スマホでインターネットを利用する人は日本に約5000万人とされるが、中にはこんな使い方をしている人も少なからず存在する。都内在住の60代男性・Aさんはこう語る。
「カメラの性能がいいと娘に薦められて、スマホに変えました。写真や動画はたしかにキレイに撮れますね。CDから音楽を取り込む方法も教えてもらいました。ただ、メールはゴルフ仲間とのスケジュール確認や娘との連絡に使うくらい。インターネットはプロ野球やゴルフの結果をチェックする程度ですね」
こうした利用者は「ライトユーザー(あまり使わない人)」と呼ばれ、シニア層を中心に少なくないとされるが、実は、日本のケータイ料金はAさんのような人から搾取する仕組みになっているのだ。
乱暴にいうと、それで得をするのは、ネットで音楽や動画をダウンロード、電車の中ではスマホの画面を食い入るように見ながら携帯ゲームに興じる人だ。つまり、Aさんのような人が「スマホ中毒者」の利用料まで負担している──そう言っても過言ではない構図がある。
ネットを通じたサービスを利用する場合、通信の種類などによってやり取りされる「データ量」が異なる。ITジャーナリスト・三上洋氏が解説する。
「通信のデータ量は『バイト』と呼ばれる単位で数えられます。たとえばスマホで送受信するメールはデータ量が小さいが、ネットで高画質の画像を見たり、動画を再生したりすると非常に大きなデータ量の通信になります」
大手携帯会社の利用者向け資料ではメール1通の送受信が約500キロバイト、ニュースサイト1ページの閲覧で約300キロバイトとある。
冒頭のAさんの場合、メールは平均して「1日5通くらい」、ネットでサイトを見るのは「1日あたり5回ほど」というから、単純計算だと1か月で約120メガバイト(1メガ=約1000キロバイト)になる。