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安倍政権「地方創生」の目玉 プレミアム商品券で争奪バトル

 今年の夏、全国各地で「プレミアム商品券」をめぐる“惨劇”が起きた。名古屋市では今年一番の猛暑となった8月1日、プレミアム商品券目当てに早朝から長蛇の列ができ、11人が熱中症などで救急搬送される事態が発生した。

 沖縄はもっと悲惨だ。8月16日に2次販売を行なった沖縄県浦添市では2500人以上が殺到したが、誘導員はたった12人で整理券もなく、並ぶ列がわからなかったり、割り込みが横行したりで大混乱。

 市は慌てて10時の予定を8時半に繰り上げ販売を開始したが、途中、「ここから先は買えなくなる可能性がある」というアナウンスを流した。

 だが、諦めて列を離れた人が出た後も販売は続き、会場内には「同じように並んでいたのに不公平だ」の怒号が飛び交う。周辺道路も大渋滞し、市長がホームページに謝罪文書を掲載する事態にまで発展した。

「プレミアム商品券」とは、各地方自治体や商工会議所が地域振興のために発行する商品券のこと。基本的には地元でしか使えないが、1万円で1万2000円分の商品券が購入できるというように、プレミアム分を上乗せしているのが特徴だ。

 安倍政権の「地方創生」政策の目玉であり、上乗せ分には国が補正予算に盛り込んだ「地域消費喚起・生活支援型」の新交付金が充てられている。全自治体の97%が発行し、総額は9月末までに7814億円にのぼる予定だ(うち1227億円が新交付金にあたる)。

 上乗せ分は10~20%程度とする自治体が多いが、前出の浦添市のように1万円で1万4000円の買い物ができる太っ腹な自治体もある。8%の消費税に四苦八苦している消費者が、購入に殺到するのも頷ける。

 東京都でも一部を除いて各自治体が発行しているが、「新宿や渋谷に買物に出るから、地元商店街には行かない」という都民には馴染みが薄いかもしれない。だが一部の地方自治体では、商品券入手をめぐって苛烈なバトルが勃発している。

※週刊ポスト2015年9月11日号

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