首都圏のマンション市場は新築・中古物件ともに概ね好調な売れ行きで、販売価格は上昇を続けている。そんな中、毎年恒例の「住みたい街」調査でも、“超都心部”が軒並み上位にランクインする結果となっている。
三井不動産や住友不動産、野村不動産など不動産大手7社が共同運営するサイト「メジャーセブン」が9月28日に発表した【マンション購入意向者に聞く、住んでみたい街アンケート2015年度】。その調査で7年連続トップだった「吉祥寺駅」を抜いて1位に輝いたのは「恵比寿駅」だった。
その他、「表参道駅」(4位)、「青山一丁目駅」(8位)、「広尾駅」(11位)、「目黒駅」(12位)、「品川駅」(14位)、「赤坂駅」(17位)など、山手線沿線を中心にバブル化の様相を見せる都心の一等地が上位を占めた。
住宅ジャーナリストの山下和之氏は、調査結果をこう読み解く。
「ランクインした都心エリアは、いずれも大手デベロッパーが大規模なタワーマンションなどを手掛けているところで、自然と注目度は高いといえます。
また、表参道や南青山周辺で今年引き渡された新築の分譲マンションは、地価上昇に伴い、ほとんどの物件で1割以上値上がりしています。そういう意味では人気エリアは住みやすさよりも資産価値で評価されているといっていいでしょう」
確かに恵比寿や表参道の「住みたい理由」を見てみると、〈おしゃれだから〉〈高級感があるから〉〈洗練されているから〉〈ステータス感があるから〉など街のブランドに対する憧れが強い反面、日常生活の利便性はあまり重視されていないことが分かる。
おそらく、アンケートに答えたマンション購入希望者の多くは、「所詮、都心の物件は庶民に手が届かないから、実際に住むことは想定していない」のかもしれない。