないわけだ。 ただ、80年以上に及ぶプロ野球の歴史を振り返れば、時期によって年間の試合数は異なる。「王(貞治)さんは年間130試合の時代に通算868本塁打の世界記録を打ち立てたが、現在のように143試合なら900本を超えていた」(同前)といった具合に、“タラレバ”を言い出せばきりがない。 たとえ異色の記録だらけのシーズンになるとしても、ファンは今年のうちにスタジアムを満員の観客が埋め尽くす日を待ち望んでいる。※週刊ポスト2020年4月24日号
2020.04.16 16:00
週刊ポスト
プロ野球シーズン短縮で近藤健介、山田哲人らに打率4割期待
プロ野球シーズン短縮で近藤健介、山田哲人らに打率4割期待
 2020年のプロ野球は、新型コロナウイルスの影響で開幕の見通しが全く立たない。シーズン143試合を予定していたが、すべてを消化するのは絶望的だ。もし7月開幕なら90試合程度しか試合できず、個人記録では「8勝で最多勝」「20本で本塁打王」という、過去最低水準の数字になる可能性もある。 だが、大幅に短いシーズンになると、レジェンドたちの金字塔を上書きする“史上最高記録”が生まれる可能性もある。スポーツジャーナリストの広尾晃氏が指摘する。「90試合のシーズンだと打率や防御率、勝率といった『率』の記録は歴史的な数字を出せるチャンスになります。 これまで、NPBで打率4割を達成したバッターはいません。歴代最高は1986年のランディ・バース(阪神)の打率.389で、2000年のイチロー(オリックス)が打率.387でそれに続く。ただ、シーズン途中までだと、1989年のウォーレン・クロマティ(巨人)が97試合目で打率.401をキープしていたし、1986年のバースも72試合目まで打率・404だった。100試合を切れば“夢の4割”を達成する選手が出てもおかしくない」◆“夏男”に有利? その筆頭候補として広尾氏が挙げるのが日本ハムの近藤健介(26)だ。2017年には、シーズン途中に故障で約3か月間離脱して規定打席に届かなかったものの、打率.413を残した。「90試合ならば規定打席は279。2017年の近藤は57試合、231打席で4割超えの実績を残しているので、大いに期待できるでしょう。 また、7月開幕であれば、暑い季節に成績を残す“夏男”に有利とも考えられる。近年、7月以降に月間4割をマークした打者を見ていくと、2018年7月のヤクルト・山田哲人(27)が打率.425、同8月の広島・鈴木誠也(25)が打率.414、2019年8月のオリックス・吉田正尚(26)が打率.407といった例がある。内野安打を狙いやすい左打者、選球眼がよい、といった条件を踏まえると、吉田も4割を目指せるのではないか」(前出・広尾氏) とはいえ、あまりに違う前提での“大記録達成”に戸惑いを口にするOBもいる。辛口評論でお馴染みの江本孟紀氏はこう話す。「難しい問題です。100試合くらい開催できるなら公式記録にカウントしてもいいだろうが、もっと少ない試合数なら、今季は“参考記録”の扱いにするべきかもしれません。90試合はギリギリ。その試合数でバースの打率や沢村栄治の防御率0.81(1937年春)といった伝説の記録が塗り替えられたら、複雑な気持ちになりますからね」 一方、中日時代の1982年、打率.350の記録を残しながら、わずか1厘差で首位打者を逃した経験を持つ田尾安志氏は、「(記録の扱いは)コミッショナーが決めたことに従えばいい。ファンに楽しんでもらうのが第一で、タイトルや記録はあくまで結果。選手は記録のためにやっているわけではない」と話す。ちなみにこの年の首位打者は大洋の長崎啓二(当時)今後、大物OBの間でも今季の記録が“論争のタネ”となりそうである。※週刊ポスト2020年4月24日号
2020.04.15 11:00
週刊ポスト
コロナで毎日生じる「空白時間」、スポーツ観戦がいかに幸せな時間だったか
コロナで毎日生じる「空白時間」、スポーツ観戦がいかに幸せな時間だったか
 新型コロナウイルスの影響で東京五輪の開催延期が決定した。他にもありとあらゆるスポーツイベントが中止・延期となった。国内ではプロ野球、高校野球、Jリーグ、Bリーグ……、海外ではMLB、NBA、各国サッカーリーグも開催を断念している。こうした事態に直面したことで、「オレ達はいかにスポーツが好きでどれだけスポーツに時間を使っていたのか……」と愕然とするのは、スポーツ観戦が大好きなネットニュース編集者の中川淳一郎氏だ。コロナ騒動であらためて感じるスポーツ観戦の幸せについて、中川氏が考察する。 * * * 私は現在、ウェブでNBAに関する連載を持つなど、スポーツ観戦は子供の頃から好きです。プロ野球は本来3月20日に開幕し、1週間経って「このルーキーやばい!」やら「おいおい、山田哲人、もうホームラン3本かよ!」みたいなことをやっているはずだったのに、それがないのが本当に寂しくて仕方がありません。あとは五輪に出場する選手が「絶好調!」といった報道が出るのも楽しみにしていました。 東京五輪の延期について世界中で安堵の声がでておりますが、「無観客」や「中止」でなかったことも、その理由のひとつでしょう。「中止」ともなれば、2016年のリオから8年後の開催ということで、現在の有力選手の活躍が見られなくなってしまいます。「延期」だからこそ、これまで頑張ってきた選手の活躍を見られるわけですし、「無観客」ではないからこそ、世界中の人々が東京のスタジアムを埋め尽くす様を見て「平和の祭典」にふさわしい光景を見ることができるわけです。 毎朝、新聞を読む時、スポーツ欄を見るのは一種の「息抜き」的な面がありました。文化面と合わせてスポーツ面はあくまでも娯楽として楽しむことができたんですよね。それはテレビのニュースのスポーツコーナーも同じでした。 今のスポーツニュースは「五輪の予選、延期になった競技はどうなる?」的なものや、「朝乃山の大関昇進、取材陣は現場に入れず」みたいなニュースだらけで、すべてがコロナと関連してしまっています。 今となっては2019年の「芸人闇営業問題」「ヤクザとタピオカ」みたいな話題でキャッキャしていた時代が本当に「幸せだったなぁ……」という気持ちになってしまいます。コロナにより、すべてがぶっ壊れてしまった。 それを顕著に感じているのがスポーツ関係者でしょう。もちろん、非正規雇用やフリーの人々の仕事が吹っ飛んだり、学校の一斉休校により子育てする保護者に多大なる負担がかかたりしていることも分かります。しかし、「大勢の人前に立つ」といった意味で、春はスポーツ選手が主役になります。 スポーツの専門チャンネルもありますし、普段ならJリーグやプロ野球、格闘技イベントも中継されます。海外スポーツも軒並み中継されます。サッカーであろうが野球であろうがバスケであろうが、たいてい2時間は熱狂することができます。今、スポーツファンは1日あたり数時間の“空白時間”ができてしまい「あぁ、試合が観たいなぁ……。結果を知りたいなぁ……」といった気分に陥り、あらためて普段、スポーツにもらっているパワーを実感しているのではないでしょうか。 お笑いタレント・ダンカンさんのように、プロ野球の試合前には15分の時間を使って試合展開を分析し、試合を楽しんだ後は総括に15分を使うような人もいます。こうした方にとっても今は痛恨の時期でしょう。 コロナのせいでスポーツ観戦ができなくなった今、我々はどれだけの娯楽を失ってしまったのでしょうか……。もう、やけっぱちになりますが、ここで1973年生まれの私にとって最高のスポーツシーンTOP20を振り返ります。スポーツファンにとっては、今はもう過去を振り返るぐらいしか楽しみはありません。なお、私がもっとも好きなチームはNBAのシカゴ・ブルズで、次に好きなのは阪神タイガースです。【中川淳一郎的・最高のスポーツシーンTOP20】20:Jリーグ開幕戦、ヴェルディ川崎・マイヤーがJ初ゴール(1993年)19:ロンドン五輪開会式でポール・マッカートニー『Hey Jude』を歌う(2012年)18:なでしこJAPAN、サッカー女子W杯優勝(2011年)17:ロナウド、リバウド、ロナウジーニョの“3R”がサッカーW杯日韓大会で大爆発(2002年)16: 柔道・田村亮子&野村忠宏、アテネ五輪初日に最軽量級で金メダル連発(2000年)15: 第1回WBC決勝、大塚晶文がキューバの選手を三振に取って優勝した瞬間(2006年)14:史上最高のワールドシリーズ、ミネソタ・ツインズvsアトランタ・ブレーブス第7戦(1991年)13:まったく期待されてなかったサッカーW杯南アフリカ大会、日本代表がグループリーグ初戦でカメルーンに勝利(2010年)12:シカゴ・ブルズ、2回目の3ピート(1998年)11:サッカーコンフェデレーションカップ、日本vs豪州戦、中田英寿が豪雨の中FKを決めた!→ガッツポーズ(2001年)10:サッカーアジアカップ準々決勝、日本vsヨルダン戦での川口能活のPK連続セーブ(2004年)9:PRIDE GPの桜庭和志vsホイス・グレーシー、90分の死闘で桜庭勝利(2000年)8:古賀稔彦、バルセロナ五輪柔道71kg級金メダル(1992年)7:バース・掛布・岡田、バックスクリーン3連発(1985年)6:サッカーW杯日韓大会グループリーグ第2戦、日本vsロシア戦の1-0勝利(2002年)5:阪神タイガース初の日本一(1985年)4:マイケル・ジョーダンによる“The Shot”(1989年)3:長野五輪スキージャンプ団体・日本代表金メダル(1998年)2:シカゴ・ブルズ初優勝(1991年)1:第2回WBC決勝、韓国戦でのイチローの決勝打(2009年) 読者の皆様もそれぞれ「思い出に残るスポーツシーン」はあると思います。そうした話に花を咲かせながら、このスポーツ「空白期間」を乗り越えていきましょう。そして、各スポーツが再開された暁には、思う存分その幸せを噛み締めたいものです。
2020.03.28 16:00
マネーポストWEB
プロ野球指導者たちに多くの教えを遺した野村克也氏
野村克也氏 ヤクルト高津&楽天三木新監督に期待できるワケ
 南海、ヤクルト、阪神、楽天の監督を歴任した野村克也氏(84)。今季はかつて指導したことのある5人が監督としてチームを率いることとなった。その5人とはヤクルト・高津臣吾、阪神・矢野燿大、楽天・三木肇、西武・辻発彦、侍ジャパン・稲葉篤紀の各氏だ。以下、名将・野村氏が、ヤクルトと楽天の新監督について語る。 * * * 投手出身でリリーフが長かった高津臣吾は、投手交代のタイミングがわかるという利点はある。が、基本的には投手出身の監督は視野が狭い。現役中は打者と捕手しか見ていないから、物事を様々な角度から見ることに不慣れだ。 ただし、高津は選手から人気がある。私の教え子では珍しく(笑い)、人間性がいいのだろう。野球を熟知しているかは疑問符が付くものの、二軍監督からスタートしたという経歴は非常にいいと思う。大いに期待できる。 もっとも私は、ヤクルトの監督は宮本慎也がやるものだと思っていた。彼は野球をよく知っているので、いい監督になると期待していた。宮本は歯に衣着せぬから誤解されやすいのかもしれない。私に似て世渡り下手なのかな。私も色々と口を出すタイプだが、最近の選手は皆、傷つきやすい。今の世の中では選手が傷つくようなことはあまり言わんほうがいいのかもしれないね。 楽天の三木肇が監督になるとは思ってもいなかった。私がヤクルトの監督時代にドラ1で指名した選手だが、あまり記憶に残ってない(苦笑)。でも、高津と同様に二軍監督からの昇格というのは理想的。ヤクルトのコーチ時代には高卒入団の山田哲人を育てたというし、「名選手でなかった」ことが監督としてプラスに働くはずだ。※週刊ポスト2020年1月17・24日号
2020.01.10 16:00
週刊ポスト
侍ジャパン稲葉監督の「指笛」 審判団の心象悪化に懸念の声
侍ジャパン稲葉監督の「指笛」 審判団の心象悪化に懸念の声
 3連勝で国際大会「世界野球WBSCプレミア12」の1次ラウンド首位通過を決めた侍ジャパン。四番・鈴木誠也が2打席連続本塁打を放つなど打線は絶好調。投手陣も盤石で、11日から日本で始まるスーパーラウンド(2次ラウンド)へ弾みをつけた。代表チームを率いる稲葉篤紀・監督への評価もうなぎ登りだ。「短期決戦となる国際大会では、選手の好不調の見極めが何より大切。稲葉監督は、勝負所で次々と手を打って流れを引き寄せた」(スポーツ紙記者) 象徴的だったのが、初戦となったベネズエラ戦(5日)の逆転勝利を引き寄せた終盤の采配だろう。 2点のビハインドで迎えた8回。1死満塁のチャンスで、それまで4打席ノーヒットと当たりのなかった一番打者の坂本勇人(巨人)に代え、山田哲人(ヤクルト)を代打に送ったのだ。山田はあわや満塁弾という大ファールをレフトポール際に打った後、落ち着いて押し出しの死球を選んだ。ここで一気に試合の流れが変わり、侍ジャパンは一挙6点を奪って勝ち越しに成功した。 しかし、この名采配に意外なところで“物言い”がついた。稲葉監督は代打・山田を球審に告げる際、口に両指をくわえ、指笛を鳴らして主審を呼びつけ、ジェスチャーだけで申告したのだ。別のスポーツ担当記者がこう懸念する。「選手の交代を告げる際は、監督が自ら球審のところまで出向いて申告するのが常識です。国際試合では考えられない行為だったようで、海外のメディアや、ベネズエラの選手たちも驚いていた様子でした。きっとアンパイアもいい気持ちではなかったのではないか。国際試合では審判団の心象を損なうと不利になることが少なくない。これがスーパーラウンドの大事な局面で影響しなければいいが……」 プレミア12の前身であるWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の第1回大会(2006年)では、2次ラウンドで日本とアメリカが対戦。同点の8回、日本が犠牲フライで1点を勝ち越したと思われたが、米国が「三塁走者の離塁が早い」と球審に抗議し、判定が覆った。その後、日本はアメリカにサヨナラ負けを喫した。 当時の侍ジャパンの王貞治監督は「野球の母国のアメリカでこんなことがあってはならない」と激怒し、「世紀の誤審」と報じられた。 にわかには信じられないことが起こるのが国際大会。ふとしたことから足下をすくわれかねない。稲葉監督はベネズエラ戦を振り返った際に「(指笛は)良くないことなのでやめようと思います」と語っていたが、念には念を入れて「国際試合のマナー」にも気を配ったほうがよさそうだ。
2019.11.11 16:00
NEWSポストセブン
原監督は丸を叱責したが… なぜ強打者に見逃し三振が多いのか
原監督は丸を叱責したが… なぜ強打者に見逃し三振が多いのか
 プロ野球セ・パ交流戦の熱い戦いが、各地の球場で繰り広げられている。チャンスに手に汗握っていると、「見逃し三振」にがっくりということもあるだろう。かねて野球界には「見逃し三振はけしからん」という風潮があった。だが、その常識が変わりつつあるという──。「バットを振らなければ、何も始まらない」「前に飛ばせば、相手のエラーもある」 少年野球レベルから、野球界では耳が痛くなるほど言われていることだ。プロ野球の世界でも、それが垣間見えたシーンがあった。 5月22日、東京ドームで行なわれた巨人対DeNAの一戦。4点を追う9回裏の先頭で打席に立った巨人の丸佳浩(30)は、守護神・山崎康晃(26)が投げた内角のツーシームに見逃し三振を喫した。「負けているとはいえ、クリーンアップが見逃し三振、見逃し三振ではね」 試合後、原辰徳監督(60)は丸に対してそう苦言を呈した。そこから丸の調子は急ブレーキ。何より目立ったのは、初球や2球目を簡単に打ちにいって凡退する姿だった。「見逃し三振」を避けたいあまり、早いカウントから打ちにいこうとの気持ちが働いたのかもしれない。 だが、球界関係者からはこんな声が漏れ聞こえてくるのだ。「現代野球では、見逃し三振を責めるのはナンセンスです」◆追い込まれても本塁打狙い 丸は昨季ダントツの出塁率.468を記録し、打率も3割をマークした一方で、リーグワーストの130三振を喫している。ベテランのスポーツ紙デスクはこう分析する。「甘い球をじっくり待って、一振りで仕留めるのが丸の打撃です。投球を見極めようとする分、カウントが混んでくる。四球が増えて出塁率が上がる一方、追い込まれることも多いので三振も多くなります。逆に言えば、早打ちになると、丸本来の打撃ではなくなる」 データからも「見逃し三振」の多さは、決して“ダメな打者の条件”とは言い切れない。 昨季、両リーグを通じた見逃し三振のランキングを見ると、1位は広島・鈴木誠也(24)の42個。巨人・岡本和真(22)が39個で続き、以下、広島・田中広輔(29)、DeNA・筒香嘉智(27)、ヤクルト・山田哲人(26)と、さながら侍ジャパンのような豪華な顔ぶれが並ぶ。野球ジャーナリストの広尾晃氏が言う。「好球必打でしっかりと自分のバッティングをするので、好成績を残す。かたや、際どい球は見逃すので、見逃し三振が多くなる」 打者の心構えが変化したことにも理由がある。イチローを育てた元オリックスコーチで捕手出身の河村健一郎氏が指摘する。「以前は、打者は追い込まれると70%は速い球を待ち、30%は遅い変化球を待ちました。ですが、今はツーストライクでも極端に狙い球を絞っている。 西武の山川(穂高、27)や森(友哉、23)が典型ですが、読みと合えばフルスイングでスタンドまで運ぶし、違ったらバットが出ない。バッテリーからすれば、当てにくるより見逃し三振覚悟のバッターの方が怖いです」 ヤクルト、巨人、阪神で4番を任された野球評論家の広澤克実氏が続ける。「確かに僕の現役時代には、バットを振らずに三振するのは最悪だと言われました。ベンチに戻ると“振らないなら誰を立たせてもよかった”と叱られたものです。 ですが、今の野球でチームの中心選手に求められているのは、三振しないことではなく、ホームランやヒットで打点を挙げ、チームを勝利に導くこと。それがシーズンを通して、どれだけできているかが評価の対象であって、試合ごとの凡打の内容まで細かく指摘されたら、今の選手はそれだけで調子を崩してしまいます」 球団も、最近は“見逃し容認”に傾きつつあるという。パ球団の選手査定担当がいう。「ヒットエンドランのサインが出ていたようなケースを除けば、以前と違い、見逃し三振が契約更改時の選手の査定にマイナスになることはありません。とはいえ、勝敗を分かつシーンで強打者が見逃し三振に倒れれば、ベンチの士気にも影響する。見逃し三振はしないに越したことはありませんよ」◆怒られたくないから当てにいく セ球団の元コーチもこう語る。「打つ気が見られないなら別ですが、ピッチャーの球種も増えて審判のジャッジにも左右される部分も大きいので、見逃し三振にペナルティというのは今の野球ではあまりない。以前は、見逃し三振でベンチに帰って来るとチームメイトからもボロクソに言われましたし、罰金もありました」 罰金もある上に査定が下がるとなれば、ともすれば「とりあえず当てとけばいい」という思考にもなりがちだが、野球賭博の問題(※)もあり、罰金制度は現在では多くの球団で廃止になった。(※2015~2016年の野球賭博問題の際、複数球団で、公式戦の勝敗や個人の結果に関して金銭を集め、オフシーズンに分配するといった罰金制度があることも発覚し、騒動になった。)「我々の時代は、追い込まれたらバットをチョコンと出して当てにいっていました。怒鳴られますからね。 でも、それでボールに食らいついていき、結果ゲッツーになってチャンスを潰すことも多くありました。それは、試合に勝つために最善とは言えません。見逃し三振になってもいいから、ホームランを狙う方が結果的にチームに貢献できるというように、野球に対する考え方が変わってきたのでしょう」(前出・河村氏) 日々、野球の技術が進歩するように、野球の常識も変化している。※週刊ポスト2019年6月21日号
2019.06.10 11:00
週刊ポスト
“動くボール”の時代 右打者有利に働いている可能性も
“動くボール”の時代 右打者有利に働いている可能性も
 今季絶好調の巨人・坂本勇人(30)は現在セ・リーグ三冠王(打率.338、13本塁打、30打点。5月14日時点、以下同)。パ・リーグでは西武・山川穂高(27)が16本塁打、43打点で大差をつけて二冠をひた走る。他にもヤクルト・山田哲人(26)、広島・鈴木誠也(24)も成績上位。メジャーでもエンゼルスのマイク・トラウト(27)や、アストロズのホセ・アルトゥーベ(29)など、右の強打者が増えている。イチローや松井秀喜に代表されるような“左打者有利”の神話は崩れつつあるのか。 近年では、トレーニング理論の発展から投手の筋トレ法も確立されたため、球速がアップし、スピードボールで勝負する投手も増えてきた。「たしかに球速は上がっていますが、それだけで勝負しようとする投手も多い。逆に言えば、スピードにさえ対応できれば攻略できる時代なんです。ですから、単純に一塁に近いからとか、右投手が多いからといって、ただちに左打者が有利とは言えなくなっていると思います」(野球評論家・遠山獎志氏) プロアマ問わず取材をするスポーツ紙デスクは左右の相性を引き合いに出す。「大学野球レベルでは顕著ですが、左打者が、極端に左投手、とくに変則フォームのピッチャーを苦手にすることが多い。半面、右打者は、投手の左右に大きな得手不得手がない印象があります。 それがプロの世界にも当てはまるのではないか。右打者には右投手、左打者には左投手という定石があり、さらに、左投手が以前より珍しくなくなっていることが、相対的に右打者が成績を残しやすい状況を作り出しているかもしれません」 在京球団でコーチ経験があるスカウトは、右打者隆盛の理由を「ピッチャーの投球スタイルの変化」に見ているという。「かつては佐々木主浩のフォークや伊藤智仁のスライダーといったように“大きく変化する決め球”を持った投手が重宝されました。しかし、現在の球界ではカットボールやツーシームといった、手元で少しだけ変化してバッターの芯を外す“動くボール”を武器にするピッチャーが増えた。 とくに右投手のカットボールは、右打者にとっては対応しやすいが、左打者は内角に食い込んでくるため、詰まってゴロになるなどなかなか攻略できない。“動くボール”時代が右打者に有利に働いているのかもしれない」 時代の流れとともに生じた打撃・投球の理論の変化が、「右打者最強説」を生み出すのか─―今季の打撃タイトル争いは、そうした視点からも楽しめそうだ。※週刊ポスト2019年5月31日号
2019.05.22 07:00
週刊ポスト
坂本や山川にトラウト「右打者最強説」の真偽、専門家の見解
坂本や山川にトラウト「右打者最強説」の真偽、専門家の見解
 今季冴えまくるのが巨人・坂本勇人(30)のバット。5月14日時点でセ・リーグ打撃部門の三冠王(打率.338、13本塁打、30打点)をひた走る。実は坂本は箸もペンも左手で持つ左利き。“異色の右打者”であることが好調につながっていると指摘する向きもある。 坂本のように「左利きから右打ちに変えた」ケースは珍しいが、今年のプロ野球の成績をみると、坂本以外にも右打者が躍進している。 パ・リーグでは、昨年の本塁打王の西武・山川穂高(27)が16本塁打、43打点と、2位以下に大差をつけて「二冠」をひた走っている。セ・リーグではトリプルスリーを3度記録したヤクルト・山田哲人(26)に、広島の若き4番を務める鈴木誠也(24)が打撃成績上位にいる。 近年、メジャーリーグでも同様の傾向がある。エンゼルスのマイク・トラウト(27)や、アストロズのホセ・アルトゥーベ(29)など、右の強打者が増えている。 しかし、球界では古くから、「左打者のほうが有利」という理論が定説だった。 その理由は、「進塁する一塁ベースに近い」「投手は右投げが多いから、左打席に立ったほうが球筋が見やすい」といったもの。とくに少年野球レベルでは、足の速い子供は内野ゴロでも安打になる確率が高いからと、「左打ちに変える」ように指導するケースも多い。 前述したような右打者たちの好成績は、こうした“左打者有利”の神話を否定するものだ。そこで本誌は、ある仮説を立ててみた。「実は左打者より、右打者のほうが有利なのではないか」──この「右打者最強説」を専門家にぶつけてみると、意外な答えが返ってきた。 通算306本塁打を放った右の大砲・広澤克実氏は「たしかに一塁ベースに近いのは左打者だが、右打者にも大きなメリットがある」と語る。「それは“打球を強く、遠くに飛ばすこと”です。パワーを生むためには、利き腕、つまり力が強いほうの腕が、キャッチャー側にあるほうが有利なんです。ボクサーがパンチを撃つ時を想像してみるとわかりやすい。右利きのボクサーが右手でパンチを繰り出す時、肘の関節を畳んで大きく後ろに振りかぶって勢いをつけますよね。バッティングも同じで、キャッチャー側に利き腕があるから、右腕を大きく引いてからボールに力を伝達するわけです。西武の山川は、利き腕でホームランを打つ典型的なタイプですね」 右利きの右打ちは“パワー”において勝る、という指摘だ。実際、今季の本塁打ランキングを見ると、両リーグ10位以内に入る23選手中19人が「右打者」と、広澤氏の指摘を裏付ける結果となっている。「かつては、右打者は左手で引く力が重要といわれました。しかし、近年では、“引き手で引っ張る”ではなく“利き腕で押し込む”感覚で打つ選手が出てきた。時代に伴って『打撃理論』の変化が出ていることも影響しているでしょう」(スポーツ紙デスク) 野球評論家の遠山獎志氏も「利き手で押し込むスイングをするバッターは、一発があるので一番怖い。ピッチャー心理としては嫌だと思いますね」と語った。※週刊ポスト2019年5月31日号
2019.05.21 07:00
週刊ポスト
福本豊氏が盗塁の極意を語る(共同通信社)
福本豊氏「右ピッチャーのほうが盗塁が難しかった」の真意
 14年連続で50盗塁以上を記録し、通算1065盗塁のNPB記録を持つ福本豊氏(71)。1972年には1試合5盗塁のリーグ記録、シーズン105盗塁の世界記録(当時)を樹立するなど、1970年代の「強い阪急」を足で支えてきた。そんな盗塁のスペシャリストに、「俺の後継者」とバトンを渡す“次のランナー”を訊ねると──。 * * * 対戦が一回りしたが、今季だと中日の大島洋平(33)やDeNAの神里和毅(25)、ロッテの中村奨吾(26)がよく走ってるな。ただ、シーズン通してコンスタントに、しかも何年も続けるのが大事やね。 昨年の盗塁王は日本ハムの西川遥輝(27)が44個、ヤクルトの山田哲人(26)が33個やろ? 本音を言えば、年間143試合もあったら、最低でも40個はせな、タイトルはやれんよ。素質を感じる若いのはおるけど、“令和の盗塁王”にふさわしい選手が、今後出てきてくれることに期待やね。 盗塁の成功率を上げるには、いいスタートをタイミングよく切ることが大切や。しかし、こればかりはアドバイスしてもその通りにできるもんやないからな。 ピッチャーのクセを研究して、“投球リズム”を盗まないといけない。そして、頭やなくて、“目で見て反応する”ことが必要。今の選手は、スコアラーのデータがあるから頭では分かってるかもしれんが、目で反応できてないんです。足が速い選手でも、目で反応できないとリードが一歩少なくなり、スタートが半呼吸ぶん遅れる。 ただ、この感覚は実戦の中でしか鍛えられません。相手バッテリーだって走られたくないし、セカンド・ショートもアウトを狙って塁に入る。そういった総合的な感覚は練習ではどうしても身につかないから、試合で養うしかないんですわ。 ボクが実戦で養った感覚は、世間の常識とは違うことも多い。たとえば、左ピッチャーのほうが盗塁しにくいと言われるけど、ボクはむしろ右ピッチャーのほうが難しかった。左は牽制が来るか分かりやすいが、右はグローブの位置が見えないから、ターンが速いピッチャーは厄介やったね。 何年も盗塁王を獲り続けるためには、まずはレギュラーを張って常に出塁することが必須条件。出塁率を高めるには、ストライクだけを打ったらええ。それだけや。ボールを打たなければ最低でも打率2割5分、見極めてフォアボールを選べば出塁率はもっと上がる。 その上で、ボクは「常に次の塁を狙ってやろう」という“欲”を持ってやってました。それもバッターのことを考え3球以内にね。そんな気概を持った選手が出てきてくれたら嬉しいね。※週刊ポスト2019年5月3・10日号
2019.05.06 07:00
週刊ポスト
元祖トリプルスリー中西太「山田は走れ、柳田は三冠王狙え」
元祖トリプルスリー中西太「山田は走れ、柳田は三冠王狙え」
「怪童」の異名で1950年代の西鉄ライオンズの主軸として活躍した中西太氏(86)。「内野手の頭上をかすめたライナーがスタンドまで届いた」といった強打の伝説を持つ中西氏は、史上最年少の20歳でのトリプルスリー達成者でもある。その目に、ヤクルト・山田哲人(26)とソフトバンク・柳田悠岐(30)の“2人のトリプルスリー”はどう映っているのか。 * * * 2015年に山田君と柳田君が同時にトリプルスリーを達成した時は、球場まで出かけて直接「おめでとう」と声をかけました。我々の時代と今では、球場や用具、スコアラーのデータなど環境はまったく違うので比較すべきものではないが、難しい記録であることは変わりません。 ボクがトリプルスリーを達成したのは入団2年目の1953年、20歳のシーズンでした。ただ翌年以降は、三原脩監督から「中心選手になったんだから、スライディングでケガをされては困る。盗塁はやめておけ」と言われましてね。それからは盗塁ではなく、打点を狙うようになりました。 でも、本当は足に自信があったんですよ。プロ初本塁打はランニングホームランでしたし、直感でセカンド、サード、ホームとどんどん先の塁を狙っていましたからね。 柳田君は故障が気になる。体も大きく、盗塁のクロスプレーが大ケガにつながりかねません。“三冠王狙い”に絞ってもいいと思います。 一方、山田君は足が速いうえにスライディングもうまい。ケガにも強いタイプでしょう。彼に、ボクと同じように「走るな」とは言えません。4度目、5度目のトリプルスリーに挑戦してほしいです。※週刊ポスト2019年5月3・10日号
2019.04.28 16:00
週刊ポスト
かつては“伝書鳩”のようだったと自らを評する金村氏
金村義明氏 中日のカラーが明るく変わった理由を語る
 現役引退後から20年、毎年、全球団のキャンプ巡りを続けている野球評論家の金村義明氏(55)。成績も選手も話題も地味にまとまっており、全国ニュースになりづらい球団の情報や、変化にも詳しい。そんな金村氏が、ヤクルトと中日の今について語った。 * * * 以前はユルさのあったヤクルトでは、宮本慎也ヘッドコーチ(48)の鬼練習が相変わらずでしたね。「トリプルスリー」の山田哲人(26)に「ここまでやらせるか!?」というくらい厳しかった。山田も死にそうな顔してました。 中日は西武やロッテで監督をした伊東勤(56)ヘッドコーチが新しく就任しましたが、チーム全体を見るのは伊東コーチの役割になってましたね。与田剛新監督(53)は何してたかって? 有能な“広報マン”でしたよ。これまで中日と言えば暗い雰囲気で情報もまったく外に出てこんかったでしょう。それが、毎日練習後に与田監督がマスコミを集めて話してるんです。おかげで広報要らず。 ただ、情報のほとんどが根尾昂(18)でしたけどね(笑い)。中日もガラッとカラーが変わったチームの1つですね。 落ち着きという意味では、中日の根尾昂(18)は相当なモンですよ。野球脳もしっかりしている。ケガで出遅れましたが、NOMOジャパンに選ばれた中学時代から、「岐阜にすごいのがいる」と評判でしたからね。 僕もNOMOジャパンの理事として当時見たことがありますし、大阪桐蔭に進学してからは、西谷浩一監督が報徳の後輩ということもあって様子は聞いていました。甲子園でのプレーは、小さくまとまりすぎてしまっている印象も受けましたが、そのあたりの心配をせんでもいいくらい抜きん出た頭の良さがあります。※週刊ポスト2019年4月5日号
2019.03.30 07:00
週刊ポスト
デイリースポーツを今も悩ます「ロサリオ後遺症」とは?
デイリースポーツを今も悩ます「ロサリオ後遺症」とは?
 2月はプロ野球ファンにとって、希望に胸を膨らませる時期だ。特に、未知数である新外国人選手には大きな期待が寄せられる。野手が紅白戦でホームランを連発すれば「年間40発打つ」と願望を抱き、投手が150キロ投げるという情報を目にすれば「15勝は固い」と計算し始める場合もある。“トラ贔屓”で知られるデイリースポーツには毎年、阪神の新外国人に関する派手な見出しが躍っている。どこまで真に受けていいものか。いや、阪神ファンなら既に信じてはいけないと熟知しているはずだ。 過去3年の阪神新外国人野手について、デイリーは公式戦出場前に必ず「太鼓判」を押している。順番に見ていこう(※以下、『デイリースポーツ online』参照。見出しに「太鼓判」の文字があるかで判断。以下、記事内の引用は〈 〉で括る。所属は当時)・マット・ヘイグ見出し:川崎が阪神ヘイグの日本順応に太鼓判(2016年1月20日)・エリック・キャンベル見出し:新助っ人・キャンベルは成功する!元オリックスのメッツ・コリンズ監督が太鼓判(2016年12月8日)・ジェイソン・ロジャース見出し:ドリス&マテオ、新助っ人ロジャースに太鼓判 過去に対戦、サポート任せろ(2017年7月5日) 元ソフトバンクの川崎宗則は前年にヘイグと3Aでチームメイト、コリンズ監督にとってキャンベルは〈14年5月のメジャーデビューからそばで見てきた教え子〉だった。デイリーは元同僚に話を聞いて、記事を構成している。 だが、ロジャースの場合は事情が異なる。〈過去に対戦〉とあるが、中身を読むと、ドリスは1度、マテオは2度しか勝負しておらず、ドリスは「レベルの高いリーグで成績を残していたし、いいバッターだと思う」と一般論に終始。特に独自の情報を話しているわけではなかった。 このように、デイリーは来日前後のあまり情報がない段階で、関係者取材による「太鼓判」記事を毎年のように綴っている。いわば、恒例行事である。この程度であれば、ファンは「阪神贔屓のデイリーだからな」で済ませられる。3選手の成績を振り返ってみよう。マット・ヘイグ(2016年)/31試合/2割3分1厘/2本塁打/11打点エリック・キャンベル(2017年)/21試合/1割9分1厘/1本塁打/5打点 ジェイソン・ロジャース(2017年)/40試合/2割5分2厘/5本塁打/23打点 いずれも、1シーズン限りで解雇されている。彼らはこの記事以外に、見出しで“太鼓判”を押されていない。デイリーも来日前後は期待するが、意外と冷静に判断している。◆ラーメンとチャーハンで適応力がわかる? だが、昨年デイリーが「太鼓判」を押しまくった選手がいた。あのマイク・グリーンウェルを超える新外国人1年目の球団史上最高年俸3億4000万円で迎えられたウィリン・ロサリオである。韓国・ハンファで2年連続3割、30本、100打点以上をマークした彼は、記事の見出しと文中を合わせ、11回もの「太鼓判」を押されていた。 キャンプが始まる前、デイリーはまずこう書いた。見出し:ロサリオ一塁守備に高代コーチ太鼓判 昨年沖縄Cで“初遭遇”昨季映像も確認(2018年1月14日) この記事は、高代延博コーチが前年の沖縄キャンプ中に古巣の韓国・ハンファを訪れて1日だけロサリオを見たこと、昨季の守備を映像で確認したことを元に構成されており、少々無理がある。文中では〈一塁守備に及第点を与えた〉とだけ書かれているのに、見出しでは「太鼓判」に飛躍している。過去の新外国人選手と同様、オフの恒例記事に見えた。 だが、この2週間後、ロサリオが来日すると、読者は驚愕の見出しを目にすることになる。見出し:ロサリオ 適応能力高いデ!いきなり豚骨ラーメンとチャーハン食べた(1月29日)記事内:谷本球団本部長は「真摯(しんし)に取り組む選手だと聞いているので、金本タイガースにぴったりだと思います」と日本での成功に太鼓判を押す。 記事を読むと〈入団会見前の昼食は、クラブハウスでとんこつラーメンとチャーハンで腹ごしらえをした。外国人選手がその国の料理に苦しむことはよくあるが、ロサリオの場合は問題ない〉と書かれている。これによって〈適応能力高いデ!〉と判断され、最終的に〈太鼓判〉を押されてしまったのだ。 この段階でも、まだ阪神ファンは「デイリーだから」と冷静に見ていたはずだ。ラーメンとチャーハンを食べたぐらいで、適応力なんてわかるはずがない。 しかし、キャンプに入ると、ロサリオは本当に太鼓判を押したくなる姿を見せた。紅白戦や対外試合で打ちまくったのだ。 初めての紅白戦で2安打を放つと、デイリーは〈ロサリオ 大ハッスルデビュー戦 マルチ安打に好走〉(2018年2月8日)という見出しを打ち、記事の文末は〈間違いなく超一流の野球観を持っている〉で締めた。文中に「太鼓判」の文字は出てこないものの、絶賛していた。 その後、デイリーは「太鼓判」を押しまくった。見出し:阪神・掛布SEA、衝撃デビューのロサリオに太鼓判「ポパイみたい」(2月11日)見出し:TORACO応援隊長・山本彩 虎の新助っ人・ロサリオにメロメロ 50発イケる(2月12日)記事内:「40本、いや50本打ってくれると思います」と、阪神では1986年のバース以来となる50本塁打に太鼓判を押した。見出し:ロサ砲志願の特守30分 打っては推定150メートル弾(2月14日)記事内:高代コーチは「いつでもいける」と太鼓判(※注:一塁守備について)見出し:KIA・正田コーチ 教え子・ロサ砲の活躍太鼓判「期待通りに」(2月22日。※以前、韓国ハンファで指導していた正田耕三コーチに取材)見出し:ロサ砲三盗 度肝抜く足技!完全無欠の助っ人や!マルチ3打点(2月22日)記事内:「彼は同じやられ方をしない。相手としたらすごくイヤな選手。日本で活躍できると思うよ」と太鼓判を押す。(※注:練習試合の対戦相手である韓国KIAの金杞泰監督のコメント)見出し:新助っ人ロサリオは打てる!谷佳知氏が分析「本当にきれいなスイング」(2月24日)記事内:遠くへ飛ばすパワーに目が行きがちだが、谷氏はミート力のあるスイングに注目し、今季の活躍に太鼓判を押した。(※注:デイリースポーツ評論家で元オリックスの谷佳知氏がフォームを解析)◆【ロサリオ 不安】で検索した結果… シーズンどころか、オープン戦も始まっていない段階なのに、〈完全無欠の助っ人や!〉と断定されていた。しかし、ロサリオはオープン戦に入ると絶不調に陥り、打率1割4分3厘、1本塁打、4打点と苦しんだ。 すると、デイリーはファンを安心させるためか、開幕前にもう一度「太鼓判」を押した。見出し:ロサリオは打つ 大隣が太鼓判!ウインターリーグでバッテリー「もろい印象ない」(3月22日)〈2011年オフ、ドミニカ共和国のウインターリーグでは同じチームでバッテリーも組んだ間柄〉というロッテの大隣憲司を取材し、〈「セとパで対戦が少なくてよかった」と、助っ人砲を絶賛した〉とリポートしている。 年1回、しかも話題の少ないオフに綴る“元チームメイトによる新助っ人太鼓判記事”を開幕直前に再び書かざるを得ないほど、ロサリオの状態は良くなかった。 キャンプの残像が消えない。打つに違いない。かつて首位打者を獲得した谷佳知が絶賛し、当代随一の人気を誇る山本彩だって50発と言ったじゃないか。絶対に覚醒の時が来る──。記事からそんな叫び声が聞こえる。 私は、ふと思った。デイリーといえど、ロサリオの状態に疑問を持ったことはあったはずだ。真逆の意味である【ロサリオ 不安】で検索すると、どうなるのか。主な記事を挙げてみよう。見出し:ロサリオ逆方向も任せろ!またまた打った3戦連発 響く他球団007の悲鳴(2月17日)記事内:不安要素を探す方が難しい。見出し:ロサ砲三盗 度肝抜く足技!完全無欠の助っ人や!マルチ3打点(2月22日)記事内:変化球への対応にも不安を感じさせなかった。見出し:ロサリオ、来日1号 不安一蹴!苦手スライダーを左翼席上段へ(4月2日)記事内:すべての不安を一蹴する3試合連続打点。 これらの記事以外でも、デイリーはロサリオへの「不安」を打ち消していた。裏返せば、絶好調のキャンプ中も、どこかに〈不安要素〉や〈変化球への対応に不安〉を感じていたからこそ、敢えて「不安」の2文字を入れたのかもしれない。 考えてみれば、3月22日の“もろい印象ない”という見出しも、“もろい印象ある”ため、たった1か月ではあるが一緒にプレーした大隣に話を聞いて、“もろい印象ない”と書いたのではないか。 巨人との開幕3連戦では活躍したものの、ロサリオは3、4月を打率2割7分5厘、2本塁打と50発ペースから程遠い成績で終える。5月に入ると、不振が深刻化し、26日の巨人戦で金本監督がついに決断を下した。見出し:阪神が今季初のサヨナラ勝ち 中谷が殊勲打 3位浮上(5月26日)記事内:辛勝で4連勝を飾ったが、不安を残す一戦にもなった。七回、巨人・上原が3番手でマウンドに上がったところで、4番・ロサリオに打順が巡ったが、金本監督は代打・鳥谷を告げた。この日は全て走者を置いた場面で3打数無安打。途中交代はあるが、代打を送られるのは初めてだ。 ここで、初めて「不安」をそのまま綴った。だが、デイリーはロサリオに直接不満をぶつけるわけでなく、気を遣った書き方をしている。ロサリオに代打を送ったらプライドを傷つけるのではないか……という意味に受け取れなくもない。 ロサリオは翌日以降もスタメン起用されたものの、6月2日に初めて先発を外れ、翌3日に出場選手登録を抹消される。わずか4か月前、希望の星だった助っ人がまさかの2軍行きを命じられた。それでも、デイリーは決してロサリオを見放さなかった。「不安」という言葉の使い方に着目してほしい。見出し:新庄の成功は「ケンのおかげ」(6月7日)記事内:新庄は年俸2200万で海を渡ったけれど、ロサリオは違う。重圧、不安、苛立ち…言い知れぬ感情があるだろう。そんなとき彼に寄り添う伴走者、味方は不可欠である。見出し:ロサリオよ、外スラは「振らない方が怖い」 矢野2軍監督“捕手目線”で復調ヒント(6月7日)記事内:周囲の不安とは裏腹に、ロサリオは終始明るい表情で汗を流した。 デイリーの名物コラム〈吉田風取材ノート〉は、新庄剛志のメジャー移籍は岩本賢一通訳がいたから成功したという例を挙げ、ロサリオの心情を慮った。同日の別記事では〈周囲の不安〉と書くことで、記者の揺れ動く心境をのぞかせた。 一度惚れ込んだ選手が阪神に在籍している以上、デイリーはとことん寄り添う。人間的な優しさを感じさせる記事ではないか。 一方で、この頃、デイリーは感情の起伏が激しくなっていたように見える。阪神は不振のロサリオの穴を埋めるべく、エフレン・ナバーロの獲得に乗り出していた。そのナバーロに対して、あまりに「太鼓判」を押し過ぎたロサリオが打てなかったため、これまで通りの見出しでは信じてもらえないと思ったのか、デイリーは予期せぬ言葉を繰り出した。見出し:虎獲得目前ナバーロに極上評価 WBCメキシコ代表盟友、日本ハム・レアードが太鼓判(6月12日)「太鼓判」を押しても疑われそうな状況で、「極上評価」という大賛辞を送ってしまった。失敗を取り返そうとすると、さらに大きなことを言ってしまうという心理があったかもしれない。いや、もしかしたら今までもデイリーから「極上評価」を受けた新外国人がいたのではないか。私は数人の選手名を入れて検索してみた。 検索ワードは、【キンケード 極上評価】【メンチ 極上評価】【コンラッド 極上評価】。この検索結果は、〈ご希望のページは見つかりませんでした。他の言葉でお試し下さい。カタカナの場合は全角入力でお試し下さい。〉となった……。『デイリースポーツ online』を調べる限り、ナバーロのような『極上評価』を受けた阪神の助っ人はいない。ロサリオはデイリーの歴史を動かすほど、天国から地獄への振り幅の大きい選手だったのだ。 裏切られたという思いを抱いてもおかしくないのに、デイリーは2軍落ちしてもロサリオを信じ続けた。見出し:ロサリオ、昇格いつでもOK弾 “救世主”へ2安打3打点「チャンスを待つだけ」(6月24日)記事内:「上(1軍)がゴーを出せばという打席内容」と助っ人の状態面に太鼓判を押した。(※注:矢野2軍監督のコメント) まだ「太鼓判」を押し、「救世主」になると信じていたのだ。 キャンプ中、不安要素を探す方が難しく、オープン戦で不調に陥るも、開幕3連戦ですべての不安を一蹴した完全無欠の助っ人・ロサリオは75試合出場に留まり、打率2割4分2厘、8本塁打、40打点に終わった。8月26日の巨人戦を最後に1軍出場することなく、日本を去った。◆マルテは“山田哲人級の選手”と表現 今年、そのロサリオの代わりに、阪神はジェフリー・マルテを獲得した。昨年までメジャーリーグのエンゼルスに在籍していたマルテも、デイリーの恒例行事である「太鼓判」を押されている。見出し:新助っ人マルテは「ヤクルト山田」 ドリスが太鼓判(2019年1月29日)記事内:ドリスは3度のトリプルスリーを達成しているヤクルト・山田哲人級の選手だと高く評し、馬力のある強打者であると太鼓判を押した。 例年通りの“元チームメイトによる新助っ人太鼓判記事”であり、過度な期待をする読者はもはやいないかもしれない。 内容を読むと、2015年に3Aで同僚だったドリスの〈ヤクルトの山田(哲)みたい。体はマルテもそこまで大きくはないんですけど、見た目が大きくないのにパワーがある〉というコメントを引いた上で、地の文で〈ドリスは3度のトリプルスリーを達成しているヤクルト・山田哲人級の選手だと高く評し〉と書いている。“ヤクルトの山田(哲)みたい”を“ヤクルト・山田哲人級の選手”と表現。やや飛躍させた感があるものの、これぞ、デイリーの真骨頂ではないか。 一方で、今年は“デイリーらしさ”を自重している面もある。2月11日の初の紅白戦でマルテが本塁打を放った翌12日、1面の見出しはこうなった。見出し:マルテ初弾!2安打3打点 掛布SEA「対応力ある」ヤクルト007「実戦向き」 あくまで事実とコメントをそのまま並べただけで、論理の飛躍は見られない。初の紅白戦を伝える記事の文末で、ロサリオには〈間違いなく超一流の野球観を持っている〉と最高級の賛辞を送ったが、マルテには〈これからもファンの期待をマルテが背負う〉と締めるに留まっている。 デイリーには、どうも“ロサリオ後遺症”があるのかもしれない。 前日10日付のデイリースポーツ本紙の名物コラム『松とら屋本舗』で松下雄一郎記者は〈もう去年みたいな思いはしたくない。だから極力期待しないように…というか、ダメだと決めつけて見るようにしてます。皆さんの中にもいるんじゃないだろうか。「ロサリオシンドローム」です〉と素直な心境を綴っていた。 この気持ちは、デイリー全体に行き渡っているようだ。マルテの活躍を1面に持ってきた12日付の2面では、〈吉田風の取材ノート〉に『あれだけ打てないわけは…』という見出しが打たれ、韓国ハンファでロサリオを指導していた正田耕三コーチに話を聞いている。その下段にある『トラ番25時』では、藤川球児がロサリオについて触れている。 デイリーの記者も阪神の選手も、キャンプで打ちまくり、シーズンで沈んだロサリオのことが今も忘れられないのではないか。 私はマルテの紅白戦での大活躍に浮き足立たないデイリーの紙面に物足りなさを感じる一方で、ロサリオのトラウマがあまりに大きいのか……と感傷的にもなった。 紙面を通じて、記者の葛藤も読み取れる。だから、デイリースポーツは愛されるのかもしれない。●文/岡野誠:ライター・芸能研究家・データ分析家。研究分野は田原俊彦、松木安太郎、生島ヒロシ、プロ野球選手名鑑など。一時、『笑点』における“三遊亭好楽ドヤ顔研究”を試みるも挫折。著書に、本人へのインタビューや関係者への取材、膨大な資料の緻密な読解を通して、田原俊彦という生き方を描いた『田原俊彦論 芸能界アイドル戦記1979-2018』(青弓社)。
2019.02.16 16:00
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