「ラーメンと餃子の順番」にこだわりすぎた32歳の男が逮捕された──。11月8日の午前4時ごろ、男は兵庫県明石市内のラーメン店でラーメンと餃子を注文。「餃子を先に出して」と告げたのにラーメンが先に提供されたことに「順番が違う」と激怒し、店長と口論になったという。
男は「もう帰ってください」という店長に耳を貸さず、困り果てた店員の通報で駆けつけた明石署署員の説得にも応じず、約3時間も店舗に居座ったため、「不退去容疑」で御用となった。何とも人騒がせな話だが、飲んべえなら気持ちはわからなくもない。
「仕事を終えてふらっとラーメン屋に立ち寄り、まずは餃子とメンマをツマミに一杯やり、それからラーメンでシメるというのがささやかな幸せ。それを“台無し”にされたら、そりゃ腹が立つよ」(50代の男性サラリーマン)
ジャーナリストの青木理氏も「この男性の怒りは理解できなくもない」と同情的だ。
「何時間も店に居座るのは論外だけど、“餃子でビールでも飲むか”と立ち寄った店で、先にラーメンが出てきたら、誰だってガックリきます」
そこで気になるのは、逮捕された男が酒を注文していたかどうかだ。前出の青木氏も男の怒りに共感する前提として「ビールを飲もうと立ち寄った」ケースを想定している。しかし、現地で取材すると意外な真相が判明した。ラーメン店の関係者が打ち明ける。
「男性は酔っていましたが、アルコール類は注文していません。ラーメン、餃子のほかに小さな丼も頼んでいました。報道された“先に餃子”とのオーダーはなく、出来上がった順にラーメンから提供したら、“餃子を先に出せっていっただろう”といきなり怒り出したんです」
まったくのいいがかりというのが店側の証言だ。本誌記者もこのラーメン店を匿名で訪れ、男と同じオーダーをしてみた。入り口近くの券売機で醤油ラーメンと特製餃子を注文し、食券を渡す際に「先に餃子を」と告げると、心なしか店員の表情がわずかに曇った気がした。