国内

わいせつ裁判 女性器に厳しいのは裁判官の男性目線が理由?

 春画を主体とした日本初の展覧会『SHUNGA 春画展』が押すな押すなの大盛況だ。会場の「永青文庫」(東京都文京区)には連日多くの女性がつめかけ、男女の性を大らかに描いた約60点の作品に目を奪われている。本誌が訪れた日の来場者の男女比は4:6で女性が多く、外国人の姿も多く見られた。

 しかし、一方で「わいせつ」論争も。春画展に合わせてグラビアで春画を掲載した週刊誌4誌に警視庁が口頭で指導を行い、10月上旬には春画を掲載した週刊文春の編集長が「編集上の配慮を欠いた」との社内判断で3か月の休養処分となった。

 表現の自由とわいせつとの関係は昔からの問題。これまで週刊誌が何度も春画を掲載してもお咎めはなかったが、今回の週刊誌4誌の件は、どうやら、他のヘアヌード写真と一緒に掲載したのがアウトだったようだ。わいせつ問題に詳しい奥村徹弁護士が解説する。

「今回はヘアヌード写真と同じ号に掲載されたので、警視庁は『わいせつ性が強調された』と判断したようです。そもそも春画は局部がモロに描かれていますが、喜多川歌麿や歌川国芳など大家が描いていて芸術性があるため、わいせつ性は少ないとされます。しかも英国で芸術として認められたという“お墨つき”もあります」

 過去の判例では、芸術性があればわいせつ性は少なくなると認定されている。実際、今回の件で警視庁は「春画は国際的な評価も高く、文化的・芸術的価値がある。春画そのものを問題にする気はない」と新聞にコメントしている。

 では、いったい何が「わいせつ」なものとしてアウトで、何がセーフなのか? たとえば、男性器を祀ったみこし、美術史に出てくる『ダビデ像』、パリのオルセー美術館にあるエドゥアール・マネによる『草上の昼食』──これらはすべてセーフである。

 わいせつとそれ以外を分ける境界線は一体どこなのか。

 そもそも法的な意味でのわいせつとは、「【1】いたずらに性欲を興奮または刺激せしめ、【2】かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、【3】善良な性的道義に反するもの」の3つの条件を満たすものとされる。美術ジャーナリストの名古屋覚さんはこう解説する。

「『ダビデ像』に関しては、当時ルネッサンスの人間賛歌、人間らしい姿を再評価しようという気運の中で作られたものですし、そもそも裸体はデッサンの基本で、性行為を連想させるものではないので、わいせつだと受け止める人はいなかったと思います。

『草上の昼食』は、表面的には規範を守る一方で、夜は女遊びに夢中になるといった当時のパリの上流階級の男性たちが、売春婦である女性の絵を通して、皮肉に描かれたもの。

 作品に関しては、発表当時は多少スキャンダルがあったのかもしれません。当時の19世紀後半のフランスでは『草上の昼食』以外にも、いくつかの作品で、いわゆる売春婦をまともに取り上げて描いた作品は、スキャンダルになっているんです」

関連記事

トピックス

70歳の誕生日を迎えた明石家さんま
《一時は「声が出てない」「聞き取れない」》明石家さんま、70歳の誕生日に3時間特番が放送 “限界説”はどこへ?今なお求められる背景
NEWSポストセブン
イスラエルとイランの紛争には最新兵器も(写真=AP/AFLO)
イスラエルとの紛争で注目されるイランのドローン技術 これまでの軍事の常識が通用しない“ゲームチェンジャー”と言われる航空機タイプの無人機も
週刊ポスト
一家の大黒柱として弟2人を支えてきた横山裕
「3人そろって隠れ家寿司屋に…」SUPER EIGHT・横山裕、取材班が目撃した“兄弟愛” と“一家の大黒柱”エピソード「弟の大学費用も全部出した」
NEWSポストセブン
ノーヘルで自転車を立ち漕ぎする悠仁さま
《立ち漕ぎで疾走》キャンパスで悠仁さまが“ノーヘル自転車運転” 目撃者は「すぐ後ろからSPたちが自転車で追いかける姿が新鮮でした」
週刊ポスト
無期限の活動休止を発表した国分太一
「こんなロケ弁なんて食べられない」『男子ごはん』出演の国分太一、現場スタッフに伝えた“プロ意識”…若手はヒソヒソ声で「今日の太一さんの機嫌はどう?」
NEWSポストセブン
9月に成年式を控える悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《模擬店では「ベビー核テラ」を販売》「悠仁さまを話題作りの道具にしてはいけない!」筑波大の学園祭で巻き起こった“議論”と“ご学友たちの思いやり”
NEWSポストセブン
1993年、第19代クラリオンガールを務めた立河宜子さん
《芸能界を離れて24年ぶりのインタビュー》人気番組『ワンダフル』MCの元タレント立河宜子が明かした現在の仕事、離婚を経て「1日を楽しんで生きていこう」4度の手術を乗り越えた“人生の分岐点”
NEWSポストセブン
元KAT-TUNの亀梨和也との関係でも注目される田中みな実
《亀梨和也との交際の行方は…》田中みな実(38)が美脚パンツスタイルで“高級スーパー爆買い”の昼下がり 「紙袋3袋の食材」は誰と?
NEWSポストセブン
5月6日、ニューメキシコ州で麻薬取締局と地区連邦検事局が数百万錠のフェンタニル錠剤と400万ドルを押収したとボンディ司法長官(右)が発表した(EPA=時事)
《衝撃報道》合成麻薬「フェンタニル」が名古屋を拠点にアメリカに密輸か 日本でも薬物汚染広がる可能性、中毒者の目撃情報も飛び交う
NEWSポストセブン
カトパンこと加藤綾子アナ
《慶應卒イケメン2代目の会社で“陳列を強制”か》加藤綾子アナ『ロピア』社長夫人として2年半ぶりテレビ復帰明けで“思わぬ逆風”
NEWSポストセブン
2人の間にはあるトラブルが起きていた
《2人で滑れて幸せだった》SNS更新続ける浅田真央と2週間沈黙を貫いた村上佳菜子…“断絶”報道も「姉であり親友であり尊敬する人」への想い
NEWSポストセブン
ピンク色のシンプルなTシャツに黒のパンツ、足元はスニーカーというラフな格好
高岡早紀(52)夜の港区で見せた圧巻のすっぴん美肌 衰え知らずの美貌を支える「2時間の鬼トレーニング」とは
NEWSポストセブン