ビジネス

メガネ型端末 工場作業や観光案内でニーズも普及はまだ先か

セイコーエプソン開発の「モベリオ」は業務用途の引き合いが多い

 ウェアラブル端末(身に着けて使う次世代のデジタル機器)と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、『Apple Watch』に代表される腕時計型の製品だろう。だが、時計の次に普及が期待されるメガネ型も“目を見張る”ほどの進化を遂げている。

 市場調査会社の矢野経済研究所によれば、2013年度に約53万台だったウェアラブル端末の国内市場が、2017年度には1310万台まで伸びる予測をしている。中でも、メガネ型のスマートグラスは、〈参入企業が少なく、いまだ黎明期にある〉としながらも、現在の5万台規模から18倍の90万台まで普及するとみている。

 メガネ型端末を使って、実際にどんなことができるのか。例えば、東芝やソニーが発表した製品はメガネをかけると目の前に地図が浮かんできて、まるでカーナビのように道順案内をしてくれる。

 また、「パリミキ」を展開する眼鏡メーカー、三城ホールディングスが開発した『雰囲気メガネ』は、スマホと連動させて電話やメールの着信をLEDライトで知らせたり、株価情報などもメガネに映してくれる優れものだ。

 さらに、NTTデータが実用化を目指しているスマートグラスに至っては、メガネを通して空中に浮かび上がるキーボードを指でなぞると文字が入力できる。もはやパソコンやスマホを携帯せずとも、ハンズフリーで情報を自由に操れる時代が迫っているといっても過言ではない。

 こうしたメガネ型端末の利便性を、まずは業務用途で活用しようという企業が多数現れている。

 10月7日より千葉市の幕張メッセで開催されている電機・IT分野の国際見本市「CEATECジャパン2015」。その会場内で業務用スマートグラスの新製品『モベリオプロ』を展示したエプソンのブースには、実際の機能を装着体験しようと来場者が列をなしていた。

「メガネ型端末というと、片目用だったり実際の風景は見られなかったりする製品も多いのですが、モベリオプロは両目が使えるのが特徴です。たとえば工場などで従業員が作業をしながらメガネに設備の使い方を表示させたり、完成品の映像を重ね合わせたりすることもできます」(セイコーエプソン広報担当者)

 旅行会社の近畿日本ツーリストは、このモベリオを使い、「次世代型旅行(スマートツーリズム)」の新提案も始めている。ツアー募集中の〈城と史跡めぐりのふくおか散歩〉では、参加者が福岡城址のビューポイントでスマートグラスを装着すると、現実の風景の上に、かつてその場に現存していた建造物のCG映像を重ねて見ることができ、反響は上々だという。

「スマートグラスを使ったガイド手法が広まれば、歴史的建造物の復元や当時の人々の様子なども分かりやすく再現することができます。今後は富岡製紙場など多くの観光資源で活用していきたいと考えています」(近畿日本ツーリスト・未来創造室の担当者)

関連記事

トピックス

11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(右/読者提供)
【足立区11人死傷】「ドーンという音で3メートル吹き飛んだ」“ブレーキ痕なき事故”の生々しい目撃談、28歳被害女性は「とても、とても親切な人だった」と同居人語る
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《中国とASEAN諸国との関係に楔を打つ第一歩》愛子さま、初の海外公務「ラオス訪問」に秘められていた外交戦略
週刊ポスト
グラビア界の「きれいなお姉さん」として確固たる地位を固めた斉藤里奈
「グラビアに抵抗あり」でも初挑戦で「現場の熱量に驚愕」 元ミスマガ・斉藤里奈が努力でつかんだ「声のお仕事」
NEWSポストセブン
「アスレジャー」の服装でディズニーワールドを訪れた女性が物議に(時事通信フォト、TikTokより)
《米・ディズニーではトラブルに》公共の場で“タイトなレギンス”を普段使いする女性に賛否…“なぜ局部の形が丸見えな服を着るのか” 米セレブを中心にトレンド化する「アスレジャー」とは
NEWSポストセブン
日本体育大学は2026年正月2日・3日に78年連続78回目の箱根駅伝を走る(写真は2025年正月の復路ゴール。撮影/黒石あみ<小学館>)
箱根駅伝「78年連続」本戦出場を決めた日体大の“黄金期”を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈1〉「ちくしょう」と思った8区の区間記録は15年間破られなかった
週刊ポスト
「高市答弁」に関する大新聞の報じ方に疑問の声が噴出(時事通信フォト)
《消された「認定なら武力行使も」の文字》朝日新聞が高市首相答弁報道を“しれっと修正”疑惑 日中問題の火種になっても訂正記事を出さない姿勢に疑問噴出
週刊ポスト
地元コーヒーイベントで伊東市前市長・田久保真紀氏は何をしていたのか(時事通信フォト)
《シークレットゲストとして登場》伊東市前市長・田久保真紀氏、市長選出馬表明直後に地元コーヒーイベントで「田久保まきオリジナルブレンド」を“手売り”の思惑
週刊ポスト
ラオスへの公式訪問を終えた愛子さま(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
《愛子さまがラオスを訪問》熱心なご準備の成果が発揮された、国家主席への“とっさの回答” 自然体で飾らぬ姿は現地の人々の感動を呼んだ 
女性セブン
26日午後、香港の高層集合住宅で火災が発生した(時事通信フォト)
《日本のタワマンは大丈夫か?》香港・高層マンション大規模火災で80人超が死亡、住民からあがっていた「タバコの不始末」懸念する声【日本での発生リスクを専門家が解説】
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
NEWSポストセブン